「電気代が上がって、このままだと家計が心配」
「子どもがいるから、停電への備えはちゃんとしておきたい」
「太陽光はあるけど、もっと上手に使えたらいいのに」
そんな悩みを抱えるご家庭が今、注目しているのが「家庭用蓄電池」です。電気を“ためて”“使う”ことで、日々の電気代を抑えたり、もしもの備えにしたりすることができます。しかも、補助金を活用すれば、導入コストも抑えることにもつながります。
この記事では、蓄電池の基本性能や活用法、「押し上げ効果」と呼ばれる節約テクニックや選び方、さらには導入費用や補助金制度について、わかりやすく解説。自分の家に合った蓄電池の選び方がわかり、電気代の節約と停電への備えの両方ができるようになりますよ。
蓄電池は、電気代の節約と災害対策の両方を叶える、いま注目の省エネアイテムです。
蓄電池とは?~電気をためて使う、家庭の強い味方~
蓄電池とは、電気をためて、必要なときに使える装置のことです。スマートフォンやノートパソコンに入っているバッテリーを、家庭用に大きく・高性能にしたものだと考えるとイメージしやすいでしょう。
夜間にためた電気を昼間に使ったり、太陽光発電で作った電気をムダなくためて活用したりすることができます。もしもの停電時にも使えるため、家庭の電力を“かしこく・安心して”使える心強い存在です。
蓄電池の主なメリット
- 電気代の節約につながる
深夜の電気料金が安い時間帯に充電しておき、昼間の高い時間帯に使うことで、毎月の電気代を抑えることができます。
関連記事:「お金」から考える蓄電池の基礎知識【経済的メリット編】 - 非常時の電源として使える
停電が起きても、照明や冷蔵庫、スマートフォンの充電など、生活に必要な最低限の電気を確保できます。災害時の備えとしても安心です。
関連記事:蓄電池の停電時の利用方法 - 太陽光発電とセットでさらに便利に
日中に太陽光で発電した余った電気をためておき、夕方以降に使えば、自家消費率がアップ。電気を買う量が減って、売電よりも効率的になる場合もあります。
関連記事:太陽光発電の知っておくべき「6つのメリット」
蓄電池が普及し始めた理由とは?
かつては産業用に使われることが多かった蓄電池ですが、最近では住宅用としての導入が広がっています。その背景には、節電効果や災害時の備えとしてのニーズの高まりがあります。
太陽光発電と組み合わせて「電気をムダなく使える」
蓄電池の魅力のひとつが節電効果です。
太陽光発電とセットで使うと、その効果を最大限に発揮します。通常、太陽光発電は昼間に電気をつくってその場で消費しますが、夜間には発電できません。そのため、昼間に発電した電気を夜まで活かすことはできないのがデメリットでした。
しかし、蓄電池があれば話は別です。昼間に発電した電気を蓄電しておき、夜間に使うことが可能になります。
昼間は外出していて電気をあまり使わない…そんなご家庭には、特に向いているシステムです。
停電時にも安心できる“家庭用バックアップ電源”

蓄電池が住宅に導入されるもうひとつの大きな理由が、災害時の備えとしての安心感です。
地震や台風などで停電が起きた際も、蓄電池に電気が蓄えられていれば、すぐに家庭で電力を使うことができます。非常時の照明や冷蔵庫、スマートフォンの充電など、暮らしに欠かせないエネルギーを確保できるのは大きな魅力です。
関連記事:長引く停電……もしものために太陽光発電×蓄電池で安心の備えを
次世代住宅「スマートハウス」に欠かせない存在
蓄電池は今、スマートハウスの中核的存在としても注目されています。
「創る(太陽光)」「ためる(蓄電池)」「効率よく使う(エネルギーマネジメント)」というエネルギーの自給自足に近い暮らしを実現するには、蓄電池が欠かせません。
今後、スマートハウスやZEH(ゼッチ)などの省エネ住宅の普及とともに、蓄電池の需要もさらに高まっていくでしょう。
関連記事:似てるけど違う?「スマートハウス」と「ZEH(ゼッチ)」の比較
蓄電池の活用法:注目の「押し上げ効果」について

蓄電池は、太陽光で発電した電気だけでなく、電力会社から購入した電気もためて使えるのが特長です。夜間の安い電気を蓄えて昼間に使い、太陽光で発電した分はできるだけ売電に回すことで、収入アップにもつながります。
このしくみは「押し上げ効果」と呼ばれています。
「押し上げ効果」の仕組み
- 安い深夜電力を蓄電池に充電: 深夜は多くのご家庭で割安料金になっていることが多いので、この時間帯に蓄電池へ電気をしっかりためておきます。
