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コジさんのエコな日々

コジさんのエココラム

2013年04月19日(金)

第10回:造園家 古山隆志さん編vol.2

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コジさんエコロジスト対談/造園家 古山隆志さん編vol.1

自然とともに暮らしてきた日本の心を体現する造園家でもあり、ビオトープづくりを通して子どもたちに自然のすばらしさを伝える活動家でもある古山隆志さんをお迎えしての対談第2弾です。

小島:

学校や施設にビオトープを作ることにより、子どもたちにはどんな効果があると考えますか?

古山:
子どもたちにはたくさんの自然を発見してもらいたいと思っています。匂い、触感、生き物の持つ力を自らで感じてもらいたいですね。
古山:

身近な自然体験から命の大切さを学び、友情を育み、やさしい心をもって欲しいと思います。生き物が集まるところには人も集まります。学校に作ったビオトープには子どもだけでなく、先生たちもほっと一息つきに足を運ぶのをよく目にします。年配の方からは子供の頃に見た風景を思い出し懐かしいと言われますね。子どももお年寄りも、家族間の話題としてビオトープは最適なのではないでしょうか。季節とともに移り変わる自然の様子、訪れる生き物たちが話題であれば年齢も性別も飛び越えられて会話が弾むような気がします。

小島:

どんなことを子どもたちに伝えていきたいとお考えですか。

古山:

どうしたらみどり豊かな自然を未来に残すことができるのかと、自然の生態系を考えることができる大人になって欲しいと思います。次世代にみどりを残すためにできることを、身近なことから実践していける人になってほしいですね。消費型の社会から循環型の社会にシフトさせ行動して欲しいと思います。そのためにも、ボランティア活動を通してもっと子どもたちに発信し続けていきたいと思っています。

小島:

身近なことで実践するというのは、例えばどのようなことでしょうか。

古山:

そうですね、例えば雨水利用などですね。杉並区を流れる善福寺川をみどり豊かな里川にかえようというプロジェクトが動き出しました。この川は都市河川によくあるコンクリートで囲まれた川で雨が降ると排水路と化します。そして降水量が増えると下水が流れ込んでくる「合流式」の河川です。大雨の後にはトイレットペーパーが引っかかっていたりしますから、水質悪化には住民も苦慮しています。工学的に川の構造を変えるということはもちろん進めてほしい事ですが、
大雨の時に一気に川に水が流れていかないように、雨水を貯める工夫や土に浸透させるような工夫は自分たちにもできることだと思います。

雨樋を排水管ではなく庭に向け、雨水を地面に浸透させることこなどは、個人でもできることですね。すると川だけでなく、周辺のみどりの環境も良くなるんです。
雨水を利用した小さな水辺をつくるとメダカやトンボ、小鳥も集る場所になります。子どもたちも覗き込める水辺がたくさんできるといいなあ。

ところで、こじさんは太陽光発電という自然エネルギーの力をビオトープの中で利用できるとしたらどんなことがあると思いますか?

小島:
太陽光発電は電気をつくるシステムですから、電気でできることならなんでもできると言えますね。照明はもちろん、水路の水を流すことや水の浄化なども可能だと思います。
小島:

天気に左右されるので、雨の日や夜間は動かない可能性があるというネックはありますが、それも自然エネルギーゆえであると受け入れるのも、ビオトープのような環境では可能かもしれませんね。クリーンエネルギーですから、ビオトープのような環境でもっと活用が進むことを期待しています。

最後に、ビオトープや環境貢献に興味ある方にメッセージをお願いします。

古山:

生き物が集まる木を一本植えるだけでも、「みどりのベルト」をつくる第一歩になると思います。観葉植物ではなく、生き物が集まる植物です。野鳥が好きな実のなる木、チョウが集る食草や蜜源となる草花、浅い器に水を張っておくだけでも小鳥が水を飲みに来てくれます。その小さなみどりの点と点が結びついて大きなみどりの面になっていくとイメージしてほしいですね。
そんな生き物たちの憩いの場をいっしょにつくっていきませんか?そしてみどりでいっぱいの未来をつくっていきましょう。

小島:

古山さん、どうもありがとうございました。小さなみどりの点と点が大きなみどりのベルトになってひろがっていくのが想像できました。自分でできることを楽しんで実践していきたいと思います。

投稿時刻 12:15 | 個別ページコメント(0)トラックバック(0)
2013年03月27日(水)

第10回:造園家 古山隆志さん編vol.1

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コジさんエコロジスト対談/造園家 古山隆志さん編vol.1

今回は、自然とともに暮らしてきた日本の心を体現する造園家でもあり、ビオトープを育てることを通して子どもたちに自然のすばらしさを伝える活動家でもある古山隆志さんをお迎えしての対談第一弾です。

小島:

初めに「古山庭苑」での庭づくりの理念をお聞かせください。

造園家 古山隆志さん
古山:
日本には四季折々の自然を上手に取り入れて暮らすというすばらしい文化があります。その心を忘れない、自然を生かした庭づくりをモットーにしています。
【古山さんプロフィール】
古山隆志(ふるやま たかし)
造園家

CF制作会社勤務などを経て、造園家として「古山庭苑」を設立。以来、個人邸の庭づくりや学校などのビオトープの設計、施工を手掛け、手入れなどのアドバイスも行っている。 ボランティアで学校ビオトープの維持と管理について児童・生徒・先生方へのアドバイスや、東京都杉並区のビオトープや公園など、地域の自然環境に関するNPO団体に多数所属し、みどりを地域に広げる活動を幅広くおこなっている。
ホームページ:http://furuyama-teien.jp/
古山:

大きな庭でなくても、実現できる和の庭、坪庭に生き物たちが息づくような工夫をしたり、ちょっとした野菜作りができるキッチンガーデン、庭がなくてもみどりを感じられるベランダや屋上庭園なども作ったりしています。また、小学校や幼稚園の校庭に水辺や原っぱを作ったり、マンションの緑地をプロデュースしたりもしています。生き物たちが集える「ビオトープ」を、家庭の庭や学校、公園など様々な場所に提案しています。

小島:

「ビオトープ」と言うと公園などの大きな場所を想像していましたが、個人のお宅や学校などにも提案されているのですね。

古山:

「ビオトープ」とは「ビオ」=生き物、「トープ」=場所というドイツ語で「生き物が暮らす場所のこと」です。ビオトープガーデンでは多様な環境がありたくさんの生き物が集ってくる庭が理想ですが、お客様がどんな生き物を呼びたいのか、どんなことを楽しみに暮らしたいのかじっくり話し合い、生き物の気持ちになって庭づくりをしていきます。
野鳥を窓辺に呼びたい、バタフライガーデン、メダカやトンボの水辺などいろいろです。

そして、小さなビオトープにそれぞれ別々の役割があり、空から見たときに点と点の庭のみどりがつながり大きなビオトープになっていればいいと考えています。難しく考えることはないのです。ベランダのプランターに小さな水場を作るだけでも野鳥にとっては休息の場所になります。キッチンガーデンを作ると、チョウや虫に食べられてしまうということもありますが、少しだけ生き物たちに分けてあげるというように視点を変えると自然を身近に感じる暮らしをもっと楽しめると思いますね。

小島:

出張剪定講習を行っているということですが、どのようなサポートをされているのですか?

古山:

最近はご自身で庭の手入れを楽しみたいという方が増えています。自治体からの要請で「剪定講座」をしたこともあるのですが、その場合は公園や植木溜めのような場所で行います。すると参加者の方は緊張したり遠慮したりで、なかなか思うようにいかないことが多いんですよね。やっぱり自分の庭でやってみることで、大胆にもなれるしゆったりとした気持ちで楽しむことができると思い、お宅に出張しお手伝いを始めました。お客様と庭を通して触れ合う時間は私にとってかけがえのないものです。
メジロやシジュウカラもいつも羽を休める枝が切られるのが心配なのか見に来たり、虫が動き出しますのでエサ探しに集ってきます。、切り口から溢れる水滴も飲みにきたりもします。それを見ながらお客様と休憩を取るのは、本当にいい時間ですね。お客様に喜んでいただき、笑顔をお土産に帰るのがなによりの幸せです。

小島:

庭をつくるだけでなく、その後の手入れを教えるということが本当の庭づくりなのかもしれないですね。

古山:

そうですね。庭づくりはお客様といっしょに育てるというその過程も大切です。私はよく、手入れの最後に穴を掘って差し上げるんです。これから一年分の腐葉土などを溜める穴です。以前は焚き火をして枝を燃やし、その灰もいい肥料として土に帰っていったのですが、近頃は火を焚くことができませんので、、穴を掘り落ち葉を土に返し豊かな土をつくることも庭づくりの一つだと考えます。ミミズが暮らすふかふかの土を作ると植物がよく育ち、生き物が集まる。ビオトープの庭づくりには欠かせないことです。

小島:

古山さんが庭づくりの仕事に関わるようになったきっかけは何だったのですか?

古山:

造園の仕事を始める前は、CF制作会社でプロダクションマネージャーとして働いていました。その時に、ムツゴロウさん(畑正憲さん)の監修で北海道で動植物の生態を2年にわたり撮り続けるという仕事に携わりました。子供の頃から生き物が好きだったのですが、その2年間の自然に囲まれた暮らしがとても感動的で東京に帰ってきてからも自然や生き物を追い求めるようになりました。そして、暮らしの中に自然を呼び込む手伝いをしたいと考えるようになり、都会の自然を育てる仕事として「庭師」を選択しました。といっても簡単に庭師になれるわけではないので、12年余り修行をしましたね。

その頃に、子どもたちが過ごす場所に、生き物が集る「ビオトープ」を作りたいと考えるようになり、学校ビオトープづくりの提案をしてもなかなか受け入れてもらえず、理解はされても実現しないというジレンマを抱えていましたが 学校にビオトープができないのなら 公園にビオトープをつくり子どもたちが身近な自然を発見や体験できる場所にできないだろうかと考え、「杉並区立柏の宮公園」の住民参加の公園づくりワークショップに参加しました。同じ思いで集った仲間たちとビオトープを育てるボランティア活動を始めました。
最近では学校側から依頼をされることもあります。時期が来て、循環型社会への理解が深まってきたのだと実感しますね。

小島:
環境問題といえば、90年代は温暖化、その前は公害。2000年代になり「生物多様性」という言葉が出てきてビオトープも知られるようになりましたよね。
小島:

かつては絶滅が危惧される動植物の保護という限られた問題に視点が向けられていましたが、多様な生物が自然に与える影響という大きな視点で考えられるようになりましたね。

古山:

絶滅していく生き物だけが大切なのではなく、身近にいる生き物すべてに意味があり大切な役割を担っているのだと、子どもたちへの教育も浸透してきたように思います。

小島:

古山さんはボランティア活動で、学校にビオトープを作る活動なども行っているそうですが、どのような活動なのか教えてください。

古山:

私が参加している「ビオトープネットワーク杉並」での活動は、都会から姿を消したトンボやチョウ、メダカやカエルなどの生態系の保護と再生を行い、子どもたちに「自然体験」ができる場を提供しています。子どもたちには、身近な自然を体験し小さな命の大切さを学ぶだけでなく、他人への思いやりの心を学ぶ場になってほしいと思っています。例えば、飼っていたコイやザリガニ、ミドリガメなどを水辺に放してしまうと、それらが増えて在来の植物や生き物が食べ尽くされてしまい、そこにあった生態系が崩壊します。それを子どもたちにも知ってもらい、投げ込まれてしまった外来種を捕獲するということも活動の一つです。人間の身勝手な行動が、生き物たちの命を奪うことになることを教えることも大切ですよね。

古山:

それから、「みどりの救出」と呼んでいる活動があるのですが、建物を建設したりするときに一旦その場所を更地にしますよね。その時にそこにあった「みどり」を学校や公園、ご近所の方に、里親になってもらい自然を再生する取り組みです。そこに息づいている下草や、木を土ごと掘り上げて子どもたちと学校などへ移植し育てるということにより、みどりをリユースして命をつないでいけることを知ってもらえると思います。植物は育った場所で残せるのが一番いいのですが、その「みどり」を再利用することにより別の場所で新しいビオトープが生まれます。一つとして消される「みどり」は存在しないのだと思いますね。

ひらがなの「みどり」という文字は植物だけでなく、生き物、土、水、空気 そして太陽の光など自然の要素の全てを表すものとして思いを込めて使っています。

小島:

子どもたちにとっても、とても貴重な経験になることでしょうね。

古山:

子どもたちといっしょに行う活動としてもう1つ、「ヤゴ救出作戦」というものがあります。これは夏のプール学習が始まる前、プール掃除をしますよね。プールに生息しているヤゴたちは流され死んでしまいます。その前にそこに生息しているヤゴなどの生き物を救出するというもので、3.4年生の授業で行なうことが多いですが、土曜学校などの企画で大人も参加してもらい親子で体験できる自然体験としても人気があります。シオカラトンボやアカネ系が大半ですが、ギンヤンマがいるプールもあります。ヤゴは教室で観察したり、持ち帰り親子でヤゴからトンボに羽化するところまで観察することができたりするので、都会の一角とは思えないほど十分に感動できる自然体験になっています。

小島:

それまではただ失われていた都会の「みどり」にもう一度命を吹き込む活動と言えますね。

それもビオトープのネットワークがあるからこそ実現することですよね。ビオトープが増えていくと管理出来る人間を育てていくことも課題になるのではないでしょうか。

古山:

やはりどんな活動でも言えることですが、最後は人と人とのつながり。コミュニケーションを大切にし、楽しく活動していくことが活動そのものの普及につながるように思いますね。

自然を身近に感じながら暮らすこと、生き物と共存する暮らしを提案する古山さんの庭づくりに共感するところがたくさんですね。
次回はビオトープ作りのボランティア活動について、もっと掘り下げてお聞きしたいと思います。お楽しみに!
投稿時刻 10:32 | 個別ページコメント(0)トラックバック(0)
2013年01月25日(金)

第9回:NPO法人「そらべあ基金」箕輪弥生さん編vol.2

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コジさんエコロジスト対談/NPO法人「そらべあ基金」箕輪弥生さん編vol.1

今回は、再生可能エネルギーの普及啓発や環境教育活動を展開するNPO法人「そらべあ基金」より箕輪弥生様をお招きしての対談、後篇です。

小島:

「そらべあ基金」では、箕輪様はどのようなお仕事をされていますか?

箕輪:

役職は「理事」をしておりまして、「そらべあ基金」の方向性を決めるディスカッションをしたり、このように「そらべあ基金」のことを紹介するようなお仕事や、「そらべあ発電所」の贈呈式に行って話をしたり、いろいろですね。私自身が環境ライターとして仕事をしているので、DVDなどコンテンツの制作にもかかわったりします。

小島:

環境ライターとしてもご活躍されているのですね。具体的な活動を教えていただけますか?

箕輪:

雑誌や新聞、webに記事を書いたり、書籍を出したりしています。新聞 では毎日新聞に「そらべあ」がキャラクターになった「水と緑の環境本部」という部署があるのですが、そこが発行している「マイeco」という環境新聞で連載をしていました。主に「暮らしと環境」ということをテーマにすることが多く、節電・省エネや、自然エネルギーのある暮らし、身近にできる発電など、一般の方にわかりやすく書く事を心がけています。

取材をして記事をまとめるという仕事が多く、ここ数年は風力やバイオマス、太陽熱や地熱、小規模水力など自然エネルギーを取り上げることが増えてきました。日本はまたまだ眠っている自然エネルギーがたくさんあります。

例えば温泉熱で発電できる「バイナリー発電」などは80?150度の蒸気や熱水を熱源としてアンモニアなど沸点の低い媒体を加熱・蒸発させてタービンを回し発電するのですが、小規模な蒸気・熱水での利用が可能なので、これまでの大掛かりな地熱発電と違って排熱や無駄な余熱を使って発電できるのでさまざまな場所で普及していく可能性を秘めていると思います。

また、水が豊かな日本では、小水力発電も期待できる分野だと思います。山梨県の都留市では小水力を町づくりの大きなシンボルにしていて、視察や観光の目玉になっています。小水力発電には、太陽光と違って一日中発電できるというメリットがあります。かつては、川の水利権があり導入に時間がかかったのですが、規制緩和により手続きなどが簡素化されたようです。小水力というのは、実はエネルギー利用率が50%以上と、太陽光と比べても格段に高い、効率のいい発電方法です。まだまだ眠っているエネルギーを、多くの方に知ってもらいもっと利用できるように、自分の原稿が何かの力になればいいと思いますね。

小島:

震災以降、太陽光発電は注目度が上がり、これからは我々のような企業や業者ががんばってさらに普及させていかなければならないと思いますが、太陽光だけではエネルギーのすべてをまかなえませんから、まだスポットのあたっていない太陽光発電以外の自然エネルギーの分野をもっと盛り上げて、日本のエネルギーを支えていけたらいいですよね。

箕輪:

先日、デンマークのロラン島という小さな島に取材に行ってきたのですが、ここはかつては造船業の島でしたが衰退し、自然エネルギーの島として生まれ変わった島なのです。風力はもちろん、ゴミや木材からも熱やエネルギーを作っていました。発電時に出る熱も無駄なく利用していて、勉強になることばかりでした。日本で捨てているものでエネルギーを生み出している。「日本はなんてもったいない国なんだろう」とつくづく考えされられましたね。例えば、この冬も節電と言われている北海道では、地熱もあればバイオマスだって使えるわけです。電気だけがエネルギーではないということにもっと目を向けて欲しいですね。

小島:

日本は熱エネルギーの利用は遅れていると言えますよね。確かに熱には回収が難しい、貯めるのに工夫が必要など課題もあるのですが、利用できる可能性は大きいですよね。
箕輪様はご自宅も太陽熱利用のエコハウスだと伺いましたが。

箕輪:

