「10年前は売電価格が高かったけれど、今から太陽光発電を始めても遅いのでは?」

そう感じている方も多いのではないでしょうか。

2016年度の売電価格は1kWhあたり31円または33円と、現在と比べると高い水準でした。しかし、売電価格だけを見て「昔は得、今は損」と決めてしまうのは、少しもったいない考え方です。

太陽光発電の設置費用は10年前より下がっており、電気代の高騰によって自宅でつくった電気を自宅で使うメリットは以前より大きくなっています。

この記事では、10年前に太陽光発電を設置した家庭がどれくらい恩恵を受けたのか、そして2026年から導入する場合にどんなメリットがあるのかをわかりやすく解説します。

10年前に始めた人は大きなメリットを得ています。とはいえ、今から始めても決して遅くありません。これからの太陽光発電で大切なのは、売電収入だけに注目することではなく、高い電気を買わない暮らしに目を向けることです。

10年前に太陽光発電を始めた人が得られたメリット

10年前に太陽光発電を導入した家庭は、高い売電価格だけでなく、その後の電気代高騰を抑えられた点でも大きな恩恵を受けています。

「売って得する」と「買わずに済んで得する」の両方を受けられたのが、10年前に導入した家庭の強みです。

FITの恩恵で、余った電気を高い価格で売れた

FITとは、太陽光発電などでつくった電気を、電力会社が国の定めた価格で一定期間買い取る制度です。

2016年度に認定された住宅用太陽光発電の売電価格は、次のように設定されていました。

2016年度の住宅用太陽光発電売電価格買取期間
出力制御対応機器の設置義務なし31円/kWh10年間
出力制御対応機器の設置義務あり33円/kWh10年間

基本的には出力制御対応機器の有無によって価格は異なりますが、余った電気を10年間、31円または33円で売れたことになります。

たとえば、年間3,850kWhを31円で売電した場合、売電収入の目安は次のようになります。

  • 年間の売電収入:約11万9,000円
  • 10年間の売電収入:約119万円

10年間で見ると、売電収入だけでも大きな金額になることが分かります。

当時の太陽光発電は、現在より初期費用が高かったものの、高い売電価格によって費用を回収しやすい仕組みでした。

電気代が上がっても、買う電気を減らせた

10年前に太陽光発電を始めた家庭のメリットは、売電収入だけではありません。

もうひとつ大きかったのが、自宅でつくった電気を使うことで、電力会社から買う電気を減らせたことです。

太陽光発電があれば、晴れた日の日中に使う電気を自宅でまかなえます。その分、電力会社から購入する電気が少なくなり、毎月の電気代を抑えやすくなります。

特に近年は、燃料価格の高騰などの影響で電気料金が上がりました。電気代が上がると、電力会社から買う電気の単価も高くなります。そのため、太陽光発電でつくった電気を自宅で使える家庭ほど、電気代高騰の影響を受けにくくなります。

太陽光発電は「売って得する」だけではなく、高い電気を買わずに済むことで家計を守る設備としても役立ってきたのです。

電気代が高くなるほど、自宅で発電した電気を使う価値は大きくなります。

売電収入と電気代削減で、10年間のメリットが大きかった

10年前に5kWの太陽光発電を設置した家庭では、どのくらいの経済効果があったのでしょうか。

ここでは、次のような家庭を例に見てみます。

  • 太陽光発電の容量:5kW
  • 年間発電量:5,500kWh
  • 自宅で使う電気:年間1,650kWh
  • 売電する電気:年間3,850kWh
  • 売電価格:31円/kWh
  • 自宅で使った電気の価値:28円/kWh
  • 計算期間:10年間