- 昼間は蓄電池の電気を使用: 日中家庭で使う電気は、夜間に蓄電池にためた電気から使います。こうすることで、太陽光発電で作った電気を自家消費する量を減らせます。
- 太陽光発電の電気はできるだけ売電へ: 昼間に発電した電気を使わずに売電することで、売電収入を増やすことができます。
このサイクルにより、昼間の割高な電気を買わずにすみ、太陽光の電気は売電に回せるので、とても効率的です。蓄電池があると、電気を「かしこく使う」ことができまるようになります。
※「押し上げ効果」を活用するには、ダブル発電に対応したタイプの蓄電池を選ぶ必要があります。
2025年時点では、ダブル発電による売電価格への影響(単価の引き下げ)は行われていません。ただし、制度は毎年見直されており、今後の政策変更によってルールが変わる可能性もあります。導入を検討する際は、最新の制度内容を必ずご確認ください。
どんな種類があるのか?蓄電池のタイプを知ろう
蓄電池には、「どう使うか(用途)」と「中に使われている電池の種類(材質)」によって、次のようなタイプがあります。
【用途別】
種類 | 特徴 |
---|---|
定置型蓄電池 | 屋内や屋外に据え付けて使用するタイプ。 |
ポータブル蓄電池 | 持ち運び可能な小型タイプ。 |
【材質別】
種類 | 特徴 |
---|---|
リチウムイオン電池 | 高性能で寿命も長く、今の主流。 |
鉛蓄電池 | 価格は安めだが、重くて寿命が短い。 |
ニッケル水素電池 | 幅広い用途で使われ、安全性と耐久性に優れる。 |
以下に、それぞれの特徴やメリット・デメリットについて詳しく説明していきます。
【用途別】どんな使い方をしたいかで選ぶ
定置型蓄電池(据え置きタイプ)
屋内や屋外に設置して使う、大容量の蓄電池です。太陽光発電と連携して、家全体の電力をまかなえるのが特徴です。
メリット | デメリット |
---|---|
停電時でも長時間、電気が使える | 設置工事が必要で初期費用が高め |
電気の自給自足が目指せる | 簡単に移動できない |
長期的には経済的メリットが大きいことも |
こんな人におすすめ
- 太陽光発電を導入している・検討している方
- 電気代を本格的に節約したい方
- 災害時にしっかり備えたい方
ポータブル蓄電池(持ち運びタイプ)
キャンプや車中泊、非常時などに使えるコンパクトな蓄電池です。コンセントから充電できて、工事なしですぐに使えます。
メリット | デメリット |
軽くて持ち運びが簡単 | 容量が小さく、家全体をまかなうのは難しい |
設置工事が不要 | 太陽光発電との本格連携には不向きな場合もある |
比較的価格が安いモデルもある | - |
こんな人におすすめ
- アウトドアやDIYで電源が必要な方
- 手軽に災害対策を始めたい方
- 賃貸住宅に住んでいて設置が難しい方
【材質別】中身の電池の種類で選ぶ
■ リチウムイオン電池
スマートフォンやパソコンなどにも使われている、今もっとも普及しているタイプです。リチウムイオンが電極の間を移動することで充電・放電を行います。
メリット | デメリット |
軽くて高出力 | 価格が高め |
長寿命で効率が良い | 高温や直射日光に弱い |
継ぎ足し充電にも向いている | - |
■ 鉛蓄電池
自動車のバッテリーや産業機器のバックアップ電源などに使われてきた、歴史ある蓄電池です。電極に鉛、電解液に希硫酸を使用します。
メリット | デメリット |
安価で導入しやすい | 重くて大きい |
高電圧で安定した出力 | 継ぎ足し充電で性能が落ちやすい |
- | 有害物質を含み、廃棄時はリサイクル処理が必要 |
■ ニッケル・水素電池
ニッケルと水素吸蔵合金を使った蓄電池。家庭用の充電池やハイブリッドカーのバッテリーなどで使われてきました。
メリット | デメリット |
安全性が高い | エネルギー密度が低く、パワーが劣る |
過充電や過放電に強い | メモリー効果により性能が低下しやすい |
蓄電池の選び方のポイントはこちら
じゃあ、うちにはどんな蓄電池がいいの?」 そう思ったあなたは、ぜひこちらの記事もチェックしてみてください。 蓄電池を選ぶ際に重要な「容量」「寿命」「機能」など、6つのスペックと3つのタイプ、そして設置場所の注意点まで、詳しく解説しています。蓄電池の選び方!大切な6つのポイントや種類ごとの特徴を徹底解説!