OMソーラーを組み込んだ、太陽熱を取り入れた住宅に住んでいます。かつては私も建売の住宅に住んでいました。工場で作ってネジで止めるだけ、速さと安さがもてはやされた時代の産物のような家で、例えば旅行などで数日空けて帰ってくるとなんだか目がチカチカするような化学物質が当たり前のように使われていて、半地下は湿気がすごくカビに悩まされていたこともありました。当時はマーケティングプランナーという仕事をしていて、大量生産大量消費を後押しするような広告を作り、消費を勧めることが自分の仕事でした。しかし私自身はそのような暮らしを望んでいたわけではなかったのです。確かにマーケティングプランナーという仕事は、やりがいもあり面白い仕事ではありました。でも仕事しながら、個人的にはこの商品を私は選ばないかもしれないという葛藤を常に抱えていたことも事実です。そんな反動だったのかもしれません。暮らしをきちんとしたいと思い、自然を取り入れた、日本の風土にあった家に住みたいと思い、当時補助金が出ていたこともあり、暖房と給湯を太陽の熱を利用して取り入れられるOMソーラーの設備を組み込んだ家を建てました。OMソーラーの暖房は、屋根についた集熱パネルで暖められた空気がダクトを通って床下に送られ、床の通気口から暖かい空気がユルユルと出てきます。外気を取り込んでいるので自然に換気にもなり、家の中でも心地よい空気が漂っているように感じます。給湯に関しては春夏から秋は十分太陽熱でまかなえるほどパワーがあるので、非常に合理的なシステムだと思います。日本人は、自然を取り入れて外とつながりながら暮らすのがとても得意な民族です。その点からもOMソーラーは日本人に暮らしに合うような気がしますね。

エコハウスというのも最近流行ってきていますが、実際取材してみると太陽光パネルは載っているけれど断熱がきちんとしてなかったり、壁紙にビニールクロスを使っているなど、矛盾を感じることもありますね。我が家は壁には珪藻土を塗っています。湿気を吸ってくれて乾燥してくると湿気を吐き出し快適な湿度を保ってくれます。加湿器も除湿機も電気を使いますから、その点でもメリットがありますよね。自然のものは、優れた力を発揮するものがとても多く、体にも環境にも負担がかかりません。少しでも多くの方が、環境に優しく快適な暮らしを選んでいただきたいなと思いますね。

コジさん
小島:
そういった矛盾や、本当に望ましい暮らしと環境についてもっと広めていくためにも箕輪様にはどんどんご活躍いただきたいですね。太陽熱利用の暮らしをされていますが、太陽光発電についてはどのようにお考えですか?
箕輪:

先日、「そらべあ基金」で「太陽光パネルの手作りワークショップ」を行った際に、私も自分で作ってみました。小さなパネルなのですが、今は自宅での充電関係はほとんどまかなっています。配線などがむき出しのいわゆる装置の状態なので、晴れている朝にベランダに出してお天気の悪い時にはしまうという、あまり便利な状態ではありませんが(笑)、携帯や主人のひげそりなど十分に充電できています。この一台が自宅に来てから、とても安心感があるので実は少し驚きました。何かあったとき、停電や非常時でも電気が使える、こんな小さなパネルが一枚あるだけでも気持ちに余裕が出来ましたね。

我が家は、屋根には太陽熱のシステムを載せていますし、一部緑化もしているのでもう太陽光発電のスペースがないんです。でも小さなものでも、最低限の電気が使えると思うと心強いですよね。実際に、太陽光発電を取り入れたいと思っていても、屋根に乗らない、集合住宅であるなど、諦めている方は多いですよね。

小島:

そうなんですよ。ベランダに引っ掛けられるという太陽光発電システムも存在するにはするんですが、まだ出力の割には価格も高く、なかなか広がりを見せませんよね。太陽光発電のよさは、自分で電気をつくることによって意識が変わるということなんです。自分の掌の中にエネルギーがあるという感覚が大事で、一方的に受け取るものではなく、自分で作り出して好きなように使うという、そういう感覚をもってもらうのには最適だと思います。ですから、出力は必ずしも大きくないかもしれませんが、どんな住宅でも気軽に取り入れられるような製品が開発されれば、日本のエネルギー、環境問題はもっと良い方向に進んでいくと思いますね。今は、固定価格買い取り制度によって大規模なシステムへは優遇されていますが、もっと小規模なシステムの開発や設置にも国や企業が力を入れて欲しいと思います。

箕輪さん
箕輪:
マンションなどでは屋上にパネルを設置して、共同スペースの電気をまかなうというタイプのものはありますが、やはり個々のお宅で電気を作らないとひとりひとりの意識を変えるのは難しいでしょうね。
小島:

太陽光がある暮らしには、電気の使い方が変わるという相乗効果があると、多くのお客様から伺います。1キロワット設置の方と4キロワット設置の方と、発電量は違っても節電量はほぼ同じなんです。ですから、小さなシステムだからといって諦めずに、どんどん設置に前向きになっていただきたいと思います。節電はすぐに効果が出ますし、だれでもできることばかりです。太陽光でなくても小水力でもなんでもいいのです。エネルギーを作り出してコントロールする。それが意識を変える方法だと思います。

最後に、太陽光発電や省エネに興味のある、省エネドットコムのお客様へ これからの省エネ・環境対策に対するアドバイスをお願いします。

箕輪:

日本には昔からの暮らし方として、通風をよくして外気と繋がりを持つというのがあります。例えば京都の町家などがとてもいい例だと思いますが、風を上手に通し採光にも優れ、中庭に水を撒けば気化熱で気温が下がるなど、所々に自然の力を利用して暮らしていました。自然の力を利用して環境に負荷をかけずに快適に暮らす「パッシブハウス」がこれからは求められていくのではないでしょうか。ですから、太陽光発電を設置したからといって、冷暖房を使いたいだけ使うというのではなく、自然の熱や風を取り入れながら最小限のエネルギーを太陽光発電などで補うという暮らしが望ましいのではないかと思います。

それから、家庭の冷暖房の削減には住まいの断熱がかなり有効だと思います。私も住宅エコポイントがあった時に家の窓を二重サッシに変えました。やはり暖房や冷房の利きが違いますね。熱は窓から入ってくるし、逃げても行きます。エネルギーにだけ頼るのではなく、どうしたらエネルギーを使わずに済むかを、探すことが大切なのだと思います。それから、家庭でも企業でも、電気に頼りすぎずに自然がもたらすエネルギーを上手に取り入れて、快適に過ごすということを考えて欲しいですね。

小島:

ありがとうございました。前編では「そらべあ基金」の活動やポリシーを。後編では箕輪様自身の活動やお考えをお聞かせいただきました。どちらも、環境やくらしが、こどもたちの未来につながるのだという一本の信念に貫かれていることに感動しました。本日は本当にどうもありがとうございました。

箕輪さん&コジさん
投稿時刻 11:41 | 個別ページコメント(0)トラックバック(0)
2012年12月26日(水)

第9回:NPO法人「そらべあ基金」箕輪弥生さん編vol.1

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コジさんエコロジスト対談/NPO法人「そらべあ基金」箕輪弥生さん編vol.1

今回は、再生可能エネルギーの普及啓発や環境教育活動を展開するNPO法人「そらべあ基金」より箕輪弥生様をお招きしての対談です。「そらべあ基金」の理事として、環境ライターとして、そしてひとりの人間として、自然エネルギーや環境、未来についてお話いただきました。

小島:

まずは「そらべあ基金」について教えていただきたいのですが、「そらべあ基金」とはどのような団体なのでしょうか?

NPO法人「そらべあ基金」箕輪弥生さん
箕輪:
「そらべあ基金」は「そら」と「べあ」というホッキョクグマの兄弟が、地球温暖化によってどんどん住みにくくなり、親子がはぐれてしまうという1つのストーリーをテーマにして子どもたちに環境のことや、温暖化のことを考えるきっかけを与えていこうと始まった、環境団体です。
【箕輪さんプロフィール】
箕輪弥生(みのわ やよい)
環境ライター・マーケティングプランナー

立教大学卒業後、広告代理店勤務などを経て、1989年よりマーケティングプランナーとして独立。以来、メーカー、流通系のプランニングを中心に、広告・販促・商品企画・イベント企画・情報誌執筆など幅広く参画。
現在は、「暮らしと環境」をテーマに、記事やコラム,書籍の執筆、商品開発、環境学習プログラム企画など、環境関連のコミュニケーションやマーケティング戦略に幅広くかかわっている。
自身も自然エネルギーや雨水を利用したエコハウスに住む。

著書に「節電・省エネの知恵123」「環境生活のススメ」(飛鳥新社)など。

【そらべあ基金】
再生可能エネルギーの普及を推進するNPO法人「そらべあ基金」のサイト。
ホームページ:http://www.solarbear.jp/
箕輪:

「そらべあ基金」には2つの大きな柱があります。1つが太陽光発電などの再生可能な自然エネルギーの普及啓発、もう1つが環境教育です。特徴は、子どもを対象とした活動が中心であるということです。具体的には、全国の幼稚園や保育園に太陽光発電を設置する活動、そして「そらべあ」の絵本やDVDを使っての環境教育を推進する活動などが挙げられます。

小島:

では、まずは「そらべあ基金」がどのようにして始まったのか教えてください。

箕輪:

そもそも、温暖化防止に力を入れ始めた東京都が、NPOと協働して何か環境プロジェクトを一緒にやろうとしたのが始まりです。お台場の潮風公園に「ひだまり?な」という太陽光発電の施設を、東京都が場所を提供し「エコロジーオンライン」というNPO法人が企業の協賛を集めて作りました。

その後、施設だけ作って終わりではなく、もっと普及させていこうと、キャラクターを作ることになりました。それが「そら」と「べあ」です。このキャラクターは「かとうしんじ(Shinzi Katoh)」さんという著名なイラストレーターにご協力頂き、他にも多くの方にボランティアで参加いただいて、ストーリーを練り上げ、絵本を作り、サイトやコンテンツを作りました。子どもたちに愛されるキャラクターを使って、地球温暖化のことを知らせていこうとできあがったのが、「そらべあ」の物語です。

「そらべあ」のストーリー
地球温暖化によって氷の大地がさけ、お母さんと離れ離れになってしまったホッキョクグマの兄弟「そら」と「べあ」。泣き止まない弟「そら」を前に、絶対にお母さんを見つけ出そうと決意する兄「べあ」。でも、「べあ」は気づいてしまうのです。氷の大地が溶けていくのを自分たちではどうすることもできないことを・・・。

今でこそ環境をテーマにした寓話は数多く存在しますが、2006年当時はまだほとんどありませんでした。シンプルな内容ではありますが、最後に「このままでいいの?」という問いかけで終わらせていることにより、受け取り手によってストーリーがどんどん膨らむという効果があるようです。幼稚園や保育園で紙芝居をしてくれたり、大学生が演劇のシナリオに使ってくれたりと広がりを見せています。
「そらべあ」のキャラクターは大きな反響があり、企業等から継続的な支援を受けることができそうでしたので、2008年に正式にそらべあ基金としてNPO法人となりました。

小島:

子どもを対象とした環境教育というのは、とても大切ですよね。子どもたちは素直に受け入れ、考え、大人にもしっかりと伝えていこうとする。大人の意識を変えてしまうことだってあるかもしれませんよね。
かわいいキャラクターですが、子どもたちの「そらべあ」のキャラクターへの反応はどうですか?

箕輪:

幼稚園や保育園に太陽光発電を設置した際に「そらべあ発電所贈呈式典」を行っており、その際に「そら」と「べあ」の着ぐるみが登場するのですが、子どもたちには大人気ですね。ふわふわで気持ちのいいオーガニックコットンを使った着ぐるみなので、子供たちもスリスリしたり、抱きついたり、大騒ぎになります(笑)。

「そらべあ」には「この涙を止められるのは あなたです」というキャッチコピーがありまして、涙がついたキャラクターなんです。子どもたちは「どうして泣いているの?」と必ず問いかけてくれます。「氷がとけて、お母さんとはなればなれになったんだよ」と、「そらべあ」のストーリーを語りかけるきっかけになっています。こどもたちの「どうして?」「なんで?」に答えていると、「どうしたら泣き止むの?」「どうすれば氷がもどるの?」という問が生まれてきます。

子どもたちにできることはシンプルなことしかないのですが、「無駄な電気を消しましょう」とか、「ものを大切にしましょう」とか、自分の行動が「そらべあ」を助けることにつながると教えると、素直に受け入れてくれますね。実際にホッキョクグマが厳しい状況にあることは多くの方がご存知だと思います。夏のあいだは氷がとても薄くなり、毎日約150kmを3?4日泳ぎ続けないと氷の大地に届かない。母親グマはどんどん痩せて子供の数が激減しているのです。「そら」と「べあ」のお話は、遠く離れたところで起こっている本当のことなんだよと教えると、子どもたちはとても驚きますね。

小島:

子供たちの反応をダイレクトに感じられる「式典」はとてもいい取り組みだと思います。当社も、子供たちへのアプローチはとても重要視しています。「うちエコ診断」という家庭のCO2排出を診断し、上手に減らすための対策を提案する取り組みが環境省の事業として行われていますが、これは今までの一方的なエコ対策の情報とは違って、それぞれの家庭のライフスタイルに応じてエコを提案するというものです。

例えば、車を多く使い、在宅時間の少ない人に照明器具の取替を勧めても仕方ありませんよね。そのアンケートが、エアコンを何時間つけているか、テレビは、照明は、と答えていくものなのですが、この子どもバージョンを当社も参加して開発しました(うちエコキッズ)。ゲーム形式になっていて、氷の上にペンギンたちが乗っている画面が現れます。そして遠くに子どもたちの暮らす家があります。その家で、家電の種類を選び、使う時間を選ぶと・・・。どんどん電気を使っていくと氷が溶けてペンギンたちは海に落ちてしまいます。電気を使うのをやめるとまた氷がもどっていくという内容になっています。

単純なことなのですが、子どもたちが暮らす環境が北極の氷と実はつながっているのだというイメージを持ってもらうにはわかりやすい内容ではないかと思っています。環境教育と一言で言っても、幼稚園児や保育園児と小学生では内容に大きな差があると思うのですが、そのあたりはいかがでしょうか。

箕輪:

小学生向けには、DVDを作っています。主な内容としては、第一章が「そらべあ」の絵本のストーリーをもっと膨らませ、小学生でも見ごたえのある3DのCGアニメーション。第二章で地球温暖化の影響を紹介し、第三章では地球温暖化を防ぐ再生可能エネルギー、太陽光や太陽熱・風力・バイオマスなどの自然エネルギーの事例を紹介、第四章で身近にできるエコアクションを年齢別に紹介しています。全国の小学校に配布しており、環境の授業の教材として役立てていただきたいと思っています。
小学校では総合学習などでかなり環境のことを学んでいます。かなり詳しい話も、クイズ形式など楽しめるものにして子どもたちにより深く掘り下げて考えてもらうきっかけになればと考えています。

コジさん
小島:
「そらべあ基金」では東日本大震災の被災地支援活動も行っているようですが、どのような活動をされているのですか?
箕輪:

20Wのパネルを250枚搭載した5kWの発電が可能なソーラーパワートラックがあるのですが、そらべあ基金では多くの企業や団体、個人の方々からのサポートもあり、昨年度は6回ほどそのソーラーパワートラックを使って被災地に支援に行きました。電気がまだ通っていない頃に被災地に物資を積んで第一弾は3月24日に到着しました。もっと早く行きたかったのですが、高速道路に規制がかかっていて許可が出るまでに3?4日もかかりました。

ソーラーパワートラックは、晴れていればかなり発電するので、避難所の方々の情報家電や小型家電の充電はもちろん、テレビの放映などで情報を伝えることができました。避難所で親の帰りを待つ子供たちに、少しでも笑顔になって欲しいとゲームやアニメなどを放映し、電気が通ってからは、パフォーマーを連れて元気になるようなパフォーマンス、子供たちのサッカー教室、体の温まる食事の炊き出しなどを行いました。子どもたちのために何ができるか、考え続けた一年でしたね。

小島:

ありがとうございました。「そらべあ基金」は、子供たちの未来を最も大切に考えているということが、伝わってきました。一般の方が参加できる方法がありましたら教えてください。

箕輪さん
箕輪:
サポーターシステム制度というものがありまして、「サポータークラブ」に入会するとバッチがもらえて、いろいろなお手紙が届きます。
箕輪:

個人の方、企業からのサポートも受け付けており、会費が再生可能エネルギーの普及活動や環境教育のために使われます。また、「そらべあ」のキャラクター商品を、作者である「かとうしんじ(Shinzi Katoh)」さんの会社が販売していまして、それを購入頂くと収益の一部が「そらべあ基金」に入る仕組みになっています。どなたでも、簡単に地球温暖化防止に貢献できると思います。

小島:

環境活動に一歩踏み出すのは、敷居が高いと感じる方も多いかもしれませんが、どんな活動への参加も実は案外簡単なことだったりするものですよね。ぜひ多くの方にご参加いただきたいですね。

箕輪さん&コジさん 次回は、箕輪様ご自身の活動などを詳しくお聞きする予定です。お楽しみに!
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2012年10月29日(月)

第8回:「ソーラー・エナジー・ソリューションズ株式会社」代表取締役社長 森上寿生さん編vol.2

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コジさんエコロジスト対談/:「ソーラー・エナジー・ソリューションズ株式会社」代表取締役社長 森上寿生さん編

「世界の全ての家庭・事業所に太陽光エネルギーを」目指し、IT技術を活用した太陽光エネルギーの普及・拡大、ライフスタイルの提案を行う、ソーラー・エナジー・ソリューションズ株式会社より代表取締役社長 森上寿生様をお迎えしての対談、後篇です。

小島:

御社の具体的サービスを教えていただけますか?

森上:

一般ユーザー様向けコンテンツとして「スマートハウス」というWEBサイトを運営しています。太陽光発電に関する情報提供、航空写真診断ができるツール、最近では蓄電池の情報を加え、トータルで「スマートハウス」を目指しましょうと呼びかけています。

「スマートハウス」というのは、エネルギーの自給自足ができる家のことです。すでに太陽光発電を設置している方には、会員制サービスも提供しています。
販売店様向けには、業務支援サービスの「ソーラーマスター」(太陽光発電システムを販売する企業がお客様へ提出する提案資料や各種申請書類を効率的に作成するサービス)を提供しています。こちらは現在までで180社あまりのご契約をいただいています。

また、省エネドットコムの「ニコそら診断」でもご利用いただいている航空写真診断(航空写真でご自宅を見つけて、クリックするだけで発電量、家計貢献金額、補助金情報も一目でわかります。)をご提供するサービスも行なっています。

小島:

森上様は今後の太陽光発電の市場はどう変わっていくと思いますか?

