太陽光発電を導入したいと思っても、「初期費用はどのくらいで回収できるのか」「売電単価が下がったら損をしないか」と不安に感じる方は少なくありません。これまでのFIT制度(固定価格買取制度)は普及を支えましたが、電気代への負担や自家消費の広がりにくさが課題でした。
そこで2025年後半から始まるのが「2段階価格FIT制度」です。“初期投資支援スキーム”として、最初の数年間は高めの売電単価で早期回収を促し、その後は低めに移行して自家消費を後押しする仕組みです。
この記事では、2段階価格FITの特徴や従来制度との違い、導入メリットと注意点を解説します。制度開始に合わせて検討を進めることで、安心して太陽光発電を取り入れる判断ができるはずです。
新しい「2段階価格FIT」って何?
「2段階価格FIT」は、2025年後半から始まる新しい固定価格買取制度です。これまでのFIT制度では、10年間や20年間といった一定期間、同じ価格で売電を続けられる仕組みでした。しかし、この方式だと初期投資を回収するまでに時間がかかり、導入を迷う方も多かったのが現実です。
そこで考えられたのが、“初期投資支援スキーム”としての「2段階価格FIT」。前半の5年間は高めの売電価格が設定され、投資した費用を早めに回収できるように工夫されています。そして6年目以降は低めの価格へ移行。後半は売電収入よりも自家消費を増やすことに重点を置く仕組みです。
- 前半(最初の4年間): これまでより高い価格で買い取ってもらえる
- 後半(5年目~10年目): これまでより低い価格で買い取ってもらえる
この仕組みによって、太陽光発電を設置した後の家計の負担を軽くし、より多くの方が太陽光発電を導入しやすくなることを目指しています。
どうして制度が変わるのか
どうして今までの制度ではいけなかったのかと疑問に思いますよね。今回の制度変更には、大きく2つの理由があります。
これまでのFIT制度の課題
- 電気代への負担
FIT制度では、再エネ賦課金という形で電気代に上乗せがあり、国民全体の負担感が課題になっていました。 - 自家消費が進まない
「売電単価が高いから、発電した電気はすべて売る」というケースが多く、結果的に家庭での省エネや自家消費拡大につながりにくかったのです。
新しい制度のねらい
- 導入ハードルを下げる
初期投資が早く回収できる設計により、「費用が気になるから導入をためらう」という声に応える。 - 自家消費・蓄電池の活用を広げる
後半の売電単価は下がるため、「売るよりも自分で使うほうが得」という流れになります。ここで蓄電池の導入がカギとなり、発電した電気をより効率的に活用できるようになります。
「2段階価格FIT」の具体的な仕組み
2段階の価格設計
新しい制度では、住宅用太陽光発電(10kW未満)の場合、買取期間10年のうち、最初の4年間と5年目以降で価格が変わります。

- 最初の4年間: 24円/kWh
- 5年目~10年目: 8.3円/kWh
最初の4年間は非常に高い価格で買い取ってもらえますが、5年目からは価格が下がるのが大きな特徴です。
新しいFIT価格とこれまでの比較表
これまでの制度と比べてどれくらい違うのか、表で見てみましょう。
制度 | 適用時期 | 買取価格 | 10年間の平均単価(目安) |
従来のFIT | 2025年上半期まで | 15円/kWh(10年間固定) | 15円/kWh |
新しいFIT | 2025年下半期から | 24円/kWh (~4年) 8.3円/kWh (5~10年) | 約14.6円/kWh |
※10年間の平均単価は(24円×4年 + 8.3円×6年)÷10年で計算したものです。
この表からも分かる通り、新制度は「早く回収 → その後は自家消費重視」という2段階の流れを持っています。
開始される時期
この新しい「2段階価格FIT」は、2025年下半期から開始される予定です。 これから太陽光発電を検討する方は、この新しい制度が適用される可能性が高いということを覚えておきましょう。
「2段階価格FIT」のメリットと注意点

新しい制度には、良い点もあれば、事前に知っておきたい注意点もあります。
メリット
- 初期投資の回収が早い
最初の4年間に多くの売電収入が得られるため、設置費用の回収が早まり安心感につながります。 - 自家消費が自然に増える
5年目以降は売電単価が下がるため、家で使う方が得になり、電気代節約につながります。 - 蓄電池導入の好機
余剰電力を貯めて夜間に使える蓄電池との相性が良く、導入を検討する良いタイミングです。
注意点
- 5年目以降は売電収入が減少
前半との落差を理解しないと「思ったより収入が少ない」と感じる可能性があります。 - 長期シミュレーションが必要
家庭の電気使用量やライフスタイルに合わせ、10年・15年先まで収支を確認することが大切です。 - 再エネ賦課金はすぐに減らない
制度導入後も当面は電気代に上乗せされるため、節約効果は自家消費によって得る形になります。
5年目以降の売電収入を考慮した収支シミュレーション
新しい制度を検討する上で最も重要なのが、5年目以降に売電収入が下がることをしっかり理解しておくという点です。ここで簡単なシミュレーションをしてみましょう。
<前提条件>
- 太陽光発電の容量: 5kW
- 年間の発電量: 5,000kWh
- 自家消費率: 30%(発電した電気のうち、3割を家庭で使う)
- 年間の売電量: 3,500kWh(5,000kWh × 70%)
- 電気料金単価(自家消費で節約できる額): 35円/kWh と仮定
この条件で、現行のFIT制度と新しい2段階価格FIT制度の10年間の経済メリット(売電収入+節約額)を比較してみます。
項目 | 現行FIT制度 (15円/kWhで10年固定) | 新しい2段階価格FIT制度 |
年間の売電収入(1~4年目) | 52,500円 | 84,000円 |
年間の売電収入(5~10年目) | 52,500円 | 29,050円 |
10年間の売電収入 合計 | 525,000円 | 510,300円 |
自家消費による節約額 合計 (10年分) | 525,000円 | 525,000円 |
【10年間の経済メリット合計】 | 1,050,000円 | 1,035,300円 |
新制度は最初の4年間の収入が多く、初期費用を早く回収できるのが強み。ただし5年目以降は売電収入が大きく減ります。10年間の合計では現行制度と大差ありませんが、蓄電池で自家消費率を高めれば新制度の方が有利です。
ご家庭のライフスタイルや電気の使用状況によって、最適なプランはまったく異なります。導入してから後悔しないためにも、専門家と一緒にご自宅に合わせた詳細なシミュレーションを行うことを強くおすすめします。
まとめ
2段階価格FITの最大の魅力は、前半で高めの売電収入を得て初期投資を早く回収できる点です。後半は売電単価が下がるため、自家消費を増やして電気代を削減する工夫が欠かせません。
5年目以降の収入減少を理解せずに導入すると「思ったより売電が少ない」と感じる可能性があります。導入前に10年・15年先までを見据えた収支シミュレーションを行い、自分の家庭に合うかを確認しておくことが大切です。
蓄電池を組み合わせれば自家消費率を高められ、夜間や雨の日にも余剰電力を活用できます。エコキュートやIHと組み合わせれば購入電力をさらに減らせるため、新制度のメリットを最大限に活かせます。
2025年後半から始まる新制度は、太陽光発電を導入したい方にとって大きなチャンスです。今のうちに発電シミュレーションや見積もりを行い、制度に最適化したプランを準備しておくことをおすすめします。
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