この条件で計算すると、10年間の経済効果は次のようになります。

内容10年間の目安
余った電気を売った収入約119万4,000円
自宅で使って減らせた電気代約46万2,000円
合計の経済効果約165万6,000円

つまり、10年間で約165万円分のメリットがあった計算です。売電価格が33円/kWhだった地域では、10年間の経済効果は約173万円になります。

2016年に新築住宅へ設置された住宅用太陽光発電の平均費用は1kWあたり約34万5,000円なので、5kWを設置した場合は約172万5,000円です。

この金額と比べると、条件のよい家庭では、10年間で初期費用の大部分を回収できたと考えられます。

もちろん、すべての家庭で同じ結果になるわけではありません。実際の収支は、次のような条件によって変わります。

  • 屋根の向きや角度
  • 地域の日射量
  • パネルの容量
  • 日中の電気使用量
  • 設置費用
  • 自治体の補助金
  • 点検や修理にかかった費用

それでも、10年前に太陽光発電を始めた家庭は、FITによる高い売電価格と、自宅で発電した電気を使うことによる電気代削減の両方を受けられました。

この2つのメリットを10年間受けられたことは、大きな恩恵だったといえるでしょう。

なぜ「今からでは遅い」は大きな勘違いなのか?

「10年前の人が得をしたことは分かった。でも、今は売電価格が低いから損なのでは?」

そんな疑問を持つ方も多いでしょう。

しかし、2026年の太陽光発電は、10年前とは利益を得る方法が変わっています

昔は「余った電気を高く売る設備」という側面が強くありました。

現在は、自宅で電気をつくり、高い電気を買う量を減らす設備としての価値が高まっています。

「売電価格が下がったから損」は本当?

2026年度に認定される10kW未満の住宅用太陽光発電では、「初期投資支援スキーム」という仕組みが適用されます。初期投資支援スキームとは、太陽光発電を導入した直後の費用回収を後押しするために、最初の4年間だけ売電価格を高めに設定する制度です。

売電価格は、次のように設定されています。

期間売電価格
1~4年目24円/kWh
5~10年目8.3円/kWh

5年目以降の売電価格は、8.3円/kWhです。この数字だけを見ると、「安いから損なのでは?」と感じるかもしれません。

しかし、今の太陽光発電は売電で稼ぐより、自宅で使って電気代を減らすことが大切です。発電した電気を自宅で使えば、電力会社から買う電気を減らせます。

2026年度の試算では、自宅で使う電気の価値は次の通りです。

  • 売電価格:8.3円/kWh
  • 自家消費の価値:約27〜28円/kWh

8.3円で売るより、約27〜28円分の電気代を減らす方がメリットは大きくなります。

これからの太陽光発電は、「売る」より「使う」時代です。

「初期費用が高すぎる」は本当?

太陽光発電の導入を考えたとき、やはり気になるのは初期費用です。100万円以上かかるなら、簡単には決められない、と感じる方はとても多いです。

たしかに太陽光発電は決して安い設備ではありませんが、10年前と比べると設置費用は下がってきています。

資源エネルギー庁のデータによると、新築住宅に設置された太陽光発電の平均システム費用は、2016年は1kWあたり約34万5,000円でした。それが2025年には、1kWあたり約28万9,000円まで下がっています。

たとえば、新築住宅に5kWの太陽光発電を設置する場合、平均費用の目安は次のようになります。

設置費用の基準5kWの費用目安
2025年の新築平均約144万5,000円
2016年の新築平均約172万5,000円

実際の金額はメーカーや屋根の形、工事内容によって変わりますが、10年前と比べると太陽光発電は以前より導入しやすい設備になっています。自治体の補助金を利用できれば、実際に負担する金額を抑えられる可能性もあります。