森上:

東日本大震災をきっかけに太陽光発電に注目が集まりましたが、実はそれ以前から市場は拡大していました。震災の影響でそのスピードが加速したのは事実で、舵取りが大きく変わったように感じています。家庭用も産業用もまだまだ市場が拡大していくのは確実でしょう。しかし競争が激化し、ビジネスとしては厳しい市場になっていくでしょうね。

小島:

新規参入の会社の顔ぶれも様々になりましたからね。金融系の会社やリース会社などが、取扱商品のうちの一つとして太陽光発電を販売し始めました。太陽光発電は売って終わりの商品ではなく、工事があり、それぞれのお宅に合わせたカスタマイズが必要な製品です。販売窓口としてのみ機能し、最終的なエンジニアリングはすべてプロフェッショナルな人たちにまかせてしまうというやり方と、これまでのように最初から最後まで責任をもって販売する我々のような専門店と、同じように競争していくのですから、ビジネスとしては厳しい局面を迎えることは間違いないでしょうね。

森上:

拡大する市場でいかに売上を利益につなげていくかが重要です。それからアフターフォローなど質のいいサービスでいかに差別化していくか。パネルの品質は国内製であればそれほどの差はありません。価格はもちろん大切ですが、パネル自体の価格というよりも、施工やサポートなどの費用が安すぎても不安がありますから、やはり設置後も何があっても最後まで面倒見ますというような安心感をユーザーは求めるようになると思いますね。

小島:

そうですね。20年、30年、それ以降もきちんと発電してくれるのか、安心して使えるのか。その不安を解消することが我々に求められていることではないでしょうか。

森上:

電力の固定価格買取制度が導入されてから銀行などの金融系の会社やファンドを持っている企業などの参入が著しくなっています。金融系の会社が動くと保険会社もリスク回避商品を売り出します。太陽光をはじめとする再生可能エネルギーに対応した保険商品が出始めましたし、金融系の会社は保険とセットにして売り出すことができるという強みがありますからね。

小島:
金融系の会社の参入は、その産業が爆発的な広がりを見せるということを示唆しています。しかし、新規参入の影には必ずしも技術のプロが関わっていない場合も多いということを、消費者に伝えたいですね。太陽光発電に関してはまだまだ情報の格差が大きく、ユーザーは電気に関して素人である場合が多いため、販売担当者が販売を取り次ぐだけで何もわからないとしたら問題が起きない方が不思議です。我々のような専門店には、プロフェッショナルとして正しい情報を提供し、誠実な仕事をしていく使命があると思いますね。
森上:

太陽光発電の根本は「エネルギーを生む」ということにあります。エネルギーを地産地消することが最も効率的なエネルギー消費の形です。再生可能エネルギーは、地産地消の他にも地元の雇用促進にもメリットがあるとして、多くの地方自治体が取り組み始めています。しかしそのための技術習得や、それを認める資格制度などが確立していないために、誰も監査できず責任もって管理できないのが現状です。メーカーではそれぞれ施工資格があり、国でも工事施工資格制度を作る方向で動いてはいますが、工事の資格だけでなく、その監査や監督する人間の資格制度も必要なのではないかと私は思っています。製品も施工もすべてを含めて全責任を持てる人間が必要なのではないでしょうか。

小島:

確かにそうですね。太陽光普及と同時に進めていかなければならないことですね。

さて、御社といっしょに開発した「ニコそら診断」は、省エネドットコムのユーザーにも、非常に人気のコンテンツなのですが、開発秘話がありましたらぜひ教えてください。

森上:

「ニコそら診断」は我々が運営しているサイト「スマートハウス」の中にある「航空診断」が元になってできています。核になるシステムはほぼそのままで、省エネドットコムのイメージに合わせたデザイン修正をしました。デザイン修正がとても成功して、我々のサイトにあるものよりも数段いいものが出来上がりました(笑)。使い勝手もとてもいいと評判です。もちろん、画面を大きくしたり、自由度を増したりと修正も加えました。当初は、パネルのモジュールの情報をすべてシステムの中に組み込んでいたので、新製品が出るたびにプログラムを更新していましたが、バージョンアップ後は管理画面とプログラム画面を分けたことにより、新製品が出ても即座に管理画面で変更を入力するだけで対応できるようになりました。

小島:

どんどん使い勝手がよくなっていますよね。産業用でもこのようなシステムがあればいいと思うのですが・・・

森上さん
森上:
実は、まさに今から産業用の診断システムの開発をスタートするところなんですよ。産業用に関しては、20年で採算が合うように減衰率を加味し、サポートやメンテナンスコストも含めた計算にしないと正確な収支計算ができないのではないかと思います。さらにビルなどに面している場合の影などは、その情報は現地でないと確認できない場合もありますから、「影はあるか」「どれくらいの時間か」など、ある程度の情報をユーザーに入力してもらうなど、住宅用よりも細かな設定が必要になると思っています。
小島:

産業用の場合は、お客様が使うというよりは販売店の人間がお客様に提示するために使うツールというイメージでしょうか。

森上:

そうですね。産業用に関しては、販売店向けはもちろんですが、お客様向けの開発をどの程度の精度ですすめるかが課題の一つです。

小島:

お客様が知りたいのは「これくらいの土地ならだいたいどれくらい発電してどれくらい費用がかかるのか」の「だいたい」の数字です。ですから、いまの住宅用ほどの精度がなくても、お客様のニーズには答えていけるのではないかと思います。自分の所有する建物にどれくらいのパネルが乗るのか、見当もつかないとおっしゃる方はたくさんいますから、便利なツールでサポートできると「世界の全ての家庭と事業所に太陽光」も夢ではなくなるかもしれませんね。

森上:

できるかぎり、ニーズに応えた製品作りをしていきたいと思っています。

小島:

次に、当社と取り組んでいる「HEMS(ホーム・エネルギー・マネジメント・システム)」の実証実験について教えてください。

森上:

「HEMS」はエネルギーの自給自足ができる家「スマートハウス」を現実のものにするということが目的で開発を進めているものです。具体的には、太陽光で発電し、蓄電池で貯めて、制御しながら家庭の電気をまかなっていくというものです。これまで、太陽光発電は、補助的な役割と認識されていましたが、「スマートハウス」では電力会社からの電力供給が補助で、太陽光発電がメイン電源としてエネルギー自立していこうという取り組みなのです。

小島:

最後に、太陽光発電を検討されているお客様へメッセージをお願いします。

森上:

太陽光発電は、設置して損がない製品であると言いたいですね。災害時は非常用電源として機能しますし、温暖化対策として個人が環境に貢献できる方法でもあります。もし不満を持つ方がいるとしたら、その多くは販売店や施工会社に問題があったのではないかと思います。売り方も、施工も、アフターサポートまで、しっかりした会社を選ぶことができればきっとご満足いただける製品だと思います。

小島:

私は、太陽光発電に、もし欠点があるとしたらそれは価格が高いということだけだと思っています。それでも、すばらしい製品だと思っているのでお客様にも自信をもって販売し続けていられるのでしょうね。
森上様、貴重なお話をどうもありがとうございました。

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2012年09月24日(月)

第8回:「ソーラー・エナジー・ソリューションズ株式会社」代表取締役社長 森上寿生さん編vol.1

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コジさんエコロジスト対談/「ソーラー・エナジー・ソリューションズ株式会社」代表取締役社長 森上寿生さん編vol.1

今回は、「世界の全ての家庭・事業所に太陽光エネルギーを」目指し、IT技術を活用した太陽光エネルギーの普及・拡大、ライフスタイルの提案を行う、ソーラー・エナジー・ソリューションズ株式会社より代表取締役社長 森上寿生様をお迎えしての対談です。

小島:

まずは森上様のご経歴を教えてください。

「ソーラー・エナジー・ソリューションズ株式会社」代表取締役社長 森上寿生さん
森上:
大学卒業後、IT業界に就職しました。マイクロソフトには18年在籍、ウインドウズの初期の立上げから従事し、パソコンとともにウインドウズが広まっていく、そんな時代を経験しました。私の担当はセールスマーケティングと言って、中堅中小企業にITを利用して新しい流れを作っていくというものでした。
【森上さんプロフィール】
森上寿生(もりうえ・としお)
1964年生まれ島根県出身
横浜国立大学工学部機械工学科卒。1991年マイクロソフト入社、執行役員ゼネラルビジネス統括本部長、業務執行役員東京首都圏営業統括本部長等を経て、2010年2月に現会社を設立。2010年6月、一般社団法人太陽エネルギー環境基金理事長に就任。

【スマートハウス】
エネルギーの自給自足を目指す次世代型の住宅スマートハウスをご紹介したポータルサイト。
ホームページ:http://www.smart-house.bz/
小島:

今の事業を始められたきっかけを教えてください。

森上:

マイクロソフトを退社して、起業しようとは思っていたのですが、その時は今の事業をやろうとは思っていませんでした。何かやろうと考えていた時に、昔からの友人たちがタイミングよく現れて助けてくれました。一人は現在当社の役員でもある、アイモバイルのデービット・リーブレック氏。彼は立ち上げに非常に協力してくれ、出資や様々な情報を提供してくれました。もう一人は社外取締役の藤原氏で、彼は環境エネルギー革命の書籍を出版していまして、その本と出会い環境市場こそが第四の産業革命の舞台になるのだと確信しました。

NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)が出している「PV2030+」という2030年に向けて太陽光発電の持続的な発展と普及拡大に向けた今後の技術開発の方向性を示すために策定された太陽光発電ロードマップがありますが、そのビジョンをベースにして10年先くらいを見通し、事業計画を立てました。

小島:

当時はソーラービジネスといっても、ヨーロッパから少しずつ始まったような時期でしょうか。

森上:

そうですね。日本では補助金制度と余剰電力買取制度が始まった頃でした。補助金制度は一旦終了していましたが、2009年に復活し、それを機に太陽光の普及も加速するだろうと考え、「自分のこれまでのITでのスキルを活かして太陽光の普及に寄与していきたい。」これが事業の始まりでした。

小島:

海外では御社のようなITを使ったソーラービジネスのソリューションはすでにあったのでしょうか?

森上:

いくつかありましたが、海外仕様なので日本に輸入するとしたらかなりの仕様変更をしなければならない場合がほとんどです。例えば、今運用している航空写真シミュレーションにしても、元のソリューションはカリフォルニアの会社が持っているものでした。このシステムを知ったときは、これは面白いと思い、技術提携を申し入れました。しかし内情はほぼマニュアルで動いているようなシステムで、日本で使えるようなものでなく、結局いちから開発しなければ運用は難しい状況でした。

小島:

業務提携してシステムをまるごと持ってきて日本版に作り変えたのではなく、アイディアを参考にしながら新しいものを作ったということですよね。だから使い勝手がいいのですね。やはりその国のニーズに合わせた製品作りが大切ということですね。
海外のものは、そのまま日本人が使おうとすると使いにくいことがよくありますからね。

森上様はご自身でも太陽光発電を設置されていますが、実際使ってみていかがですか?

森上:

この仕事をしている以上、自分が設置しないわけにいきませんからね(笑)。自分で試してみて、いい製品であれば絶対の自信を持って人にも勧めることができます。設置したのが2010年、2年以上経っていますが今ももちろん満足の発電量ですね。うちでは電力会社には一切お金を払っていませんので、毎月の売電収入が楽しみなんですよ。

コジさん
小島:
光熱費が完全にプラスに転じているのですね。
森上:

支払いよりも振込まれる額が多いですね。やはり金額を見てしまうと、もっと売りたいという気持ちが生まれますので自然に電気を消してしまいますね。すでに生活習慣になっていて、習慣になると体が勝手に動きますから自然に消費電力量が減ります。太陽光を付ける前は、毎月来る電気料金のお知らせすら見ないこともありました。見たとしても料金をちらっと見る程度でしたが、「見える化」になるとそのプロセスが気になるようになりました。何をどうすれば電気量が減るのか、しだいに感覚でわかってくるようになります。「意識が変わってくる」この一言でしょうか。

今まで消費電力が多いと思っていた家電が実はそうではなかったという発見もありました。
例えば、エアコンも28度を保持したり、冷蔵庫も開け閉めを頻繁にしたりしなければ消費電力はそれほど多くありません。逆に、電球や浴室乾燥機、ドライヤーなどは消費電力が高い。使い方や使う時間を変えるだけで、電気料金をずいぶん減らすことができましたね。

小島:

ピークカット、ピークシフトですね。昼間電気を使わない習慣が、太陽光発電を付けたことによって自然に身に付いたということでしょうか。

森上:

意識は本当に変わりました。去年は第三段階までいっていた電気料金が今年は第二段階までしかいっていません。太陽光発電を抜きにしても消費電力を17%程度省エネできるようになったのです。ダイエットもそうですが、きついと続かずリバウンドしてしまいますよね。生活習慣そのものが変わる、これが一番の設置効果ではないでしょうか。

小島:

我慢して節電、節約しても節電疲れのようになり、長続きしませんよね。無意識にできるようになると継続して楽しんで節電できますからね。太陽光発電は、条件的に大きなシステムを載せられないお宅もありますが、小さなシステムで発電量は少なくても、それによって生活習慣が変わり消費電力量が下がるとしたら、効果は大きくなりますね。だとすると、太陽光をつけていないお宅やマンションなどでも、消費電力量が分かる「スマートメーター」などを設置するだけでも、消費電力量を減らせるような生活習慣に変えていける可能性があるということですね。消費電力を「見える化」することが大事だといえます。

会社の立上げにあたり、どんなビジョン、使命を持って事業を始められたのですか?

森上さん
森上:
「世界の全ての家庭・事業所に太陽光エネルギーを」をというのが、会社のビジョンです。我々が持つITサービスの経験を活かして、太陽光をつけたい方々と、販売する方々両者のニーズに応じて情報やサービスを提供していきたいと思っています。それが太陽光自体の普及を促進することにつながっていくと考えています。
小島:

太陽光の業界はまだ発展途上。もっと効率化も出来ると思いますし、もっとアイディアを活かせばスマートに仕事を進めていけると思うことが多々ありますね。

森上:

私は前職で中堅中小企業の支援を行っていました。その時に感じたことが、大企業とのIT活用による効率化のギャップでした。大企業は、IT活用に投資もできるしアイディアも生まれやすい。中小企業はどうしても今までのやり方を踏襲しながら、少しだけITを取り入れるというところにとどまってしまうことが多いんです。これは企業間のギャップだけではなく、グローバル化する海外との競合においてもはっきりとしてきたことでもあります。この業界でも、ITを活用してわかりやすいソリューションを提供していけば業界全体の成長に寄与していけると考えています。

小島:

ニーズはたくさんあると思います。10年前を振り返ると、業務のほとんどがアナログで非効率的なことばかりでしたからね。図面もすべて手で引いていましたし、パソコンも一人一台持っていませんでした。次第にシステム化されてツール開発も進んできて、やっとITソリューションに投資できるような土壌になってきたと感じます。

森上さん&コジさん

次回は、ソーラー・エナジー・ソリューションズ株式会社様が提供されているサービスやについてお話しいただきます。お楽しみに!

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2012年06月15日(金)

第7回:「環境ビジネス」編集長 村上朋史さん編vol.2

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コジさんエコロジスト対談/「環境ビジネス」編集長 村上朋史さん編

今回は企業や自治体、住宅まで幅広い分野で環境推進のための具体策を提供する専門ビジネス誌「環境ビジネス」編集部より、村上朋史編集長をお迎えしての対談、後篇です。

小島:

震災から一年、リオ+20の開催という節目にあたる2012年は、エネルギー業界にとって大きな転換期とも言えると思いますが、「テーマ」があるとしたら、何だとお考えですか?

村上:

国内のマーケットでは、被災地復興と日本全体のことと大きく二つに分けられるでしょう。被災地、とりわけ津波被災地では、街のエネルギー構造を、災害にも強い形で再構築する必要に迫られています。その中で、再生可能エネルギーという地域資源の活用はこれまで以上に重視されてきます。

日本全体のエネルギー関連では、やはり電力の全量固定価格買取制度がスタートすることですね。エネルギーの基本計画が見直しで、再生可能エネルギーの全電源における構成割合は大きく変化することは必至です。今はまさに、日本のエネルギーの転換点。中でも太陽光発電と風力発電は、固定価格買取制度で最も焦点があたるエネルギーです。ともに、最も適した場所に設置してこそ力を発揮できるものですが、初年度の買取価格の設定では、実質、風力よりも太陽光の方が利回りが高くなる可能性が高いですので、例えば単に2MWの発電をしたいという場合には、太陽光発電を選択する場合が多くなるかもしれませんね。風況の良い場所をより活用できるとよいのですが。いずれにせよ、導入に際しては、固定価格買取価格と、マーケットの価格とのバランス、効率、立地、すべてを見渡しての選択が求められるでしょう。

そして今年の夏も求められる「節電」ですが、昨年から企業も一般生活者もかなりまじめに節電に取り組んでいて、いわゆる「節電疲れ」が見えてきています。もうやれることはすべてやったという声も聞こえてきます。しかし本当に大切なのは、エネルギーを使わずに我慢することではなく、いかに効率よくエネルギーを使うかということなのです。それが本当の「省エネ」であり、今年は無理して節約する「節電」から、エネルギーの効率を良くする「省エネ」に変わっていく、気づきの夏になるのではないでしょうか。その流れを加速させるのが電気料金の値上げであることは皮肉ですよね。例えば照明をLEDをはじめとする省エネ製品の導入など、手軽にできる範囲でエネルギー効率のいい設備への切り替えによる、生活や仕事に支障をきたさない形での対応が企業でも一般家庭でも、さらに進んでいくと思います。節電・省エネ用途は、太陽光発電にも大きく影響します。例えば工場や倉庫などは固定価格買取制度を使って省エネを進めていくのには最適な環境ですから、さらなる対策として導入が進んでいくでしょう。

小島:

太陽光発電はつけて終わりではなく、たとえば住宅であれば、家庭内の電化製品をそれぞれ効率のいいものに変えることによってさらなる余剰電力が生まれ、より多くの電気を売ることができる、そういうサイクルが家庭ではできつつあると感じていますが、企業ではまだこれからという気がしますね。そんな中で、これから特に注目を集めると思われるキーワードは何でしょうか?

