• 「イラン情勢が緊迫」
  • 「ウクライナ情勢が長期化」
  • 「原油価格やLNG価格に影響」

ニュースでこうした言葉を見かけるたびに、「また電気代が上がるのでは?」と不安になる方も多いのではないでしょうか。

日本は発電に使う燃料の多くを海外から輸入しています。そのため、中東の情勢やロシア・ウクライナ情勢が不安定になると、燃料価格や為替を通じて、家庭の電気代にも影響が出やすくなります。遠い国のニュースに見えても、毎月の電気代の請求額と無関係ではありません。

この記事では、電気代が高騰する理由を、イラン・ウクライナ情勢、日本のエネルギー事情、燃料費調整制度の仕組みからわかりやすく解説します。さらに、今後の電気代の見通しと、家計を守るためにできる対策も紹介します。

電気代の高騰は一時的な問題ではなく、これからも起こりうるリスクです。だからこそ、節電だけに頼るのではなく、「電気を買う量を減らす暮らし方」を考えることが大切です。

なぜ国際情勢が「我が家の電気代」を直撃するのか?

海外の戦争と自宅の電気代に、どのような関係があるかと疑問に思う方もいるでしょう。

日本では、発電に使う燃料の多くを海外から輸入しています。そのため、産油国の情勢や世界の燃料価格が変動すると、日本の電気代にも影響が及びます。

日本はエネルギーの多くを海外に頼っている

日本のエネルギー自給率は、2024年度の速報値で16.4%です。国内で必要なエネルギーの大部分を、原油・石炭・LNG(液化天然ガス)などの輸入に頼っています。

特に原油は、中東地域への依存度が高い点に注意が必要です。経済産業省が公表した2025年のデータでは、原油輸入の中東依存度は94.0%、ホルムズ海峡への依存度は93.0%でした。

エネルギー資源日本の主な輸入先国際情勢による主なリスク
原油UAE、サウジアラビアなど中東情勢、ホルムズ海峡の通航問題
LNGオーストラリア、マレーシア、ロシア、米国など世界的な需要増加、輸出設備の停止
石炭オーストラリア、インドネシアなど輸送費、為替、世界的な需要増加

LNGの中東依存度は10.8%と、原油ほど高くありませんが、ある地域で供給不足が発生すると、各国が別の地域からLNGを調達しようとします。結果として世界的な争奪戦が起こり、日本が購入するLNGの価格も上昇する可能性があります。

燃料費調整制度によって燃料価格が電気代に反映される

電気料金には、燃料費調整額という項目が含まれています。燃料費調整額とは、原油・LNG・石炭など、発電に使う燃料の価格変動を電気代に反映するものです。

日本は発電に使う燃料の多くを海外から輸入しているため、イラン情勢やウクライナ情勢によって燃料価格が上がると、電気を作るコストも上がります。その上がった分が、燃料費調整額として電気代に反映される仕組みです。

燃料価格が上がれば、燃料費調整額も増えます。反対に、燃料価格が下がれば、燃料費調整額も下がります。燃料は海外から輸入しているため、円安が進むと日本円での負担が重くなります。燃料価格だけでなく、為替の動きも電気代に影響します。

多くの料金メニューでは、3~5か月前の燃料価格をもとに燃料費調整単価が決まります。そのため、中東情勢によって原油やLNGの価格が上がった場合、数か月遅れて家庭の電気代に影響する可能性があります。

イラン・ウクライナ情勢が燃料市場を不安定にしている

ロシアによるウクライナ侵攻以降、欧州はロシア産天然ガスへの依存を減らし、LNGの調達を増やしました。

日本と欧州が同じLNG市場から燃料を購入する場面も増え、世界的な需給が引き締まりました。資源エネルギー庁も、ウクライナ侵攻以降、LNGの需給ひっ迫や化石燃料価格の高騰リスクが高まったと説明しています。

ホルムズ海峡は、中東産の原油やLNGを運ぶ重要なルートです。通航が難しくなれば、実際の供給量が減っていなくても、「今後不足するかもしれない」という警戒感から価格が上昇することがあります。

2026年7月には、中東情勢の緊迫化やカタールからの供給不安を背景に、アジアと欧州のLNG調達競争が強まっています。日本や韓国では、中東産を補うために米国産LNGの調達を増やす動きも見られます。

国際情勢電気代へ影響する流れ
ウクライナ情勢欧州がLNG調達を拡大し、世界の燃料価格が上昇
イラン情勢ホルムズ海峡の通航不安により、原油・LNG価格が上昇
円安外貨で購入する燃料の円換算価格が上昇
異常気象冷暖房需要が増え、燃料の争奪が激しくなる

国際情勢が悪化したからといって、翌月の電気代が必ず上がるわけではないですが、燃料価格・為替・輸送費が重なると、時間を置いて電気料金に影響する可能性があります。

国内の電力需要増加も電気代を押し上げている

電気自動車の普及とAI・データセンターの電力需要が急増

日本の電力供給は、国内需要増加の影響も受けています。
電気自動車の充電インフラ拡充やAI・クラウドサービスの成長により、データセンターの消費電力が年々増加傾向にあります。
昼間に大規模データセンターが稼働し、夜間に電気自動車の充電が集中すると、電力供給と需要のバランスが崩れやすくなります。

電気代はこれからどうなる?