大切なのは、金額だけを見て諦めるのではなく、自宅の場合はいくらで設置できて、どれくらい電気代を減らせるのかを確認することです。

2026年現在、これから太陽光発電を導入すべき3つの理由

太陽光発電を導入する目的は、売電収入だけではありません。

2026年の家庭にとっては、電気代の負担を安定させ、将来の値上がりに備えることが大きな目的になります。

理由1:電気代高騰の影響を受けにくくなる

日本は発電に使う燃料の多くを海外から輸入しているため、次のような要因の影響を受けやすい特徴があります。

  • 燃料価格の変動
  • 為替の変動
  • 国際情勢の変化

海外で燃料の価格が上がると、その影響が家庭の電気料金にも少しずつ広がっていきます。

太陽光発電を設置したからといって、電力会社との契約が不要になるわけではありませんが、夜間や雨の日など、発電できない時間帯は電力会社から電気を購入します。

晴れた日の日中に使う電気を自宅でつくれれば、電力会社から買う電気の量を減らせます。太陽光発電があることで、電気料金の値上がりによる影響を受けにくい住まいに近づけられます。

理由2:売電価格が下がった今は「自家消費」でメリットを出しやすい

10年前と比べると、売電価格は下がっています。そのため、「売電で元を取る」という考え方だけで見ると、以前よりメリットが小さく感じるかもしれません。

しかし現在は、電気料金そのものが上がっているため、発電した電気を自宅で使う「自家消費」の価値が高まっています。

太陽光発電でつくった電気を自宅で使えば、その分だけ電力会社から買う電気を減らせます。電気代が高い今は、売電するよりも、自宅で使うことで得られる節約効果のほうが大きくなりやすい状況です。

2026年の太陽光発電は、売電収入で利益を出す設備というよりも、毎月の電気代を抑えるための設備として考えると分かりやすいです。

理由3:蓄電池と組み合わせれば、夜間や停電時にも電気を使える

太陽光発電だけを設置している場合、日中に使い切れなかった電気は電力会社へ売ることになります。

売電できる点はメリットのひとつですが、最近は売電価格よりも「自宅で使って電気代を減らす価値」の方が大きくなっています。

そこで役立つのが、蓄電池です。

蓄電池があれば、日中に太陽光発電でつくった電気をためておき、夕方や夜間に使えます。電気を買う量をさらに減らせるため、発電した電気をよりムダなく活用できます。

停電時に蓄電池へ電気が残っていれば、非常用電源として使える点も大きな安心材料です。冷蔵庫や照明、スマートフォンの充電など、停電中に必要な電気をまかなえる可能性があります。

ただし、雨の日や発電量が少ない時期は、電力会社から電気を購入することもあります。大切なのは、無理に「電気を完全自給すること」を目指すのではなく、買う電気をできるだけ減らし、停電時にも必要な電気を使える状態にしておくことです。

太陽光発電と蓄電池を組み合わせることで、日々の電気代対策だけでなく、もしもの停電への備えにもつながります。

2026年に太陽光発電を導入した場合のシミュレーション

2026年に5kWの太陽光発電を導入した場合、どのくらいの経済効果が期待できるのでしょうか。

ここでは、年間発電量を5,500kWhと仮定し、次の条件で試算します。

  • 太陽光発電の容量:5kW
  • 年間発電量:5,500kWh
  • 自宅で使う電気:年間1,650kWh
  • 売電する電気:年間3,850kWh
  • 自家消費する電気の価値:27.45円/kWh
  • 1~4年目の売電価格:24円/kWh
  • 5~10年目の売電価格:8.3円/kWh
内容10年間の目安
自家消費によって減らせる電気代約45万3,000円
1~4年目の売電収入約37万円
5~10年目の売電収入約19万2,000円
初期費用などを差し引く前の経済効果約101万円

参考として、2025年に新築住宅へ設置された太陽光発電の平均費用は、1kWあたり約28万9,000円でした。5kWに換算すると、約144万5,000円です。

実際の経済効果は、屋根の日当たり、設置費用、日中の電気使用量、補助金の有無によって変わります。まずは自宅の条件に合わせて、発電量や費用回収の目安を確認することが大切です。