村上:

やはり蓄電池でしょうか。太陽光や風力と連動させたり、家庭に導入したりと、さまざまな提案がなされていますが、実際は蓄電池の使い方に関してはまだまだ見直されていかなければならない点が多くあります。大切なのは蓄電池を効率的に使うノウハウの構築であり、そしてできるだけ蓄電池に頼りすぎないシステムを作っていくことです。蓄電池は非常用電源としては有効ですが、そもそも作りだしたエネルギーを直流から交流に変換し一時的に貯めてそれをまた出して使うというのはすごく効率の悪いことです。効率を考えれば、例えば窓の少ない家に太陽光をつけて蓄電池をつけて日中も照明を使って暮らすことよりも、改装して太陽の光をたくさん入れた方が省エネであると言えます。これからは蓄電池の存在が社会システムの中では非常に重要視されてくるだけに、蓄電池をいかに最適に活用するかはまだまだ検討の余地があると思います。

最も注目されるべきは規制緩和です。社会が変化し、再生可能エネルギーというものが生まれ、エネルギーを取り巻く状況が変わっているにもかかわらず、法律は何十年も昔にできたものであるという矛盾を抱えています。これは、規制緩和によって今の社会の求めている情勢に法律が合わせていくという作業が必要なのです。とりわけ地熱発電の開発や、様々な個所、ビジネススキームでの太陽光発電の導入、小水力発電の普及には不可欠です。ほかにも風力発電の系統連系のキャパシティの問題をいかに解消するかは大きな問題です。規制が緩和されることで初めて、再生可能エネルギーの本格的な普及への道が開けてきます。

小島:

規制緩和と聞くと、厳しいものを緩めようというイメージですが、そうではなく社会に合わないものを変えていこうということなのですね。たしかに30?40年前には太陽光発電も実験用か、電卓に載っている程度でしたからね。それ以前にできた法律に従っていること自体が大きな問題ですよね。

取材などを通して多くの情報を得られていると思いますが、太陽光発電の今後の展望や期待することは何でしょうか。

村上:

今の太陽光市場の問題は、(とりわけ住宅分野で)マーケットが多重的な構造になっているということです。補助金や余剰電力買取制度などの優遇政策がとられてきたために普及が加速され、メーカーからユーザーに至るまでの間に3?4社入っているのが当たり前のような構造になっています。関わる業者すべてが質のいい業者とはかぎらないということも急速に育ったマーケットが抱える問題で、ユーザーが不利益をこうむらないよう、業界全体での対応が求められています。メーカーも販売会社もユーザーもメリットを得られる方向に、なんとかしてうまく進んでいかなければなりません。

小島:

今後さらに競争の激化、価格の下落が加速するのでしょうか?そうなってくると多重構造ではやっていけなくなりますから、マーケットの構造の見直しが必須になってくるでしょうね。太陽光の市場は規模を拡大していく前半戦から、体力勝負の持久戦の後半戦に突入したと言えますね。

村上:

マーケットで大切なことはサービスの質に対して適正な価格が選択されることかと思います。過当競争の下では、低コスト化の影響で施工などに問題が生じるというケースが多く報じられています。太陽光発電というのはある意味「投資」ですから、単に安さを売りにする業者には注意が必要であると、弊誌の特集などでも繰り返し訴えています。

小島:
産業用の太陽光発電のマーケットはどうなっていくでしょうか。
村上:

産業用に関しては、それほど心配することはないでしょう。ビジネスパーソンが十分に情報を収集し、判断して選択していけば、問題の発生は少ないのではないでしょうか。電力買取価格が決定するまでは、多くの見積もりを取って検討を重ねてきたユーザーも、ここへきて一気に導入へと動き出すと思いますが、しっかりとした投資計画を立てることが必要になります。計画の見込みが甘くて投資回収がうまくいかないとなると、自分たちだけでなく関わる多くの人に損害をあたえてしまうことになりますからね。

小島:

産業用の太陽光市場は、これまで無かったことをやろうとしていると言ってもいいでしょう。我々販売店にも分かることと分からないことの情報格差が存在して、思わぬ阻害要因が出てくる可能性もありますよね。

村上:

ここ最近、部材やモジュールの種類が増え、参入会社が増えたことでコスト競争が激化していますが、安ければそれだけリスクがあるということをユーザーには知っていただきたいですね。部材には保証期間というものがあってないような面もあり、現場で何が起こるか読めないというのが現実問題としてありますから、そのしわよせが導入事業者に行くことのないように整備していかないといけないと思いますね。また太陽光発電が一時のブームとして終わらないように、この先々も社会に根付いていくように、リサイクル・リユースのマーケットを整備して、国内だけでなく海外とも循環させていくようにしなければなりません。太陽光発電は、未来あるマーケットです。始まってまだ間もない業界ですから、まだまだ整備されるべきところはたくさんあります。しかし同時に、始まったばかりで、これほど整備されているのは素晴らしいことです。今後が楽しみです。

小島:

太陽光発電の未来は明るいですか!

村上さん
村上:
それはもう、間違いなく明るいですよ。無尽蔵と言っていい、ほとんどの場所に降り注ぐ太陽光エネルギーですから、日射量の差こそあれ、全国どこでも、「失われない地域資源」ですよね。化石燃料が有限であることを考えれば、先々太陽光発電の活用がいかに重要か、考えるまでもないことだと思います。個別のテクノロジーで見ても、技術開発はまだまだ天井知らずと言えますし、社会システムで見てもスマート社会の中で必須と言ってよい位置づけですので。
小島:

最後になりますが、「省エネドットコム」の読者にメッセージをお願いします。

村上:

太陽光発電を導入することで変わること、それは自分の家の電気の使い方を見直すことだと思います。例えば、テレビの音量を上げたらこれくらいエネルギーが違うのか、お湯を使うにも水道を出すにも電気は使われていることなど、小さなことですが見えなかったものに改めて気がつくことになるでしょう。そして、そのエネルギーを自給できていることに楽しみを見出すことができると思います。難しいことではないのです。太陽光発電は電気を自給自足することで、「生活を楽しむことができる設備」として考えてもいいと思うんですよね。そして、太陽光はおそらく家庭の中でもっとも長く付き合う設備になるでしょう。テレビや冷蔵庫を何度か買い替えても、まだまだ太陽光発電は健在でしょう。複数社に見積もりを取り、しっかりと信頼できる販売会社を選び情報を得て、楽しみながら設置を検討してはいかがでしょうか。

小島:

太陽光発電は「生活を楽しむことができる設備」。まったくその通りだと思いますね。エネルギー転換期の今だからこそ、自分の暮らしのエネルギーを作り出す喜びがあると思います。 村上様、貴重なお話どうもありがとうございました。

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2012年05月14日(月)

第7回:「環境ビジネス」編集長 村上朋史さん編vol.1

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コジさんエコロジスト対談/「環境ビジネス」編集長 村上朋史さん編vol.1

今回は省エネや新エネルギーをはじめとした環境推進の情報を提供する専門ビジネス誌「環境ビジネス」編集部より、村上朋史編集長をお迎えして、これからの環境ビジネス、新エネルギーの未来などをお聞きします。

小島:

まずは「環境ビジネス」という雑誌についてご紹介お願いします。

「環境ビジネス」編集長 村上朋史さん
村上:
「環境ビジネス」は1998年に創刊されました。
【村上さんプロフィール】
村上朋史(むらかみ・ともふみ)
月刊環境ビジネス編集長
1999年千葉大学卒。地域活性、ローカルビジネス、ISO14001などに関する報道、書籍・雑誌・イベント制作に携わり、2012年4月より月刊環境ビジネス誌編集長。主な取材分野は省エネ、太陽光発電など再生可能エネルギー、LED照明、排出権取引、気候変動、ISO14001、ISO50001、生物多様性など。

【環境ビジネス】
企業や自治体、住宅まで幅広い分野で環境推進のための具体策を提供する専門ビジネス誌。1998年創刊。
国内外の動向に注目し、事例・ノウハウ・助成・技術・法令などの情報を提供。
ホームページ:http://www.kankyo-business.jp/
村上:

私が今の仕事に関わったのが2007年からです。創刊当時は1997年の京都議定書の制定を受け、日本国内にもCO2削減目標へ向け議論が開始された時期で、前年にISO14001の発行もスタートしています。経済界にも大きな影響を与え、各企業でも環境マネジメントが強化されていきました。90年代前半までは、環境対応といえば公害対策や廃棄物がほとんどでしたから、CO2対策に企業が向き合い始めた時期とも言えます。温暖化対策目標の設定や、従来の省エネ法対応の枠にとどまらない、長い目で、環境を守り、育てるという視点を、社内の全事業に通すために、新しいセクションの設置が目立ち始めました。環境推進部やCSR部といった部署です。

とはいえ、「環境ビジネス」創刊当初はまだまだ生まれたばかりのマーケット。環境ビジネスとして成り立っている分野は廃棄物、土壌・水質・空気の浄化などで、リサイクルがこれからの注目市場というような状態でした。

小島:

今でこそ「環境ビジネス」といえば太陽光や風力などエネルギー問題を取り上げているイメージですが、当時は「環境」という言葉から連想されるものといえばリサイクルでしたよね。「環境ビジネス」は、既存のものから新しい世界を切り開いていこうというタイミングで誕生した雑誌だったのですね。

村上:

出版界は1990年代半ばから出版不況と言われています。そんな時代だからこそ、これから育つ、新しいマーケットの実態がつかめる雑誌は、面白いですよね。

小島:

出版活動を通して、社会に対してどのようなメッセージを伝えていきたいとお考えですか?

村上:

雑誌での現場取材で、本当に役に立つ製品やサービスの効果を確かめ、ユーザーに届けること、そのことで、誌面を通じたマッチングができればと考えています。今でこそ環境対策のコンセプトが入った商品は身近で当たり前になっていますが、意外と、欲しいものって見つからないですよね。
ビジネスの世界で言えば、少し前、風力や磁力を使ってゴミの中からリサイクルできる金属を選別できる機械がありますが、リサイクルが進んでいるヨーロッパで開発が進み、日本のリサイクル産業では中々その機械の情報は得られない。そんな時に誌面で紹介することで、機械の輸入が実際に起こって、現場で大きな効率化が進み、リサイクルが広がる。そんなことが実際に月刊「環境ビジネス」を通じて起こってきました。

小島:

環境という新しい分野では、せっかく良い製品を作ってもマーケットが発展途上であるためにユーザーとうまく接点を持てないという商品が多いのかもしれませんね。優れた製品があり、それを欲しいと思っている人がいるのに繋がらない。この商売の原点ともいうべきことが環境分野ではまだまだ浸透していませんよね。

現在の環境分野で活動している人間の多くに共通することが、大学生や高校生のころにCOP3(第3回気候変動枠組条約締約国会議)と、京都議定書や地球サミットを経験しているということです。彼らが企業の中堅となり、環境分野への認知度もこれでもかつてよりはだいぶ向上されてきていると思います。もうあと10年もほど経ち、彼らが企業のトップになる頃には、もっと変わっているのではないでしょうか。我々も頑張っていかないといけませんね!

さて、改めてお仕事内容など自己紹介をお願いいたします。

村上:

一番の仕事は、月刊「環境ビジネス」という雑誌の編集現場を束ねることです。編集スタッフ、記者、カメラマン、デザイナー、他にも営業、販売などすべての担当者から得られた情報から、誌面構成を考えます。ユーザーのニーズがどこにあるのかを探し、いかに、知りたい情報を、知りたい形で届けられるか。具体的には、担当者で企画を持ち寄り、編集会議を行い、特集内容を決めていくのですが、話が盛り上がり、短時間で終わらせるはずの編集会議が長くなってしまうことも少なくはありません(笑)。現場では本当に色々なことが起こっています。他には、「環境ビジネス.jp」というウェブサイトのニュース配信のネタを決めたり、構成を決めたりという仕事もあります。それから、これから伸ばしていきたいと考えているのが、雑誌主催のセミナーやシンポジウム、書籍の発刊などですね。

コジさん
小島:
編集長というお立場ですから、やはり「環境ビジネス」という雑誌そのものがお仕事なんですね。書籍の発刊ということですが、もし太陽光発電の本を出すとしたらどのようなものがいいでしょうか?
村上:

太陽光発電を導入したいと考えているけれどパンフレットですら読んでも難しいといった声をよく聞きます。それだけに、小学生でも十分に理解できる、分かりやすく解説したものが求められているように感じます。逆に仕事として太陽光発電に接している場合には技術上の課題やコストなど、深く切り込んだ内容が欲しいのではないでしょうか。求められる情報は、読者によって両極端に分かれるという印象です。

小島:

以前に比べたら太陽光はだいぶ認知されるようにはなりましたが、その分競争も激化していてます。特にWEBサイトは、参入しやすいということもあり、攻め方を考えないといくら力を注いでも結果が出ないという時代になってきています。何かおもしろいことを共同でやってみるのもいいかもしれませんね。

そもそも、このお仕事に就かれたきっかけは何だったのでしょうか?

村上:

社会人になってからは編集畑をずっと歩いています。前職では、地域活性化にかかわる分野でした。私が社会に出た1999年は地方分権一括法が成立した年で、大きく地域が動いていく時期でした。地方にお金がもっと行きわたり、権限が拡大し、ユニークな町がたくさんできるのではないか、そんな期待感がありました。その動きを、メディアという立場からとらえたかったんですよね。そして、様々な取材をする中で、環境関連に徐々に強い関心を持つようになってきました。かかわっている方が皆前向きで、イノベーティブ。大学教授が先端で研究していることを、農家のおばちゃん達が実践してしまって、新しい仕事が生まれたりする。地球サミットや愛・地球博などを通じて、若い世代も多くの方が興味を持つようになり、多様な人間が関わるような状況になっていました。

環境の分野で活動している方々は、強烈なパーソナリティやモチベーションがあり、接していてとにかく面白い。これを多くの人に伝えたいと思い始めました。しかし環境分野が、マーケットとして成り立つのか、自分の仕事の場にできるのか、という問いには、しばらくの間答えが出ませんでした。徐々にプライベートで環境のフィールドについて調べるようになりました。一年くらいかけて動き、最終的にこの市場は大きくなれるマーケットであると確信して活動し、今の仕事に出会いました。

小島:

いいと思うものは広めていきたい、そのためには商売にしないと広まらない、そういう思いがある中で、「環境ビジネス」という雑誌はまさにそれをコンセプトにしている雑誌だったのですね。

村上さん
村上:
逆説的なんですが、環境対策が広がるには、環境に興味がない人間の感覚の中でニーズをつかむことが大切になってきます。環境の論理と違う論理で成立しないと、関心のある人の間でしか、サービスは広がりません。具体的に言うと、オーガニックな食べ物でも、すごくおいしいものでないと広がらないと、そういう意味です。環境というフィールドでなので、「やらねば」「もはや義務」となりがちですが、やはりヒトや社会の欲求の中に入って活性化させていくことがとても大事と言えると思います。
小島:

地球サミットから20年目の今年、再びブラジルのリオでサミットが開催されます。そのリオ+20のテーマも「グリーンエコノミー」ということで、環境とビジネスを両立させて経済発展を環境で実現させようという動きは、世界でも広がりを見せていますね。
途上国ではCO2を排出させながらの経済発展が前提になっていますが、そうではなく、グリーンに繋がる可能性を持ちながら成長を遂げていこうではないかという話なのですが、実際は難しいですよね。途上国と先進国、企業と市民、同じ「グリーンエコノミー」という言葉でも受け取り方は全く違いますからね。例えば、水を買い占めて世界中に分配するのもグリーンエコノミーだという多国籍企業の言葉に戦々恐々とする市民、それを大きなビジネスチャンスととらえる企業、一つにまとまることこそが最も難しいことなのかもしれませんね。

村上:

国連、京都議定書の枠組みの中でずっと会議してきましたが、途上国と先進国の溝はなかなか埋まりませんね。それだけに今年のリオ+20というのは、大きなチャンスであり、これからの持続可能な発展を、政治・経済すべてに一本の串を通してやっていくことができるかどうか、シビアに考え直すいい機会になるのではないでしょうか。

小島:

そうですね。結局は、南北問題と言われていたころから根本的なことは何も変わっていませんよね。途上国と先進国の対立は根が深いものですから。

村上:

本当ですね。世界的にいわゆるグリーンエコノミーへの注目度は高まっているだけに、環境に関するビジネスが少しでも溝を埋められればよいのですが。
 経済同友会が以前集計したアンケートによると、これからの日本経済に必要なものは何かという問いに対して、実に2/3の経営者がこれからは「環境技術」が求められると答えています。太陽光発電のマーケットでも、ヨーロッパではドイツ、イタリアを中心に導入が進み、中国も急速な拡大傾向にあり、日本も実は世界で5本の指に入る大きな市場です。日本は特に、昨年の震災を受けて国民のエネルギーに対する考え方が大きく変わり、重要な政策も決まりますから、今年はエネルギー転換の重要なタイミングになりますね。

小島:

震災から一年、リオの地球サミットから20年、節目の年になるのでしょうか。気候変動枠組み条約に始まり京都議定書、その枠組みでこれまで動いてきましたが、その枠をそろそろ次の段階に移していかなければならない時期に来ていると言えますよね。

最後になりますが、お仕事をされていて喜びを感じる瞬間はどんな時ですか?