今後の電気代を正確に予測することは困難です。原油やLNGの供給量だけでなく、為替、気温、各国の景気、電力需要、政府の支援策など、さまざまな要因が関係するためです。

少なくとも、しばらくは高止まりや再高騰に備えておく必要があるでしょう。

高止まり・再高騰のリスクは残っている

電気代を押し上げる可能性がある主な要因は、次のとおりです。

  • 中東やウクライナ情勢の長期化
  • ホルムズ海峡などの輸送ルートの混乱
  • 円安による輸入価格の上昇
  • 猛暑や厳冬による電力需要の増加
  • 世界的なLNG需要の増加
  • 政府による料金支援の縮小・終了

今後、国際情勢が落ち着き、円高や燃料価格の下落が進めば、電気代が下がる可能性はあります。

一方で、何らかの問題が起きるたびに価格が上がりやすい構造は変わっていません。海外の燃料に大きく依存している限り、日本の電気代は国際情勢の影響を受け続けます。

政府の電気代支援には期限がある

政府は、電気代やガス代の急な値上がりによる負担を軽くするために、電気・ガス料金の支援を行っています。このような支援は、一般的に激変緩和措置と呼ばれます。

激変緩和措置とは、燃料価格の高騰などで電気代やガス代が急に上がったときに、家庭や企業の負担をやわらげるための一時的な支援策です。2026年夏の支援では、7月・8月・9月使用分の電気料金が値引きされます。

家庭などの低圧電力に対する値引き単価は、次のとおりです。

使用月電気料金の値引き単価
2026年7月3.5円/kWh
2026年8月4.5円/kWh
2026年9月3.5円/kWh

家計にとってはありがたい支援ですが、注意したいのは激変緩和措置はずっと続く制度ではないという点です。

現在発表されている電気料金支援は、2026年7月・8月・9月使用分が対象です。支援が終了すれば、値引きされていた分だけ請求額が増える可能性があります。

政府の支援は一時的な負担軽減策であり、電気代高騰の根本的な解決策ではありません。日本が発電に使う燃料の多くを海外から輸入している限り、燃料価格や為替の影響を受けやすい状況は続きます。

だからこそ、補助に頼るだけでなく、家庭で買う電気を減らす対策も考えておくことが大切です。

電気代高騰への自衛策「太陽光発電」という選択肢

国際情勢や政府の支援内容を、家庭でコントロールすることはできません。そこで考えたいのが、電気を節約するだけでなく、電力会社から買う電気そのものを減らす方法です。

「電気は買う時代」から「家で作る時代」へ

太陽光発電を設置すると、日中に発電した電気を家庭内で使えます。発電した電気を自家消費すれば、その分だけ電力会社から購入する電力量を減らせます。

たとえば、昼間に次の家電を使う家庭では、太陽光発電の電気を活用しやすくなります。

  • エアコン
  • 冷蔵庫
  • 洗濯乾燥機
  • 食器洗い乾燥機
  • エコキュート
  • 電気自動車の充電

太陽光発電のメリットは、今の電気代を抑えやすくなることだけではありません。購入する電力量を減らせれば、今後、電気料金単価や燃料費調整額が上がった場合の影響も受けにくくなります。

太陽光発電は「電気代を安くするための設備」であると同時に、電気代高騰への備えにもなるのです。

太陽光発電だけで電気代が必ずゼロになるわけではありませんが、毎月の電気代が上がり続ける不安がある中で自宅で電気を作れる安心感は大きなメリットです。

蓄電池とのセット利用でさらに効果アップ

太陽光発電で作った電気をさらに有効活用したい場合は、蓄電池とのセット利用が効果的です。

太陽光発電だけの場合、昼間に使い切れなかった電気は売電します。蓄電池があれば、余った電気をためて夜間に使えます。

設備電気の使い方
太陽光発電のみ日中に発電し、その場で使用する
太陽光発電+蓄電池日中の余剰電力をため、夜間にも使用する

蓄電池から電気を供給する時間帯は、電力会社からの購入量を抑えられます。電力需要が多い時間帯に蓄電池を活用する方法は、電力全体の燃料調達コストを抑える対策としても期待されています。

蓄電池には初期費用がかかりますが、停電時に非常用電源として利用できる点も、大きなメリットです。

導入を考えるときは、屋根の向きや発電量、初期費用、補助金などをまとめて確認しておくと安心です。家庭によって合う設備は変わるため、まずは自宅の場合にどれくらい発電できるのかをシミュレーションしてみましょう。

まとめ

電気代の高騰は、毎日の節電だけで解決できる問題ではありません。

日本は発電に使う燃料の多くを海外から輸入しているため、イラン情勢やウクライナ情勢、為替の動きによって、家庭の電気代が影響を受けることがあります。

政府の電気・ガス料金支援は、家計にとってありがたい制度です。しかし、あくまで一時的な負担軽減策であり、電気代高騰の根本的な解決策ではありません。

だからこそ、これからは「電気を安く買う」だけでなく、電力会社から買う電気を減らすという視点が大切です。

太陽光発電を導入すれば、日中に発電した電気を家庭で使えます。さらに蓄電池を組み合わせることで、昼間に作った電気を夜間にも活用しやすくなります。

電気代が上がるたびに不安になる暮らしから、少しずつ自宅で備える暮らしへ。

まずは、自宅の屋根でどれくらい発電できるのか、どれくらい電気代を抑えられる可能性があるのかを確認してみましょう。

省エネドットコムでは、太陽光発電や蓄電池の無料相談・お見積りを受け付けています。他社のお見積りチェックや、ご自宅の屋根に合わせた発電シミュレーションも可能です。

電気代高騰に備えたい方は、まずはお気軽にご相談ください。