※試算には、発電量の低下、点検費用、パワーコンディショナーなどの機器交換費用、ローン金利は含まれていません。

失敗しないために!今から太陽光発電を導入する際の注意点

太陽光発電は、設置すれば必ず同じ結果が出る商品ではありません。屋根や生活スタイルに合わない設備を選ぶと、期待していたほど発電しない可能性があります。

導入を決める前に、次の3点を確認しましょう。

必ず複数社から相見積もりを取る

太陽光発電の見積もりは、販売会社によって内容が異なります。

本体価格だけを比べるのではなく、次の項目も確認してください。

  • パネルとパワーコンディショナーのメーカー
  • 設置容量
  • 年間発電量の予測
  • 工事費
  • 足場代
  • 保証内容
  • 定期点検の有無
  • 屋根の防水対策
  • 将来の機器交換費用

同じ5kWでも、パネルの性能や設置方法、保証内容は同じではありません。極端に安い見積もりには、必要な工事が含まれていないケースもあります。

最低でも2~3社から見積もりを取り、総額と工事内容を比べましょう。

自宅の屋根と日中の電気使用量を確認する

太陽光発電の効果は、屋根の条件によって大きく変わります。

特に確認したいポイントは次のとおりです。

  • 屋根の向き
  • 屋根の傾斜
  • 周辺の建物や樹木による影
  • 設置できるパネルの枚数
  • 屋根材と築年数
  • 将来の屋根塗装や修理予定

南向きの屋根は発電量を確保しやすい傾向があります。東向きや西向きでも設置できるため、向きだけで諦める必要はありません。

もう一つ重要なのが、日中の電気使用量です。在宅勤務やオール電化などで昼間に電気を多く使う家庭は、自家消費率を高めやすくなります。

まずはご自宅の屋根を使った太陽光発電シミュレーションで、年間発電量と収支を確認しましょう。

自治体の補助金をフル活用する

太陽光発電や蓄電池には、都道府県や市区町村が独自の補助金を用意している場合があります。

補助対象になりやすい設備は次のとおりです。

  • 住宅用太陽光発電
  • 家庭用蓄電池
  • V2H
  • エコキュート
  • ZEH住宅
  • 省エネリフォーム

補助金には予算上限があるため、申請期間中でも予算に達すると受付が終了する可能性があります。

また、工事契約や設置工事を始める前の申請が必要な制度も少なくありません。お住まいの地域で利用できる補助金を知りたい方は、最新の補助金情報もあわせてチェックしておくと安心です。

まとめ|10年前の人は得をした。でも、今からでも遅くない

10年前に太陽光発電を導入した家庭は、31円または33円という高い売電価格によって、大きな恩恵を受けました。

さらに、発電した電気を自宅で使うことで、電気代が上がった時期にも購入する電気を減らせています。売電収入だけでなく、電気代高騰への備えとしても役立ってきたといえるでしょう。

2026年現在の売電価格は10年前より低くなっている一方で、太陽光発電の設置費用も下がっています。電気代が高くなった今は、余った電気を売るよりも、つくった電気を自宅で使う価値が高まっています。

これから太陽光発電を導入するなら、次の3つを意識することが大切です。

  • 売電収入だけで判断しない
  • 自家消費による電気代削減を重視する
  • 自宅の屋根に合った設備と価格を選ぶ

太陽光発電は、どの家庭でも同じ効果が出る設備ではありません。屋根の向きや日当たり、日中の電気使用量、設置費用によって、発電量や回収期間は変わります。

だからこそ、導入前に「わが家の場合はどうなのか」を数字で確認しておくことが大切です。

省エネドットコムでは、太陽光発電の販売・施工実績48,000棟以上の経験をもとに、ご自宅の屋根に合わせた発電シミュレーションやお見積もりをご案内しています。

他社のお見積もりチェックや、複数メーカーの比較、蓄電池・V2Hを含めたご相談も無料です。

「本当に元が取れるの?」「わが家の屋根でも発電できる?」と気になったら、まずは設置シミュレーションで具体的な数字を確認してみましょう。