村上:

やはり一番は、誌面を通じで環境の技術や製品をユーザーと結びつけることができた時ですね。誌面を見たユーザーから問い合わせが入り納品につながった、誌面をきっかけにして認知度が上がりなんらかの受賞につながった、など実際に様々な声が届けられます。営業現場でも取材記事や広告を営業ツールとして利用していただく場合も多く、現場の結びつけをもっとできるような誌面づくりをしていきたいと思っています。ほかには、例えば電車の中で読んでいる方をお見かけした際、書店で立ち読みしていた方がレジに向かう瞬間など、実際の読者に出会えた時はいつでも本当に嬉しいです。これからも求められる誌面作りをしていくために、可能な限り現場のニーズを拾い、誌面を通じて、環境市場の拡大に少しでも力になれればと思います。

村上さん&コジさん

次回は、出版界から見た太陽光発電市場、今後注目される話題など、「環境ビジネス」編集長ならではの視点でお話しいただきます。お楽しみに!


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2012年04月02日(月)

第6回:NPO法人「共存の森ネットワーク」森山紗也子さん編vol.2

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コジさんエコロジスト対談/NPO法人「共存の森ネットワーク」森山紗也子さん編vol.1

森と人の暮らしをつなぐNPO法人「共存の森ネットワーク」より、森山様をお迎えしての対談第二弾です。

小島:

森山様は「共存の森ネットワーク(以下 共存の森)」の中で、具体的にどのようなお仕事をされているのですか?

森山:

私の仕事は、主に「聞き書き甲子園」の運営サポートです。「聞き書き甲子園」は年々規模が大きくなっていて、参加の高校生も毎回100名という大所帯です。関係各所をとりまとめての会議や、高校生たちを一同にあつめての研修会、そのための資料の準備などです。それから、高校生と名人の間に入ってやりとりのサポートをしたりもします。
名人の方言がわからないなどの理由で高校生たちが話を理解できないことがありますし、中には「アポイントを取るために電話をしているのですが、何かのセールスと勘違いされてすぐに電話を切られてしまうのですが、どうしたらいいでしょうか。」というような笑い話のようなケースもあるので、その都度ひとつひとつ対応しています。
小島:
たしかに関わる人が多ければ多いほど、さまざまな要望があるでしょうし、丁寧な対応が求められるのでしょうね。
小島:
森山様が「共存の森」に入られたきっかけを教えてください。
森山:

私の父が、職人兼デザイナーのような仕事をしていたこともあり、幼いころから物作りの環境がとても身近なものでした。ですから、そういう職人のような人たちに親近感を覚えていたのですが、そういう人たちが優れた技能や芸術性を持っていながら自ら発信したり声を上げたりすることを苦手としている場合が多いことを感じていました。世の中には、そういう職人たちの手仕事に興味を持っている人も多数いて、ニーズがあるのになかなか繋がらないとも感じていました。その懸け橋になることができたらいいなと、ずっと思っていました。
 大学生の頃、損保ジャパンが企画している「CSOラーニング制度」というインターン制度を利用して、いくつかのNPOと関わる機会を得ました。その中で、「共存の森」の「聞き書き甲子園」の事業を知り、興味を持ったのがきっかけです。それまでは仕事としてNPOに関わるという選択肢は私にはなかったのですが、一年間「共存の森」にインターンとして関わり、「聞き書き甲子園」を経て変わっていく学生たちに触れる機会を得て、純粋に感動したんです。名人譲りなのか、学生たちのゆったりと他者を受け入れる抱擁力、出会った感動を素直に受け入れていく素朴な人柄など、要はこの活動に関わる人々に惚れこんでしまったというわけです。

そして、「聞き書き甲子園」では、話を聞く相手は職人に限られてはいませんが、声を上げることもなく地道に頑張っている人たちにスポットをあてていくことができる事業だと感じて「共存の森」へ入ることに決めました。
職人や、名人たち、かつてお世話になったことのある農家の方など、自然を相手にしている人たちの、仕事や暮らしに対する考え方にも、感銘を受けました。学生時代に農家に一ヶ月間お世話になったことがあったのですが、自然環境や気象に左右されながら一年を通して作物を育てていく農業に従事されている方というのは、物事を長いスパンで考えていると感じました。例えば、台風が来ると分かればビニルハウスの強化などできうるかぎりの対策をするけれど、それでも作物がだめになったとしたら、それはもうしようがない、それでもまたその場所で作物を作ることができるし、来年再来年へ向けてやっていこうと気持ちを前向きに切り替えていく。自然を受け入れて、自分たちが生きる場所にしっかりと根を張っているからこそ生まれる心のゆとり、落ち着きに、その頃の私は驚きました。

小島:

今年だめでも、来年があるという風に考えて仕事をするというのは、結果をすぐにもとめられがちな企業での仕事とは全く異なる仕事観ですよね。

森山:

同じような感覚が、物作りをしている職人や名人たちにもあって、例えば100年かけて森を作る名人などは森の一部として自分の存在をとらえていたり、職人たちはその季節に合った材料、その材料にあった道具などを選び、その時季を待って何かを作っていたりします。短い時間の中で成果を求められるのではなく、どっしりと物事を考えていくその安心感に惹かれますね。その感覚に、たくさんの人に触れてもらい、感じてもらいたいと思って活動しています。

小島:

私たちも太陽光発電を販売している立場ですが、これからの太陽光発電の未来のために何をしなければならないか、次のビジョンを考えていかなければならない時期に入っています。現在は、太陽光発電は時代の追い風を受けて右肩上がりの成長をしていますが、そのために日々の仕事に追われているような気持ちになることがあります。農業のように、この畑では先にこれを植え、次はこれ、その次はこれというように考えながら畑を回していくように、ずっと先のことまで考えていかなければなりませんよね。

森山:

右肩上がりの成長曲線も大事だと思いますが、循環させていくサークルのような曲線を描いていくことも大切なことなのではないでしょうか。参加してくれている高校生や学生たちには、成長はすばらしいことだけれど、「足るを知る」という言葉があるように、自分の暮らしの満ち足りた部分に目を向けて、その中で豊かに暮らすということができるという意識も持ってもらいたいと考えています。半農半Xなどでも提唱されていますが、さまざまな働き方をしながら、無理のない範囲で農業や自然と関わり生きていくという選択肢があるということを多くの人に知ってもらい、自分の身の丈に合った生活で豊かに生きていくという方向に世の中の人の意識がシフトしていけばいいという希望を持っています。

小島:
永遠に何かを求めて続けて成長を続けるということではなく、ちょうどいいころ合いを知りその中で循環させながら豊かに暮らすこと、それは確かにすばらしいことだと思います。しかし、現実には我々サラリーマンの立場からはなかなか難しいですね。でも、成長することだけにとらわれずに、今の自分の暮らしを見つめなおし、支えてくれている人たち、自然に感謝しながら暮らすことはとても大切なことだと思います。企業に働いてれば日々成長と結果を求められますから、私はボランティアや社会活動でも、その感謝を還元していきたいですね。 成長を目指して進んでいくことと、「足るを知って」満足して暮らすこと。どちらも大切で必要なことだと思います。そのバランス感覚が、これからは求められていくのではないでしょうか。
コジさん
小島:
活動の中で、感動したこと、学んだ事があれば教えてください。
森山:

高校生や大学生などと関わっているので、その彼らの変化こそが一番の感動ですね。「聞き書き甲子園」という活動は、人と関わって話を聞くことから始まります。活動を通じて名人の話を聞いているうちに、自らの問題としてさらに深く掘り下げて活動していく学生もいました。ある学生は、もともと環境活動に興味があったこともあり、度々山に行って活動していました。その集落が彼にとても合っていたようで、就職した後もどんなに仕事が忙しくなっても年に一度は通っていましたが、しばらくしてその彼は、その集落で感じたこと学んだことを自分の地元へ持ち帰り、地域のおじさんたちから話を聞いたりする活動を始めました。彼の地元は彼が望むような自然あふれる山村ではなく、自然や環境に関わる仕事ができるわけではないのですが、「地域を作る」関係性を築くことが防災や防犯にも繋がると考えるようになったそうなのです。そんな風に、関わってくれた学生がどんどん変化することが、驚きであり感動でもあります。

小島:
参加前と後では、雰囲気なども変わってきたりするのですか?
共存の森 森山さん
森山:
環境問題は今や学習教科になっていて、学生たちはよく学習しています。しかし実際の森や自然に関わったことのない子どもたちが多いですね。
森山:

知識はたくさんあっても、そこに自分がどう関わっていくのか分からず、自分の問題として考えられないのです。それが、「聞き書き甲子園」に関わると、実際に問題に直面している人に話を聞き、現場に足を運ぶので、一年間の聞き書き体験を経て帰ってきた高校生は、以前はボーっと授業を聞いていたのに、一年後には自分が聞いた名人の話が問題になっているわけですから、まったくとらえ方が違ってくるのです。日本の森、林業の問題などは、それまでは聞いてもピンとこなかったのに名人と関わった後は、「あの名人のあの森をなんとかしたい。真剣に考えていきたいです。」なんて言うようになるのです。自分のこととして真剣に考え始める時、彼らの目がきらきらして見えるんです。「目がきらきら」なんていうと笑われるかもしれませんが、私はそれが見たくて仕事をしているようなものですね。

小島:
皆、何かやらなければならないのは分かっているけれど、どうしたらいいのか分からない。教科書的な表面しか見えていなかったのが、名人から直に話を聞いたり現場に行ったりすることによって、自分の問題としてとらえられるようになるというのは素晴らしいことですよね。そういう人を社会に増やしていく活動は大きな意義があることですね。「聞き書き甲子園」はもう10年もやられているそうですから、すでに1000人はそういう人を送り出したということですから、すごいことです。
小島:
読者の中には「聞き書き甲子園」および、「共存の森」のそのほかの活動に興味を持たれる方もいらっしゃると思います。参加するにはどうしたらいいのでしょうか。
森山:

高校生でしたら「聞き書き甲子園」、大学生や一般の方は「共存の森づくり」「なりわい創造塾」に参加していただけます。募集は、こちらのホームページ(http://www.kyouzon.org/index.html)で行っていますので、ご覧いただきたいと思います。なお、「なりわい創造塾」では、年に数回公開講座も設けておりますので、お気軽に参加していただけると思います。

小島:
最後に、環境貢献に興味を持っている省エネドットコムユーザーへ一言お願いします。
森山:

環境問題は入り口にすぎないと思います。人と関わり、そこからいろいろなものと繋がっていくことが大事なのではないでしょうか。例えば、今回の原発問題を入り口にエネルギー問題に興味を持ったとき、それを持続して考えていくには、その中で関わっている人たちと実際に話をしながら問題を共有していくことが大事だと思うのです。太陽光発電にしても同じです。太陽光発電を作っている人、売っている人、使っている人、関わる様々な人に話を聞き、自分の問題として受け止める。そうすることによって、熱心にもなっていけるだろうし、環境問題の克服にも地域社会の問題の解決にも繋がっていくかもしれません。ですから、今お持ちの興味の部分を大事にして、いろいろな人と話をしてみてもらいたいと思います。

小島:
話をして、問題を共有する。そこから、問題点を見出したり解決したりしていけますからね。人と話をして、共感してもらえることが喜びになり、喜びが活力になりますからね。その力が、問題解決や何かをよりよい方向へ進めていくのには必要ですからね。
森山さん&コジさん 「共存の森」森山様のお話、いかがでしたでしょうか。森を育て、自然に育てられている人間たち、その人間たちが関わり、会話をすることで、成長していく活動は、ライフスタイルの転換期に来ている今、注目すべき活動なのではないでしょうか。
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2012年02月24日(金)

第6回:NPO法人「共存の森ネットワーク」森山紗也子さん編vol.1

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コジさんエコロジスト対談/NPO法人「共存の森ネットワーク」森山紗也子さん編vol.1

今回は、森と人の暮らしをつなぐNPO法人「共存の森ネットワーク」より、森山様をお迎えしました。

NPO法人「共存の森ネットワーク」より、森山さん
森山:
「共存の森」は、活動の原点は名人にスポットを当てようという取り組みでした。
【森山さんプロフィール】
共存の森 2008年よりNPO法人共存の森ネットワークの事務局として勤務。 「聞き書き甲子園」の運営をメインに担当するほか、「共存の森づくり」の活動などをサポートする。

【共存の森ネットワーク】
人と自然、人と人、世代と世代をつなぎながら、 持続可能な社会づくりのために、さまざまな活動を展開。
ホームページ:http://www.kyouzon.org/
小島:

「共存の森ネットワーク(以下 共存の森)」はどのようにして始まったのですか?

森山:

「共存の森」は、活動の原点である「聞き書き甲子園」という活動があります。まずは、こちらの活動の始まりからお話ししますね。
「聞き書き甲子園」よりも前に、林野庁と国土緑化推進機構とで、森の名手・名人を毎年選定するという事業がありました。木こりや炭焼き、木材搬出者、木材加工の工芸師など、あまり知られていないけれど素晴らしい技術をもった名人にスポットを当てようという取り組みでした。そこに、「共存の森」の理事長で作家でもある塩野米松が、自らが執筆の際に行う「聞き書き」という手法を取り入れて、高校生が森の名手・名人から聞いた話を高校生自身が「聞き書き」にまとめたのが「聞き書き甲子園」の始まりです。
エコsamurai君
塩野は、若者が名人に聞いたことを「聞き書き」にしていくことによって、技術や風習の伝承ができるのではないかと考えたのです。それが今から10年ほど前で、当時は林野庁と文科省の事業として「森の聞き書き甲子園」という名称でスタートしていました。その事業を民間が受け取って継続することになり、「共存の森」の前身である「樹木・環境ネットワーク協会」が運営していましたが、「聞き書き甲子園」へ参加する高校生や、参加を体験した後の継続的な取組みとしての活動をサポートする「共存の森づくり」といった活動の規模が大きくなったために、これらの活動を主に行う団体として「共存の森」が独立した形になります。
「樹木・環境ネットワーク協会」が主に都市部に住む人が身近にある自然、例えば新宿御苑や動物園などの街中の自然に親しむ活動が中心なのに対し、「共存の森」では農村部まで出かけて行って森や山などの自然を相手に活動するといったように方向性が違ってきたことも、独立の理由の一つだったようです。
小島:
名人を発掘すること、それを高校生が聞きに行き伝承を受けて記録する。この二つを組み合わせたわけですね。
森山:

名人の技を記録として残すということが目的で始まったのですが、参加した高校生たちがその作業を通して、すごく成長するということが分かりまして、その成長の大きさに我々自身驚かされることが多くあります。さらに、名人たちも若者が真剣に話を聞いてくれることによって心境が変化するようですね。

小島:

話を聞く方も、話す方も刺激になるのですね。

森山:

名人たちにとっては、毎日の暮らしの一部となり淡々とこなしていた仕事が、高校生を驚かせ心を動かしていることが何よりの喜びのようです。職業選択の自由などなく、親の仕事を当たり前のように引き継ぎ、仕事をこなしていたように感じられていた日々こそが、実は技の伝承そのものであることを名人自身が改めて考えるのかもしれません。

小島:

職業選択だけでなく、どこに住むかも何をするのかも、親の職業を継ぐかどうかも自由になっている現代では、自分で自分の進路を決める高校生にとっては非常に有意義な時間になりますね。

コジさん
小島:
自分で自分の進路を決める高校生にとっては非常に有意義な時間になりますね。
森山:

選択肢が多いからこそ迷ってしまうのです。
「共存の森」で制作した映画『森聞き』の中で、少女がおばあさんに「仕事は好きですか?」と問いかけるシーンがあります。しかし、おばあさんにとって仕事は好きだからしているのではなく、必要だからやっていることなのです。田を耕さなくては収穫できないから、耕す。それ以外の選択肢はないのです。思えば、少女にとっては「好きなことを仕事にする」という先入観のようなものがあったのかもしれません。現代の少女たちの価値観と、おばあさんたちの世代の価値観は違うということを感じることも、少女の成長には大切なことなのではないでしょうか。

小島:
何のために仕事をするのか。好きなことをするということもそうですが、それよりもっと、自分が何をしていきたいのか、これから先の人生をどう生きたいのかということまで考えて仕事をしていくべきだと思いますね。仕事というのは、その人の暮らしだけでなく関わる多くの人にも影響を与えていくものです。ですから、自分は何をしたいのかと問いかけながら仕事を選んでいけばいいのではないでしょうか。
森山:

名人たちが幼かったころは昭和初期、ちょうど戦中だった方も多く、仕事を身につけることが生きる基盤をつくることそのものでした。仕事することが生きることに直結していて、真剣勝負だったのです。
生きるために働くという重さ、深さを、今の高校生はなかなか理解できないようですが、何かしら心に引っかかるようですね。そのとき心を動かされた高校生たちが、「聞き書き甲子園」以降も「共存の森づくり」という活動へ移行して継続的に参加しています。
その活動拠点は全国に6地域7集落存在し、地域の方々に協力していただきながら活動しています。「聞き書き甲子園」を経たメンバーが中心となり、年に数回その集落に通って地域の方と一緒に森の整備をしたり、米作りや農業などのそこに息づく暮らしを体験したり、今はもう行われていない縄ないから行ってのわらじ作りなどを体験したりしています。かつてはあったが失われつつある暮らしの伝承を受けることも活動の一つです。

共存の森 森山さん
森山:
心を動かされた高校生たちが、「聞き書き甲子園」以降も「共存の森づくり」という活動へ移行して継続的に参加しています。
小島:
とてもおもしろい活動ですね。自然を守ると一口で言っても、自然に手をつけずに放置することだけが自然保護ということではないですからね。やはり、そこで生きる「人間の暮らしを含めた自然」を守っていくということが大切なのだと、お話を聞いて改めて思いました。
森山:

今の高校生たちは、木を切るということに抵抗を感じることが多いのですが、今我々が目にすることができる農山村部などの森は、人の手によって維持されていると言ってもいいのです。20~30年成長した木は切られ、木材や燃料として利用されまた新しい木が育つ。切られてから1~2年、そこには遮るものがないために太陽がよく当たり、山菜などの植物がよく育ち動物も集まります。そしてまた数年たつと木が成長し、また切られる日が来ます。その森ではたくさんの命が共存し、循環しているのです。その森のサイクルを守るのがそこに暮らす人々であることを、訪れた高校生たちに肌で感じてほしいと思っています。一度人間の手が入った森は、その人間たちも森の一部に組み込まれていくのです。かつては人間が整備していたのに現在は放置されてしまっている森がたくさんあります。なぜ人間が入り込めなくなってしまったのか、その理由を考えていくことも活動の重要な要素になっています。

