「オール電化」はその名の通り、生活で消費するエネルギーをすべて電気でまかなうシステムのこと。給湯や暖房のエネルギーを電力でまかなったり、キッチンにはIHクッキングヒーターを導入したりします。一方「オールガス」はガスの燃焼によって発電し、家庭の電気使用量を最小限に抑えるシステムのこと。オール電化と異なり、家庭で消費する電力をすべてガスでまかなうことは難しいため、電力会社からの電力も併用するケースがあります。また、エコキュートやエコジョーズ、エコウィルなど給湯機能を持った周辺機器と組み合わせて利用する家庭も多いようです。
「オール電化」と「オールガス」どちらにどんな特長やメリットがあるのか、徹底的に比較します。

経済性について

「オールガス」と「オール電化」どちらとも割引料金が設定されているので、導入前に比べて光熱費がお得になることがほとんど。
ただし「オールガス」の場合は、電気の基本料金と使用料に加え、ガスの料金も必要になりますが「オール電化」の場合はガスの料金がかかりません。また、電気の基本料金の割引率も合わせて考えると「オール電化」の方が有利になることは多いようです。
さらに都市ガスよりも料金が高い傾向にあるLPガス(プロパンガス)を利用している方は「オール電化」の方が経済性の高さを実感出来るでしょう。

安全性・災害復旧の面について

消し忘れが心配なお年寄りや、小さなお子様がいるご家庭の場合、直火の引火や吹きこぼれた後の立ち消えの心配がない「オール電化」がおすすめです。
地震や災害時の復旧スピードでは、電気の方が早い傾向があり、電気の場合は地上の電線を復旧するのに対し、ガスの場合は地中のガス管を復旧しなければならないケースがあるので工事が終わるまでに時間がかかることが挙げられます。実際に東日本大震災の際、電気は1週間程度で復旧しましたが、ガスは5週間程度かかりました。

家族構成から考える「オール電化」・「オールガス」のメリット、デメリット

昼間あまり家にいない共働き夫婦のご家庭などは、深夜割引のあるオール電化が光熱費削減に有効なケースがあります。しかし2〜3世帯同居の大家族で日中も電力消費が多い家族構成の場合は、ガスの方が安くなることも多いようです。

寒暖の違いによる地域差

比較的温暖な土地に住んでいるご家庭は「オール電化」にすればクリーンで快適な生活が送れるかもしれませんが、寒冷地にお住いのご家庭は、冬場は立ち上がりが早くパワーの強いガスの威力が必要となるかもしれません。
あるいは、深夜の安い電力を活用する蓄熱式暖房機を導入するという方法もあります。

IHクッキングヒーターとガスコンロの比較①〜熱及び調理面〜

熱効率でいうと、鍋底を発熱させるIHクッキングヒーターの方が高効率です。
ただしIHクッキングヒーターの場合は鍋との相性がポイント。使用する鍋の材質は、鉄が最適です。鉄以外の金属に対応したIHもありますが、若干熱効率が下がってしまうとのこと。最近ではIH対応型の鍋も沢山出ていますが、鍋についてはあらゆる鍋が使用できるガスコンロが有利といえます。
自動湯沸かしやタイマーなど便利な自動調理機能はIHクッキングヒーターが充実しています。温度を一定に保てるので、揚げ物も簡単。また、「IHだと火力が弱いんじゃないの?」という声も聞きますが、心配ご無用。鍋自体を加熱するので熱変率は抜群なんです。ガスコンロに負けない高火力で、パラパラで美味しいチャーハンも作れます。ただ、IHクッキングヒーターは鍋を激しく揺すったりはできないので、そのようなこだわりのある方はガスコンロがおすすめかもしれません。

IHクッキングヒーターとガスコンロの比較②〜エコロジー&衛生面〜

IHクッキングヒーターが優れている点は、室内の空気を汚さないことです。ガスコンロは火力で調理するので、室内の酸素が燃やされ、更に一酸化炭素が排出されます。そのため換気を徹底しないと、一酸化中毒になる危険性があります。それに対してIHは火を使いませんので、酸素が欠乏することはありません。換気不要というわけではありませんが、ガス使用時ほどの換気は必要ありません。
衛生面からいうと、IHクッキングヒーターは表面が平らですので、キッチンの見栄えが良く、なによりお入れが簡単です。一方、ガスコンロは汚れやすく、IHに比べデコボコが多いので掃除が大変です。キッチンの見栄えやお手入れを気にする方はIHを選ぶようです。

給湯器(電気温水器orガス給湯システム)の比較①〜エコキュート〜

「オール電化」の電気温水器の代表格“エコキュート”は「ヒートポンプ」という加熱方式を採用しています。この加熱方式は二酸化炭素を排出せず、非常にエコロジーといえます。発電時の二酸化炭素を考えてもガス給湯機に比べ年間500kgの二酸化炭素を削減できます。エコキュートはお得な深夜電力を使って低コストでお湯を沸かし、貯湯タンクに高温のお湯を貯めます。おおきな水筒や魔法瓶を想像してください。またお湯を使う時は水と混ぜて設定した温度で蛇口から出てきます。
敢えてデメリットを挙げるとするなら、タンクにお湯を貯めるため設置スペースが必要な点があるでしょう。
※東京電力「家庭からのCO2排出削減に向けて~東京電力の新たなチャレンジ~」より

給湯器(電気温水器orガス給湯システム)の比較②〜ガス給湯システム〜

ガス湯沸かし器はガスの炎で瞬間的にお湯を沸かすので、エコキュートのようなタンクはなくコンパクトで場所を取りません。しかし、ガス湯沸かし器は火を燃やすので、多くの二酸化炭素を排出してしまいます。エコキュートに比べると機器は低価格ですが、ランニングコストは高くなります。

まとめ

オール電化とオールガス。どちらにしても、メリット・デメリットはあるものです。また、多世帯家族の場合でもオール電化に太陽光発電を組み合わせることで、昼の電気は自家発電し、夜の安い電気を使用することが出来ます。「オール電化」を導入するか、「オールガス」を導入するかはご家族のライフスタイルに合わせて比較検討してからフィットするものを選びましょう。