気になる導入コストと、お得な補助金制度
蓄電池の魅力やメリットは理解してきたけれど、やっぱり一番気になるのは「実際、いくらくらいかかるの?」という導入費用ですよね。
家庭用蓄電池の導入費用は、蓄電容量や機能、設置環境によって大きく変わります。一般的には、本体価格と工事費、諸経費・消費税をあわせて90万円〜400万円程度が相場とされています【出典:省エネドットコム「家庭用蓄電池の価格」】。
容量ごとの価格目安(機器本体+工事費含む)
容量クラス | 概算費用(税込) | 年間の節電効果目安 |
---|---|---|
5kWh クラス | 約100〜160万円 | 年間3〜5万円の節電効果 |
10kWh クラス | 約180〜280万円 | 年間6〜8万円の節電効果 |
10kWh超(12〜15kWh) | 約300万円前後 | 年間8万円以上も期待 |
※容量やメーカー、設置場所などによって大きく変動するので目安としてご覧ください。
補助金制度をうまく活用しよう
自治体によっては導入費の一部を補助してくれる補助金制度も活用できます。たとえば、東京都の場合、最大で140万円以上の補助が受けられることも。
東京都の「家庭における蓄電池導入促進事業」では、以下のような支援が受けられます。
対象機器 | 蓄電池システム、エネルギーマネジメント機器、リフォーム瑕疵保険等の一部経費 |
対象者の例 | 蓄電池機器の所有者、マンションの管理組合など |
設置要件 | 都内の住宅に新規で設置、または増設されるもの |
助成金の基準 | 蓄電池の容量に応じて金額が決まる |
申込受付期間 | 令和5年度~令和9年度 |
交付期間 | 令和4年度~令和11年度 |
補助金の制度内容は、年度や地域によって変更されることがあります。そのため、最新情報を確認することがとても大切です。具体的には、経済産業省の資源エネルギー庁の公式サイトや、お住まいの都道府県・市区町村のホームページをチェックしましょう。
省エネドットコムでは、全国の補助金情報のご案内や申請のサポートも行っています。ご不明な点があれば、お気軽にご相談ください!
我が家に合った蓄電池容量の決め方を知る
ご家庭にあった容量の蓄電池を選ぶことは、蓄電池選びでとても大切なポイントです。 容量が小さすぎると、いざという時に電気が足りなくなってしまうかもしれません。大きすぎると初期費用が高くなってしまいます。
ご家庭の電気使用量や、太陽光発電の発電量、「停電時にどれくらいの時間、どんな電気製品を使いたいか」によって、必要な容量は変わってきます。 こちらの記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
家庭用蓄電池の容量の決め方!選ぶ目安や計算方法、注意点を解説
まとめ:蓄電池で賢く安心な暮らしを
今回は家庭用蓄電池の基本から、賢い活用方法、種類、そして気になる費用や補助金についてお話ししてきました。
- 電気代の節約
- 災害時の備え
- 太陽光発電の電気を有効活用
太陽光発電を設置しているご家庭や、これから設置を考えているご家庭にとっては、蓄電池を組み合わせることで、そのメリットを最大限に引き出すことができます。
「うちにも蓄電池、合うのかな?」「もっと詳しく話を聞いてみたい!」 そう感じたら、ぜひ省エネドットコムにお気軽にご相談ください。
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