小島:
原生林などにおいては、自然更新されていくことを重要視して人の手を入れないようにしているところもあるのかもしれませんが、たとえば、温暖化防止の面から言うと、木というのは成長する過程でCO2を吸収していくものなので、木が生えているだけではだめなんです。古くなった木は切り、木材として活用し、新しい芽を成長させて新しい森にすることによってCO2が減っていくのです。成長し循環するということが大切なのです。自然は大切、緑を守りましょうというキャッチコピーのような環境教育では、何か足りないと感じるからこそ、参加した高校生たちが驚きを感じたり心を動かしたりするのでしょうね。
昨今、持続可能性の観点から従来の消費型社会ではなく、循環型社会への変革が求められていますが、かつての日本の森や里山には循環型社会が存在していたということですよね。そこを見つめ直していくことが、これからの持続可能な循環型社会というものを考える上で非常に大事なヒントになっているような気がします。
森山:

もうひとつ、社会人を対象にした「なりわい創造塾」という活動があります。かつて大学などで環境や農業を学んだ方、週末田舎暮らしを実践したいと考えている方など、理想はあってもなかなか実現できない人がたくさんいると思います。そういう方々に向けて、いわゆる「半農半X」な暮らしを提案しています。突然農村部に移住するのではなく、週末などに農村部に出向いて農作業の大変さや農村部で抱えている問題などに向き合ってもらい、それらの体験を経る中で、移住も選択肢の一つにしてもらいつつ、ゆくゆくは自給自足を、さらにはエネルギーですら自分たちで賄っていけるような人材を輩出していきたいと考えています。
月に一度農村部に通い、さまざまなプログラムを組み活動しています。主に20~30代が中心ですが定年後の再スタートと考えて参加してくださっている方もいます。今年は埼玉県小川町で行っていて、つい先日の回では森に入り間伐を行いその木材で自然エネルギーを作るという活動をしました。

小島:
移住したい人もいれば、週末だけでいい人、年に数回だけ活動したい人など様々な人がいると思います。人によって参加できる範囲も異なりますし、気軽に参加できるフィールドを作っていくことが大切ですね。
森山:

都会に暮らしていると、農村部に出かける機会は少なくなってしまいます。たとえ一回だけでも、そこで出会ったおばあちゃんから野菜を送ってもらったりする。そんなちょっとした繋がりでも構わないと思っています。おばあちゃんにとっても、自分の仕事を応援してくれる人がいるということが励みになるでしょうし、参加者は都会では手にできないおいしい野菜を食べられますしね。
「山や森と関わる」ということ、そして「そこに暮らす人々と関わる」ということこそが我々が築いていきたいことなのです。そこで暮らす人々を介して自然と繋がっていくという関わり方こそが、自然と人間が共存していく方法なのではないでしょうか。

小島:
顔の見える付き合い、気持ちの通う付き合いができる場を提供すること、そしてその人たちと関わることが自然との関わりにつながっていくという考え、すばらしいですね。私も、渋谷で花を育てる活動「シブハナ」をやっていますが、大変参考になるお話でした。今回は、どうもありがとうございました。
森山さん&コジさん

次回は、「共存の森」での森山様の活動内容や、それぞれの活動への参加方法など詳しくお話していただきます。お楽しみに!


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2012年02月03日(金)

第5回:「京セラソーラーコーポレーション」大鶴倫世さん編vol.2

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コジさんエコロジスト対談/第5回:「京セラソーラーコーポレーション」大鶴倫世さん編vol.2

今回は、日本の太陽光発電システムの先駆け的存在の京セラソーラーコーポレーション マーケティング部 大鶴様をお迎えしての対談第2弾です。女性ならではの視点や、太陽電池に関わる立場としての熱い思いを語っていただきました。
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【関連リンク】京セラ太陽光発電システム
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小島:

御社では、販促にキャラクターやマンガも取り入れていらっしゃるそうですね。大鶴様もその販促物に関わられているとお伺いしました。

大鶴:

きっかけは、営業現場から女性向けに分かりやすい販促資料を作って欲しいという要望があったことからでした。「太陽電池がどういうものなのか?」ということが簡単に分かるものを作ろう!と考えました。30~40代の女性をターゲットにして、「太陽光発電とはどういうものか」、「家計への効果は?」、「環境効果はどうなの?」など、知って欲しい情報をまとめました。実はこのマンガ、最初は男性社員には不評でした。雑誌の挿絵風のいわゆる「ゆるい」イラストが、どうも男性には受け入れがたかったようですね(笑)。しかし、私を含めほとんどの女性社員は「ゆるい」イラストが気に入っており、このイラストなら女性に訴えかけられると思い、なんとかこれで進めてほしいと強く要望しました。
コジ:
太陽光発電メーカーや販売店の営業現場は男性が多いので、どうしても男性目線になってしまいがちですが、お客様は多くがご家族でお住まいです。女性である奥様に訴えかけるような女性目線がとても大切になりますよね。
コジさん
コジ:
奥様に訴えかけるような女性目線がとても大切になりますよね。
大鶴:

女性に訴えかける内容とビジュアルにはこだわりました。実は、太陽光発電のイベント運営に参加させて頂いた折りに、ある男性のお客様が太陽光発電に大変興味をお持ちになりましたので、パンフレットなどをお渡ししたのですが、その数十分後に資料をそっくりお返しに戻っていらしたことがありました。「奥さんに返してきなさいって、おこられちゃった。折角貰ったのにごめんね」と謝ってくださりました。
もう一度足をお運びいただいたことは嬉しかったのですが、奥様に受け入れられなかった印象があり、ショックを受けました。私たちは、製品に愛情を持っておりますし、自信もあります。けれども、パンフレットすら目を通すことなく却下されてしまうこともあるのだと、身をもって知りました。まずは女性がふと目をとめるようなイラストや雰囲気を出すことが大事なんだと。確かに、自分自身もかわいいイラストのパンフレットに興味がわきます。ちょっとしたきっかけでもいいので、冊子だけでも持って帰っていただきたい!と考えたのです。

「ゆるい」イラストのパンフレット

ほのぼのとした「ゆるい」イラストのパンフレット

コジ:

女性の「かわいい」という感性に訴えかけるのは、女性ならではの視点ですね。こちらのキャラクター「エコSAMURAI君」も、独特のかわいさで女性に受け入れられそうですよね。

大鶴:

エコsamurai君

こちらは、私が上司に言われて気軽に描いたものが好評を得て、本格的にデザイナーの方に依頼してキャラクターとして誕生したものなのです。まだまだ、上手く活用できていないのですが、キャラクターは、パンフレットやイベントで活躍するだけでなく、製品のイメージにも関わります。そのキャラクターがいるだけで場が明るくなるような、ほっとするようなキャラクターを目指しています。私はまとめ役としての立場もあるので、自分の感性と一般的な意見とのバランスを考えていますが、自分の「かわいい!」と思う感覚も大切に、キャラクターをきっかけに太陽光発電を知っていただければいいなと思っています。

コジ:

大鶴さまが太陽光発電の普及のために心がけていることはなんですか。

大鶴:

太陽光発電は「再生可能エネルギー」の1つとして、大きな可能性を持ったエネルギーの1つです。
自然の力を利用したエネルギーが広がっていく。それは事業を始めた当初に描いていた「夢」でした。「夢」だと思っていたことが現実になる節目に立ち会えていることに誇りを持っています。
人生で、仕事で、このような経験が出来ることは幸せですし、感謝しています。そして、太陽光発電を含む再生可能エネルギーをたくさんの場所で選択いただけたらいいなと思い、活動しています。

京セラソーラーコーポレーション 大鶴倫世さん
大鶴:
「夢」だと思っていたことが現実になる節目に立ち会えていることに誇りを持っています。
コジ:
私もこの仕事をしてもうすぐ10年ですが、太陽光発電に関わる人は大鶴さまのような思いを抱いて仕事をしている人が多いですよね。太陽光発電は単なる商品ではなく、自分たちの気持ち、思いを売っているようなところがありますからね。
最後に、これから太陽光発電を検討されている方にメッセージをお願いします。
大鶴:

ご検討されている方は、ある程度の情報収集をされていることと思いますが、ぜひ販売員や実際に製品を使用している方から話を聞いていただきたいと思います。販売店に相談して、多くの製品の中から自分の生活と家の屋根に一番合ったものをじっくり選んでいただきたいのです。
京セラの太陽光発電は、多くのラインアップを取りそろえておりますし、お客様のお家の屋根にどのようにフィットさせるか、ライフスタイルに合わせた最適なシステムを考えてご紹介することを第一に考えておりますので、わからないことや不安なことはお気軽にご相談ください。きっと、お客様一人ひとりにぴったりの製品が見つかると思います。

大鶴倫世さん&コジさん
<第5回対談・編集後記>

大鶴様には二回にわたり、太陽光発電の販売に関わる立場から見た製品・会社へ思いや信念をお聞きしました。女性ならではの観点の施策や現場から学んだ事など、実際に関わられているからこその貴重なお話をうかがえ、非常に意義のある対談となりました。お忙しいなか、取材にご協力いただき、ありがとうございました!



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2011年12月28日(水)

第5回:「京セラソーラーコーポレーション」大鶴倫世さん編vol.1

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コジさんエコロジスト対談/第5回:「京セラソーラーコーポレーション」大鶴倫世さん編vol.1

今回は、日本の太陽光発電システムの先駆け的存在の京セラより国内の総販売元、京セラソーラーコーポレーション マーケティング部の大鶴倫世さまをお迎えしての対談です。

小島:

さっそくですが、御社についてご紹介お願いします。

大鶴:

京セラの特徴は住宅用や公共産業用分野において、製造、販売、アフターサービスまですべてを自社で行なっていることです。住宅用太陽光発電システムの販売、系統連系システムの開発も日本で初めて行い、太陽光発電の部門では長い実績があることが強みです。太陽光発電システムは10年、20年と長きに渡って使用していきます。それだけに品質が重要になってきます。 京セラでは、実際に27年前に工場に設置したものが今でも稼働しており、確かな実績に自信をもっております。国内での住宅用の販売も19年目になり、その歴史と品質こそが京セラの強みです。
京セラソーラーコーポレーション 大鶴倫世さん
大鶴:
販売にあたっては、四つの品質を大切にしています。
【大鶴さんプロフィール】
京セラ太陽光発電システム 株式会社京セラソーラーコーポレーション マーケティング部にて販売促進としてwebサイト、展示会、販促などを行う。 京セラの太陽光発電WEBサイトを担当

京セラ太陽光発電システム
http://www.kyocera.co.jp/solar/
コジ:
御社はまさに太陽光発電システムの先駆けともいえますからね。初期の頃から太陽光発電の販売をされていますが、普及のために特に力を入れて取り組まれていることはありますか?
大鶴:

メーカーとして、一番大切なことはやはり技術開発ですが、販売にあたっては、四つの品質を大切にしています。ひとつは、製品品質の向上、二つ目はお客様に合った提案をする営業品質の向上、三つ目は施工品質の向上。施工に関しては、製品を売るだけではなく、きちんとした施工工事をセットにして、お客様に長く安心して使っていただきたいということですね。そして四つ目は、販売後のアフターサービスの向上です。

コジ:

太陽光発電は、品質が大事、施工が重要、そうかと思えば販売のトラブルが急増しているとの話もあり、各メーカーや販売店でも重要視する部分が違うことがありますが、そうではなくすべての要素を同じように重要視されているということですね。

大鶴:

そうです。ひとつひとつ、どれも欠けることなくトータルで品質を高めていきたいと考えています。

コジ:

これは私の感覚ですが、施工はもちろん大事ですが、「販売の品質」というのが実はとても大事だと思います。お客様の知識と、販売する側の知識にはやはり差があります。商品が世の中にでてからまだ短いので、きちんと説明しないとお客様の手元に商品がわたってから、考えていたことと違っていたということになってしまいますからね。

大鶴:

そうですね。今回の震災以降、太陽光発電の自立運転機能が注目されて、お問い合わせをとても多くいただきました。我々にとっては、太陽光発電は太陽の光があるから発電する、というのが当たり前のことですが、お客様の中には「夜は発電しないのか」「なぜ充電、蓄電できないのか」という疑問が当然のようにありました。自分が初めて太陽光発電のことを知った時の気持ちを忘れずに、お客様に正しくご理解いただけるよう丁寧に接することが大切だと感じました。

大鶴倫世さん&コジさん

コジ:
「太陽電池」という単語が、いわゆる「電池」を連想させてしまうのかもしれませんね。充電できるのか、夜も使えるのかというお問い合わせは予想以上に多いですよね。
大鶴:

将来的には蓄電が当たり前になっていくでしょうが、現状では蓄電装置にかかる何百万円というコストを、節約できた電気代で賄いきれないということもあり、今の時点ではお客様にはより安価にご提供できることを優先にしています。震災後は特に蓄電の需要が高まっているので、開発のスピードも上がってくことでしょう。

コジ:
大鶴様は、普段どのようなお仕事をされているのですか?また、仕事に対して気を付けていることや大切にしていることがありましたら教えてください。
大鶴:

業務としては、商品の拡販の為に、営業支援の構築、広告宣伝から販売促進を担当しております。具体的には、京セラの太陽光発電のウェブサイト、販売会社様向けの営業支援ウェブサイト、展示会の企画運営や、販促物の企画作成などを行ってます。

コジ:
ずいぶん幅広くお仕事されていらっしゃるのですね。大鶴様の立場は、間接的に販売に関わるとても大切なお仕事だと思います。太陽光発電という商品は知名度やイメージに左右されやすく、正しい情報や実際の発電効果などがあまり浸透していません。より多くの方に幅広く知ってもらうための活動である、「販売の支援」という仕事は実はとても重要だと私は思います。
コジさん
コジ:
「販売の支援」という仕事はとても重要だと私は思います。
大鶴:
「京セラ」の商品を多くの方に知ってもらいたいというのもそうですが、太陽光発電という商品に私が魅力を感じているということもありますね。太陽光発電は、環境や、人々の生活に貢献できるものと信じていて、これほど物があふれた今の世の中でも、キラリと光っている商品だと思っています。ですから、「太陽光発電」という商品もっと正しく知ってもらいたいです。
コジ:
これまでのお仕事で印象に残っていることがありましたら教えてください。
大鶴:
一年ほど前のことです。ある販売店様との合同イベントが某ショッピングモールで行われました。それまでは運営側の仕事が多く、販社様の営業現場に直に参加するということが出来ていなかったので、どうしても営業現場に立ちたくて、「雑用でもいいので」とお願いして無理言って参加させていただいたことがありました。お子さまの遊び相手などをしながら、営業の方の話を聞いたり、お客様と会話をして、現場に来ないと分からないことがたくさんあることに気がつきました。営業のプロというのは、お客様の知りたい情報を的確に、丁寧に、慎重に説明していて、そこにはちゃんとしたコミュニケーションが生まれていました。人と人とのつながりがあってこそ、分かっていただける商品であるということ、丁寧な説明こそが重要だ、ということがわかりました。
私たちがお客様により良い情報を伝える為には、現場の声を丁寧に拾い、改善し続けていかなければと、感じました。この経験以降、私の仕事に対する考えは大きく変わりました。営業現場の声をよく聞くことを最重要視し、より効果的な販促活動を行えるように日々改善を進めているところです。お客様により理解していただけるように、興味持っていただけるようにと、思っています。
大鶴倫世さん&コジさん
コジ:
我々販売店は、メーカーとお客様の間で商品を販売します。販売店とお客様との間にあがった話をメーカー側に知ってもらえるというのは非常にありがたいですね。販売店のマーケティングだけでなく、メーカーも一緒にマーケティングして改善していかないと、商品販売につながっていかないのではないでしょうか。
大鶴:
そうですね。また、施工の現場でも同じことが言えると思います。先日も実際に屋根に登らせて頂いて施工を見学してきたのですが、設置には数ミリ単位での計測、丁寧な調査が行われていました。屋根の上は、足場のスペースも少なく、風も強く高所で、とても怖かったです。そんな条件の中、きっちり丁寧に工事が進んでいって、どんどん太陽電池が設置されていく流れに驚きました。実際はなかなか見ることが出来ない、施工の場面もお客様に伝えたいとあらためて思いました。
コジ:
太陽光発電は屋根の上で行われているために、お客様は実際の施工の様子を確認できない場合がありますからね。最初の段階から、きちんと説明し、お客様が納得して安心して設置を決めるということが何より大切ですよね。
大鶴:

大鶴倫世さん
お客様にわかりやすく太陽光発電システムの商品の魅力をお伝えすることが私たちの仕事です。きちんと説明できることが、商品の価値を上げることにつながるのだと思います。私たちは、商品のことだけでなく、お客様の顔、営業の顔、施工担当の顔、いろんな場面の顔を想像して、その方々に喜んでいただけるような仕事をしていかなければならないと考えています。

コジ:
太陽電池は製品の品質もとても大切ですが、施工をし、備え付けられて初めてシステムとして運用できるという商品ですから、どんなに優れた製品であっても説明する側や施工する側がしっかりしていないと、システムとしての価値が下がってしまいます。メーカー、販売店、お客様、そして製品そのもの、すべてがバランス良く輪を描いてこそ、ひとつのシステムが完成するのかもしれませんね。結局は、お客様に喜んでいただける、それが一番のことですからね。
大鶴倫世さん&コジさん次回は大鶴様の信念や活動内容を具体的にお聞きしたいと思います。

<次回予告>
第5回:大鶴倫世さま編vol.2


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2011年06月24日(金)

コジさんエコロジスト対談/第4回:「ステップチェンジ株式会社」松村直輔さん編 vol2

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コジさんエコロジスト対談/第4回:「ステップチェンジ株式会社」松村直輔さん編vol2

今回は、地球と人とが共存する持続可能な「ライフスタイル」「価値観」「文化」を次世代の人々へつむいでいくことを理念として運営されている、ステップチェンジ株式会社の松村様をお迎えしての対談第二弾です。楽しみながらできるエコ活動の紹介、環境を軸にしたこれからの人と人との関わり方など、興味深いお話を伺うことができました。

コジ

環境に関して、人々が興味をもつポイントは無数にあると思うのですが、その一つひとつをどのようにして捉えていこうとお考えですか。

松村:

松村直輔さん
私たちは、まずはエコ関連の商品販売をスタートしました。
eco for you(エコフォーユー)というショッピングサイト(http://www.eco4u.jp/store/)を運営しており、自転車やエコ洗剤、エコバッグ、家庭用品など多数の商品を取り扱っています。 例えばエコ洗剤が選ばれる理由に、手荒れの軽減や赤ちゃんの肌のためという理由が多く挙げられます。エコ洗剤とは排水になって川に流れていっても、魚や他の生態系に悪影響を与えないような成分でできているものを指しています。肌に優しいという理由で選ばれたものが、水を汚さない、魚を殺さないという相乗効果があることを知ってもらうことも大切です。さらに水の大切さ、普段何気なく使っている水の量、水を運ぶためのエネルギーや、お湯を沸かすガスや電気のこと、そこから排出されるCO²のこと、というように連鎖的に興味を持ってもらうように促しています。1つの商品を売ることだけが目的ではなく、環境活動への啓蒙になるようにと考えています。

コジ
「エコチャレ」というサービスも、啓蒙活動の一環ですよね。
松村

エコチャレ
「エコチャレ」
そうですね。「エコチャレ」(http://www.ecoichi.com/)は、いかに楽しく省エネしてエコライフを実践できるかということをご紹介したネット上のコミュニティで、無料で体験することができます。いろいろな課題にチャレンジしてポイントを貯め、素敵なエコ商品をゲットするという、大人も子供も楽しめる内容になっています。例えば、環境家計簿をつけてCO²排出量を他のメンバーと比較したり、ランキング化して競争したりすることができます。また、「緑のカーテンを作ろう」や、「節電の方法を提案しよう」など、さまざまな課題にチャレンジし、体験談を送り、成功と認定されるとポイントを獲得できます。さらに、日常生活での「気づき」を与えるために、毎週メールマガジンを配信しています。水・ゴミ・エコライフ・環境など様々なテーマを盛り込み、少しでも多くの人を捉えるような工夫をしています。最近では原発のことにも言及し、多くの反響をいただきました。

ステップチェンジ株式会社 松村直輔さん
松村:
人と人とのつながりこそが、エコにつながるということです。
コジ
人によって、気づくポイントもモチベーションが上がるポイントも違いますから、様々な切り口での発信が求められますね。
松村

何より大切なのは楽しんで継続していくことです。「エアコンの設定温度を一度上げましょう」「水道はこまめに止めましょう」というように行為のみを啓発していても、一過的には効果があっても、継続しないことが多いのです。それよりも、例えば環境問題の映画を見ることを提案したり、本を紹介したり、または実際に水道は一分間でどれだけの水が流れるのか調べることを提案したり、トイレの洗浄の大小にどれほどの差があるのかを調べてもらったりと、関心を呼び起こし心に訴えることが継続への足がかりになると考えています。

コジ

興味を持って行動するか、言われたからその通りに行動するかでは、意識も全く違いますからね。ライフスタイルは人それぞれで、電気の使用量も違えば、車を持っているかいないか、水の使用量も家族の人数などで大きく異なります。「これをやりましょう」と方法だけを提示しても、まったく効果がない場合もあります。個人に合わせた方法を探って頂くというやり方はとても良いと思います。


「エコチャレ」では、ポイントを貯めるとどんな商品と交換できるのですか?


松村

エコバッグ、エコ洗剤、LEDライト、電力消費を計測できるワットチェッカー、ベランダ太陽光発電システム、生ごみ処理機、折りたたみ自転車などなど、ポイントに応じてさまざまなエコ製品をご用意しています。

折りたたみ自転車
折りたたみ自転車
ちなみに、この折りたたみ自転車は、メーカーと共同開発で進めたもので、自慢の一品です。車、電車、バスで移動している距離を、少しでも自転車でカバーすることができたらそれだけエネルギー消費を抑えられることになります。どうしたらもっと自転車に乗るだろうかと考えた結果、「軽い」「折りたためる」「アシスト付き」の3点に辿り着きました。この自転車は、アシスト付きでも12?しかありません。アシストなしバージョンは7?です。普通のアシスト付き自転車は23?ぐらいで、電池が無くなると、その自転車の重さで漕ぐのが容易ではありません。こちらは12?しかないので電池が切れてもスイスイ進めると非常に好評です。

コジ

自転車と車の使用頻度もそうですが、都市と地方の生活ではエネルギー消費にも大きな差があるのではないでしょうか。

松村

田舎に住んでいるからエコライフだというわけではありませんからね。地方では車を一人一台持っていたり、家が広かったり、それぞれの部屋にテレビやエアコンが完備されていたりと、一人あたりのエネルギー消費が多くなりがちです。マンションなどの集合住宅では、壁と壁が隣の家とつながっていますから、暖房効果が高いので冬場の暖房費も一軒家に比べて少なくて済みます。都市部では部屋数も少ない場合が多く、都市と地方では一軒当たりのエネルギー消費には大きな差があります。家族がそれぞれの部屋で過ごすのではなく、たまには皆で1つの部屋に集まり、一家団欒の時を過ごしてみるのもいいですよ、という提案をしてみたこともあります。

松村直輔さん&コジさん

コジ
都市部では家庭内消費は少なくても、生活にまつわる間接消費が多いと聞きますが。
松村

そうですね。例えばショッピングセンターで消費される電力や、食品などを運ぶ運輸、生活に関わるエネルギー全体を見ると都市部での消費は大きくなります。私たちは家庭だけでなく、コミュニティ全体としてエネルギー消費を考えなければなりません。今後の社会では、消費者が中心になって自分が使うものに責任を持っていくことが大切です。
  先日「エコチャレ」で出した課題の一つに、「過剰包装をやめよう」というものがあります。私がよく通うパン屋での話ですが、1つ1つ丁寧に袋に入れてくれ、さらに大きな袋に入れてくれていました。そこで、私は毎回「全部同じ袋に入れてください」と言い続けると、しだいに顔を覚えられ何も言わなくても1つの袋にまとめてくれるようになりました。そしてレジに「包装をお断りの方は、一声おかけください」と表示がでるようになりました。こんな風に、消費者が声を上げることによって、提供する側に変化を与えることもできるのです。いつかこれが、「包装をご希望の方は一声おかけください」までに変わる日がくるといいのですが。

コジ
そこまでには、まだまだ時間がかかりそうですが、行動することの大切さを感じますね。
松村

「スマートシティ」「スマートグリッド」など環境用語を耳にしますが、必要なのは一人ひとりが「スマートピープル」になることです。もっと、モノや資源、環境に対して感謝の気持ちを持ち、賢く選び、考え、行動する。そのような一人ひとりの心がきっと未来を変えていくのではないでしょうか。震災以来、原子力発電に「NO」と言える人が随分と増えましたが、例えば消費者が原子力で作られた電気と、太陽光などの自然エネルギーを含む原子力以外の方法で作られた電気を選択できるとしたらどうでしょう。原子力発電の電気は確かに安いかもしれない。けれども多くの弊害をもたらしたのも事実です。消費者が、原子力発電の電気を選ばなければ、原発は必要なくなるのです。消費者が選択することにより、本当のニーズに合わせたサービスや商品が提供される社会を目指すべきだと思います。

コジ
大口需要の法人などに対しては電力の選択ができるようになってはいますが、それが個人レベルで行われるという発想ですね。太陽光発電は、個人レベルで「自分で電気を作る」ことを実感でき、環境負荷も小さい。発電のプラントはたいがい色々とメンテナンスが必要で、しかもなんらかのリスクが伴うことが多い。しかし太陽光発電は音も振動も、煙もでない。そして、どれほど発電できてどれほど使っているのかをモニターで確認できるので、エネルギーに対する感覚が変わっていくように感じます。個人レベルで意識が変化する、これが最も大切なことです。太陽光で発電しているからといって、電気を使いたいだけ使っていいわけではありませんからね。「電気は皆の限られた共有財産である」という考えがそれぞれの人に芽生えていかない限り、何も変わっていかないのです。

松村

松村直輔さん
日本には、発電可能な資源がまだまだ眠っています。太陽熱発電、地熱発電、バイオマス発電、小水力発電など。中でも地熱発電は多くの可能性を秘めていますが、地熱利用できる場所が国定公園である場合が多く、開発が進みません。日本の地熱埋蔵量は世界3位です。埋蔵されているすべての地熱を利用すれば原発は必要なくなるとも言われています。発電時にCO²を排出せず、開発までに設備投資はかかるものの、維持費は安くて済むというメリットがあります。しかし現状は、国の制約や反対運動などに阻まれ、あまり普及していません。中東からエネルギー資源をわざわざ運んでくること自体に、ものすごいエネルギーが使われている現状。100台近くのタンカーが列を連ねて、石油を運んでいるのを想像してください。それより、身近にあるエネルギーをもっと有効に活用しようではありませんか。「日本には資源がない」というイメージができあがっていて、諦めているように思います。できることをすべてやってから、足りない分は海外から輸入するというのが、本来の姿です。太陽光発電も、すべての屋根にパネルが載っているわけではない。まだまだ国内で電気を作ることができるのです。

コジ
大きな転換を迫られていますね。
松村
日本人は、細やかなニーズに対応して商品開発をするのが得意です。例えば、リモコンスイッチを押す力で発電して電波を飛ばす、という技術があります。リモコンの電池がいらなくなるというエコな技術です。こんな風に、何かを動かすために使う力を利用して発電する技術が、もっと普及するといいですよね。フィットネスジムで、大汗かいてカロリー消費しながら、エアコンをつけている矛盾・・・。あの運動量で発電してエアコンに回すようなことも技術的には可能ですよね。
コジ
技術的には可能でも、設備投資に費用がかかり普及しないのが現実ではないでしょうか。残念ながら電気を買ってエアコンを回したほうが、経費がかからないということでしょう。
松村
電気料金が安すぎるのではないでしょうか。今の電気代には原料や発電コストは含まれていても、環境破壊を修復するためのコストが含まれていません。そういったコストを含めれば電気代は高くなるはずで、電気代が高ければ、太陽光発電へ初期投資をしても、月々の電気代を自分で賄っていけるので、割に合うようになります。企業も、自然エネルギーの開発に力を入れるようになるかもしれません。
  そもそも、石油や天然ガスを燃やして残るのはCO²、原子力で残るのは何十万年も有害物質を発し続ける廃棄物です。太陽光発電では何が残るか、それは次世代でも使える発電システムという「資産」です。将来を視野に入れて考えると、同じ電気でも価値が全く違ってきます。太陽光発電の設置に、自分たちの世代では何百万円というお金がかかるとしても、子供たちにそれを残すことができます。化石燃料は悪いものしか残しませんが、太陽光はクリーンなエネルギーを発電し続けてくれます。比べ物にならないほど価値のあるものなのです。
松村直輔さん&コジさん
コジ
震災以後、多くの人が電気の大切さに気がつきました。エネルギーに対する考え方に大きな変化が生まれたのは間違いありませんね。

最後に、読者にメッセージをお願いします。

松村

松村直輔さん
こちらのサイトをご覧になる方は、太陽光に関心がある方がほとんどだと思います。それだけでも素晴らしいことです。関心を持つということが、実は大きなハードルなのですから。「ともに、同じ志をもって、がんばりましょう!」と言いたいです。当社の企画「エコチャレ」(http://www.ecoichi.com)にもぜひご参加ください、楽しみながらエコを実践していきましょう。

太陽光、蓄電池など、今回の震災でさらに注目されていますが、一人でなんでもやろうとしても限界があります。そこで、コミュニティという考え方を思い出してほしいのです。誰かが作った電気を誰かが使う、という考え方にシフトしていただきたいですね。
洗濯機や掃除機をコミュニティで共有することも考えられると思います。一日でほんのわずかな時間しか使わないものは、共有できる可能性がありますね。

コジ
カーシェアリングも広まっていますしね。
松村
年々、人口は減っているのに世帯数は増え、そしてエネルギー消費量も増えています。これはつまり単純に部屋数が増えて、一人きりで過ごす人が増えているということなのです。エアコンの設定温度を一度上げることより、誰かと一緒にすごして一人で使う電気を減らすことのほうが、ずっとエコです。
コジ
環境に無関係と思えることでも、実は深いところでつながっているということでしょうか。私が活動している渋谷で花を育てる活動「シブハナ」も、実は都市生活者のコミュニティをどう作るかということを大事に考えています。
コジさん
コジ:
エコと絆。まさに今求められているテーマですね。
松村
人と人とのつながりこそが、エコにつながるということです。一人きりでいるよりも、誰かと何かを共有する。そこにあたたかな絆が生まれます。考え方の転換で、もっとエコで、もっと温かみのあるライフスタイルを提案していきたいですね。家族、地域、さらにそれ以外のコミュニティとつながっていくことがとても大切です。
コジ
エコと絆。まさに今求められているテーマですね。独自の切り口で、ライフスタイルの転換を訴える、とても興味深いお話でした。どうもありがとうございました。
松村直輔さん&コジさん

<次回予告>
次回から、「夏の節電対策に向けたアイディアコラム」をお届けいたします。
ご期待ください。

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2011年05月27日(金)

コジさんエコロジスト対談/第4回:「ステップチェンジ株式会社」松村直輔さん編

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コジさんエコロジスト対談/第4回:「ステップチェンジ株式会社」松村直輔さん編

今回は、地球と人とが共存する持続可能な「ライフスタイル」「価値観」「文化」を次世代の人々へつむいでいくことを理念として運営されている、ステップチェンジ株式会社の松村様をお迎えしました。
「ライフスタイル革命」とは?「エコチャレンジ」とは? 楽しんでできる生活に密着したエコライフの提案が、注目を集めています。

ステップチェンジ株式会社 松村さん
松村:
「ステップチェンジ」とは、地球環境危機に対して 大きな変革を引き起こすという熱い想いから付けられた社名なんです。
【松村直輔さんプロフィール】
エコライフにみんなで挑戦するコミュニティサイト「エコチャレ」 エネルギープラントのエンジニアリング会社に約2年在籍後、システムエンジニアとして活躍。エンジニアリング会社で出会った現代表とエネルギー問題や環境問題、ライフスタイルの改善について取り組むため、2007年5月に「ステップチェンジ(株)」を設立。 「都市型エコビレッジ」の提案活動を中心に省エネへの啓蒙の一環として、エコライフにみんなで挑戦するコミュニティサイト「エコチャレ」やエコ商材のECサイト「eco for you」を企画・運営している。
コジ
はじめに、松村様のこれまでの活動や経歴を教えていただけますか?
松村

大学は工学部出身で、卒業後はエネルギープラントのエンジニアリング会社に入社しました。エネルギープラントとは、主に中東などで採掘した石油や天然ガスなどのエネルギー資源を精製、液体化などをする工場のことです。我々が日常的に使っている石油やガスは、このエネルギープラントで加工されたものが運ばれてきたものです。この会社に在籍中に、当社代表の奥澤と出会いました。ここで2年ほど勤め、その後システムエンジニアに転向し6?7年を過ごしました。このころから、奥澤とエネルギー問題や環境問題、ライフスタイルの改善などを話し合う勉強会を定期的に開催しており、その流れからステップチェンジ株式会社を創業したという経緯です。

コジ
エネルギー問題や環境問題に興味をもたれたきっかけは、前職からということでしょうか。
松村

そうですね。エネルギープラントは、大量消費を支えるエネルギーを安定的かつ効率的に生み出すことに重点が置かれています。プラント自身にも電気や熱エネルギーが必要ですが、それはエネルギーを生み出す過程で出された熱などを再利用しています。無駄をそぎ落として設計され、資源を効率よく使うことを追求して作られています。主に砂漠の真ん中に工場を建てるので、水資源も貴重です。海水から水を作り出し、循環させエネルギー消費を極力少なくする仕組みを利用しています。日本に届くエネルギー資源は、考え抜かれ努力に努力を重ねて、届いたものなのです。

コジ
毎日使うエネルギーは、大変な苦労の上に成り立っているのですね。
松村

日本のエネルギー自給率は4%しかありません。国内での発電においては、発電効率はおよそ40%と言われており、60%は熱として放出され再利用されていません。電気が各家庭に行きわたってからも、大切に使われているとは言えませんでした。今でこそ皆が節電を意識するようになりましたが、電気のつけっぱなしや、エアコンの設定など、それほど気にせず使いたいだけ電気を使っていたと言ってもいいでしょう。


松村さん&コジさん

ガソリンに関しても同じことが言えます。60?80?程度の人間一人を動かすのに1トン近い車を動かさなければならない。考えてみれば大きな無駄です。たった4%しかないエネルギー自給率の日本で、湯水のようにエネルギーが消費される、そして多くの人がそのことに無関心であることに私は危機感を感じるようになりました。しかし、当時は私も供給側で仕事をしている時には、エネルギーの大切さを感じながら仕事をしているのに、消費側に回った途端に関心が薄れてしまっていました。

コジ

放出熱を再利用するしくみは、家庭用の潜熱回収型ガス給湯器などにも利用されていますよね。エネルギープラントの廃熱利用の仕組みをもっと活用できる可能性がありそうですね。

松村

そうなんです。エネルギープラントというのは、熱、資源、電気を効率よく使う全体最適を追求したプロセスを構築していました。それだけで自立できる循環システム、社会が存在しているようなものなのです。このシステムを日本で利用したら、とても効率のいい社会ができるのではないかと考えました。この仕組みを活かし住宅から、町、国、すべてのエネルギーの概念を改革していきたいと考えています。

コジ

壮大な計画ですね。まさに「ステップチェンジ」という社名にぴったりですね。

松村

「ステップチェンジ」とはプラントなど化学系の用語で、状況が不連続な方法で変化する時、その一定のポイントで変化が起きる状況のことを言います。我々の生活は、戦後からある一定の成長を遂げて現在に至りますが、そろそろ社会の仕組みを大きく変えなければならない転換点がやってきていると思います。これまでのエネルギーが、石油や天然ガスやウランなどから、太陽やその他の自然エネルギーへ変わっていく可能性もあります。地球環境危機に対して大きな変革を引き起こすという熱い想いから付けられた社名なんです。

コジさん
コジ:
太陽光発電も認知が低いころは、理解してもらうために高い壁がいくつもありましたね。
コジ
想いの詰まった社名なのですね。その「変革」のために具体的にどんなビジネス、どんなサービスを行っているのですか。
松村

壮大なビジョンを具体的にどうモデル化していくか、ということですが、一言で言うと「新しい街づくり」ですね。「エコビレッジ」という言葉を耳にしたことがあるかと思いますが、巷で言われている「エコビレッジ」とは田舎で自給自足などをして暮らせる村のようなものですが、我々はそれを都市で実現する「都市型エコビレッジ」というものを提案しています。都市部と農村部では、エネルギー消費の量も違えば、人口も違う。やはり都市部を改革することが、全体の改革へつながると考えています。これまでの「便利さ」「快適さ」は維持しながら多くの人が憧れるような都市型ライフスタイルをエコにしようと提案しています。自然エネルギーを積極的に取り入れ、地産地消のエネルギーを使い、自給自足型の消費生活にし、出来る限りのリサイクルをしたり、必要なものを自分たちで作って自分たちで使う「プロシューマー」という考え方を取り入れたいと考えています。このような価値観を共有できる人たちがあつまり、「環境共生コミュニティ」を築いていき、それを広めていきたいのです。

エコビレッジ
都市型エコビレッジ
この取り組みには、「ハード」「ソフト」の両方からの視点が必要です。「ハード」とは、実際にそのコミュニティでは、どのようなエネルギーを使用して、どのような建物を建てるかということなどの、街建設に関する具体的な事柄を指します。そして「ソフト」は、そこで暮らす人々の「心」、モチベーションや活動意欲のことを指します。どんなに環境に優れた建物や街に暮らしていても、そこで暮らす人々の意識が同じ方向を向いていなかったら、その街は「エコビレッジ」とは言えないのです。自然エネルギーだからといって、電気を無駄に使っていいのではありませんよね。限りある資源、限られたエネルギーを皆で分け合いながら効率よく使っていこうという気持ちが大切になります。そのメンタルの部分に訴えていくことを、私たちは「コミュニティデザイン」と呼んでいますが、実はこの「心に訴える」ということこそが一番難しく、そのハードルを越えるのはなかなか大変です。

コジ
太陽光発電も認知が低いころは、理解してもらうために高い壁がいくつもありましたね。省エネや節電に興味のない人に、実行していただくのは難しいですからね。松村さん自身はどうですか?エコライフを実行されていますか?
松村

実は、私はこの取り組みが始まる前まではまったく興味がありませんでした。電気、ガス、水道の使用料は安いとは言えませんが、暮らしをひどく切迫させるほどではなく、毎月ほぼ決まった金額が引き落とされていくというような感覚しか感じていませんでした。ゴミに関してもそうです。玄関先の集積所から、いつの間にか最終地点まで運ばれて、どれほどのゴミが毎日捨てられているのかも知らずに、ゴミ問題を感じることさえなく日常を送っていました。このかつての私のような人が、日本にはまだたくさんいるのが現実でしょう。こんなことでは、人の心を動かすことなどできませんよね。私たちは、まずは自分自身の生活を見直すことから始めました。その取り組みとして毎月の電気代やガス代などの料金を社長と二人で付き合わせることをやってみました。他人と比べて初めて気がつくことが沢山ありました。自分がこんなに使っていたのか、どうしてこれしか使わずに過ごせるのかと、課題が見えるようになりました。

コジ
料金だけではどれほどの電気を何に使ったか分かりませんが、どのような改善策を立てたのですか。

松村

消費電力を調べられる「エコワット」「ワットチェッカー」などの機器を調達して、1つ1つ調べました。

エコワットで消費電力を調べる様子
エコワットで消費電力を調べる様子

電灯、テレビ、携帯の充電器、家中の電化製品すべてを計測して表にしました。そしてその1つ1つに対して、節電方法を考えていったのです。例えば、電灯なら電球型蛍光灯に変えるなどです。当時はLED電球はとても高価でしたが、今ならLEDですね。

コジ
待機電力の問題はどう解決されましたか?
松村
自分でも使う気がないのに、少しずつ消費をし続けるのが待機電力です。この対策には節電タップが役立ちました。使わないときにはタップのスイッチを消す。うっかり消し忘れていても、タップのスイッチが点灯しているので、消し忘れに効果がありました。 こんな風に、地道な努力を重ねて毎月の付き合わせに臨むというわけです。毎月毎月の省エネ対決で、ついに私は開始時の約半分の使用量にまで抑えることに成功しました。
コジ
半分ですか!? それはすごいですね。
松村
省エネについては、二酸化炭素を減らす国民プロジェクト、「チャレンジ25」や、今年の夏は電力消費を25%削減しようというような目標が掲げられていますが、私は実際に5割削減に成功していますから、できないことはないと思います。今、何の努力もしていない人たちには「気づく」ことによって大幅な削減ができる可能性が残されていると思います。大切なのは、「きっかけ」と「やり方」です。楽しくやるというのが最も大事で、楽しくないことは誰も続けられませんからね。
コジ
「省エネを楽しむきっかけ」はどうやって広げていったらいいのでしょう。
松村
「きっかけ」というのは、人それぞれなんですね。私は「エネルギー」という観点から入りましたが、「太陽光発電」の人もいれば「ゴミ問題」の人もいる。環境という概念は広い。「節水」「自転車」「山登り」など、それぞれのポイントをとらえて、どうやって啓蒙プロセスに乗せていくかというのが、我々の課題です。ほんの少しの関心事から始まって、次第にエコ活動を実践し、最終的には「都市型エコビレッジ」で提唱するエコライフスタイルに移行していただきたいというのが私達の願いであり、目標です。
コジ
壮大な「エコビレッジ」コミュニティ構築のお話から、具体的ですぐにでも実践できることまで、非常にお興味深いお話をありがとうございました。
松村直樹さん&コジさん次回は、ステップチェンジ様の省エネへの啓蒙活動について、詳しく伺っていきます。次回もお楽しみに。

<次回予告>
第4回:松村直輔さんvoL2「省エネへの啓蒙活動」について

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2011年04月27日(水)

エコロジスト対談/第3回:「横浜みどりアップ計画市民推進会議」 伊藤博隆さん編voL2

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コジさんエコロジスト対談/第3回:「横浜みどりアップ計画市民推進会議」伊藤博隆さん編

今回、「横浜みどりアップ計画市民推進会議」メンバーの伊藤博隆(いとうひろたか)さんをお迎えしての対談第2弾です。課題や、広報のアイデアなどこれからの活動への抱負を伺いました。

「横浜みどりアップ計画市民推進会議」伊藤博隆さん
伊藤:
子供の頃に自然が多く関わっていることが、幼少期の思い出を豊かなものにしてくれるように思いますので、今の子供たちにもたくさん緑に触れる機会をあげたいですね。
コジ
前回「横浜みどりアップ計画市民推進会議」についてお話を伺いましたが、活動内容を簡単にお話しいただけますか?
伊藤

横浜みどりアップ計画は、「樹林地を守る」「農地を守る」「緑をつくる」の3つの柱からなり、緑豊かな横浜を守っていこうという取り組みです。

平成21年から横浜市が実施している「みどり税」を活用し、樹林地や農地の所有者による緑地の保有を支援したり、相続等でやむを得ない場合は買い取りをしたり、市街地の緑地化を進めています。私は、公募市民という形で参加し、里山保全や緑を守る活動の仕組みを提案しています。

コジ
「横浜みどりアップ計画市民推進会議」での活動の課題や気付きがあれば教えてください。
伊藤
横浜で多くみられる雑木林
横浜で多くみられる雑木林(撮影:伊藤さん)

横浜の緑の多くが民有地なので、それを将来に渡りどう保全していくかが難しいところです。

「みどり税」を有効かつ効果的に使い、多くの人に認知してもらうように活動することが大切です。PRはしなければなりませんが、広報に税収を使いすぎては本末転倒ですからね。「みどり税」で集めたお金は、民有地の買い上げや緑を増やす活動に充てていくのが望ましい と思います。そうなると、広報活動をどう進めていくかが重要になります。

私のような環境関連の団体に所属している人間の意見だけでは、どうしても偏ったものの見方になってしまいがちです。そこで、コジさんにも お伺いしたいのですが、どんなPRが効果的だと思いますか?

コジ
そうですね・・・。例えば、家族向けイベントなどを開催してみてはどうでしょうか。子供を主体とした自然に親しむ活動などは、ニーズがあるのではないでしょうか?
伊藤

なるほど!いいですね。

近所のキャベツ畑
近所のキャベツ畑(撮影:伊藤さん)
都市生活が長くなればなるほど、人間は緑を求めるのだそうです。都市部には緑があると言っても、立ち入ることができない場所であったり、観賞用の緑であったり、親しむことができない場所が多く、都会で暮らす子供たちはどうしても緑とのふれあいが少なくなってしまいます。

私の経験から、やはり子供の頃に自然が多く関わっていることが、幼少期の思い出を豊かなものにしてくれるように思いますので、今の子供たちにもたくさん緑に触れる機会をあげたいですね。

特別な活動でなくても、緑のある空間を感じてもらうだけでもかまわないと思います。雑木林や畑、野山を歩き、食べ物がどうやってできているのか、水はどこからくるのか実際に体験でき、気軽に緑にとけこめるようなきっかけを作ることができるといいですね。

コジ
しかし、イベントや活動があっても、それを知ることができない人も多いかもしれませんね。
伊藤さん&コジさん
伊藤

広報誌やホームページなどで告知するだけでは、参加者の層に限界があるように思います。環境に興味のある方は目につくでしょうが、多くの方はその情報を知らずに通り過ぎてしまう方がほとんどというのが現状です。

例えば子供向けイベントなどでしたら、保育園や子育て関連施設などに情報を提示したり、保育園や幼稚園の外遊びイベントに組み込んでもらうなどの方法も考えられるかもしれません。
ニーズを探り、もっとアクセスしやすくするようにしていきたいですね。


コジさん
コジ:
環境活動への参加はどうしても敷居が高くなりがちで、興味があってもなかなか参加にいたらない場合が少なくありません。そういう人たちにもっと気軽に一歩を踏み出してもらいたいですよね。
コジ

どう告知し、広く人を集めていくかということが重要な課題のようですね。

イベント参加は、多様な人たちとの新たな出会いの場にもなります。活動に付加価値をつけて、カジュアルな視点から人を募集してみてもいいかもしれませんね。環境活動への参加はどうしても敷居が高くなりがちで、興味があってもなかなか参加にいたらない場合が少なくありません。
そういう人たちにももっと気軽に一歩を踏み出してもらいたいですよね。

伊藤

視点を変えて、様々な切り口でイベントを開催するのはおもしろいかもしれませんね。

横浜で多くみられる雑木林
横浜で多くみられる雑木林(撮影:伊藤さん)

以前、雑木林での笹刈りをある企業の研修活動で行ったことがありました。笹刈りはそれほど難しい作業ではありませんが、丁寧にやるとかなりの運動量になり、いいエクササイズになります。参加した男性陣は、山での作業に、まるで「男の本能」が呼び起こされたかのように熱中し、汗だくになって作業していましたね。終了後には、皆さんすがすがしい汗と疲れで気分爽快のようでした。

この一例からだけでも、切り口は「里山保全の笹刈り」「自然の中でエクササイズ」「山男体験でいい汗を流す」などいくらでも見つかりそうですね。

コジ
職場の交流や親睦の行事にも、自然観察や里山保全の活動は活用できそうですね。
伊藤
放っておくと大変
放っておくと大変(撮影:伊藤さん)

里山での活動は、都心から離れた場所で行われることが多く、移動に数時間かかってしまうこともあります。早朝から移動し、夜遅く帰るような活動だと、移動だけでも疲れてしまい参加者の負担が重くなり、継続参加が難しくなってしまいます。その点、横浜での活動は都心からもそう遠くなく、市内に居住の方でしたら自転車でも現地に行くことができるので、気軽に参加できます。

そういった面からも、もっと多くの人を巻き込めるといいですね。

コジ
最後に、これから地域の環境活動に参加したいと考えている方へ、アドバイスをお願いします。
伊藤

伊藤さん&コジさん 環境活動と言っても様々なものがありますが、初めて参加されるのであれば、まずはご自身の住む地域の活動を探してみるのがいいでしょう。
そうすることで、自分が住む町のことをより深く知ることができますし、普段の生活では気がつかない一面を発見できるかもしれません。

地域のコミュニティに参加すると、おのずと顔見知りが増えて、例えばその土地の昔の話を聞くことができたり、その土地ならではの情報を知ることができたりと、それだけでも生活が豊かなものになるのではないでしょうか。

そういったきっかけを探したい方は、ぜひ「地球環境パートナーシッププラザ(GEOC)」へお越しください。都心での道路の花植えや、郊外での里山保全、河川や浜辺のクリーンアップなど、気軽に参加できて楽しめる活動をご紹介できると思いますよ。

コジ
環境活動とあまり気負わずに、気軽に一歩を踏み出してみることが大切なんですね。
自然の中での活動は、風や緑を感じるだけでも気持ちのいいものです。忙しい毎日にちょっと疲れたときも、いいリフレッシュになるかもしれませんね。
伊藤博隆さん&コジさん

<第3回対談・編集後記>
伊藤様には二回にわたり、「横浜みどりアップ計画市民推進会議」の活動を通した、環境活動についてのお話をお聞きしました。 地域の里山の自然や緑を生かした活動の出会いやエピソードなど、今回も非常に意義のある対談となりました。

<次回予告>
エコロジスト対談第4回
ステップチェンジ株式会社 松村直輔さん
コミュニティサイト「エコチャレ」について

次回をこうご期待!

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2011年02月25日(金)

エコロジスト対談/第3回:「横浜みどりアップ計画市民推進会議」 伊藤博隆さん編voL1

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コジさんエコロジスト対談/第3回:「横浜みどりアップ計画市民推進会議」伊藤博隆さん編

エコロジスト対談第3弾は、伊藤博隆(いとうひろたか)さんです。地元横浜での「横浜みどりアップ計画市民推進会議」へ参加し、取り組みの評価や提案に携わるほか、里山保全の活動を行う環境のエキスパートです。
今回は、伊藤さんのこれまでの環境活動についてと、現在力を入れている緑の保全活動についてお話を伺います。

「横浜みどりアップ計画市民推進会議」伊藤博隆さん
伊藤:
地域の活動の場合、反響をリアルに感じることができます。
その分大変さもありますがやりがいも大きいですね。
【伊藤博隆さんプロフィール】
横浜みどりアップ計画市民推進会議 ふるさと横浜で、里山保全などに関わり、2009年より「横浜みどりアップ計画市民推進会議」に公募市民として参加。
仕事では、東京・青山にある「地球環境パートナーシッププラザ(GEOC)」に勤務し、NPO・企業・行政などのつなぎ役として活動。「人とみどりの共存」をメインテーマに活動する環境スペシャリスト。
コジ
伊藤さんが環境活動に興味をもたれたきっかけは何ですか?
伊藤

私は横浜で生まれ育ったのですが、幼いころは家の近所の野山をかけ登ったり虫採りをしたりと、自然の中で走り回って育ちました。
それがある日、宅地開発が始まり、田畑や森が駐車場になり、宅地になり、木がどんどん切り倒されていきました。 近所の森が失われていく様子をまざまざと見せつけられ、子供ながらに「何とかしたい!」と強く思ったのが原点だと思います。
ですから、私の場合環境活動と一口に言っても、そうした身近な自然に関することに一番関心があります。

仕事は、環境省と国連大学が設置する地球環境パートナーシッププラザに民間スタッフとして勤務し、様々な環境活動において、企業や団体などが連携協力するお手伝いをしています。環境分野の情報提供、セミナー開催などが主な仕事です。

コジ
幼いころの里山での思い出が、現在の環境保全の活動に結び付いているのですね。
横浜と聞くと都会的なイメージですが、都心部から少し離れると今でも自然が残っているところがあります。それでも、昔と比べるとずいぶん少なくなったのでしょうね。
伊藤

土地が緑に覆われている割合を示したものを"緑被率"といいますが、横浜では、昭和45年頃は緑被率50%程度でした。それが、去年(平成22年)では30%を切ってしまいました。

ゴミ拾いの様子
カーリットの森(撮影:伊藤さん)

市の中心から離れたところには随分自然が残っていたのですが、人口増加に伴い、宅地開発が進んだ結果です。
横浜というと港町のイメージかもしれませんが、市のほとんどは住宅地でバブル崩壊以降も開発が続いているのが現状です。

とは言っても、多くの人が森を切り開いた宅地に住みながら、同時に緑を大切にしたいとも思っている、そんな矛盾を抱えている住人が多く、私もその一人です。
だからこそ、せめて今の緑被率30%という数字はなんとしても守りたいと思っています。

横浜は、都会でありながら緑豊かな町で、それが大きな魅力になっています。そんな横浜を愛すればこそ、緑が失われていくのは残念ですからね。

コジ
伊藤さんはこれまで様々な環境活動に参加されてきたと思いますが、その中で印象的だったことはどんなことですか?
伊藤

自分にとって身近な活動に、ゲンジボタルの保全活動があります。
ゲンジボタルというのは、本当に水がきれいな所にしか住めません。そこは私の家からほんの少し離れた場所で、横浜駅から直線距離にして5キロくらいの場所なのですが、野生のゲンジボタルが生息しています。放流している場所はよくありますが、野生のゲンジボタルがいるという場所は、とても貴重なんです。

里山を守る活動に参加する皆さん
毎年6月には、野生のゲンジボタルも舞う
(撮影:伊藤さん)

しかし保全活動と言っても、横浜の場合ほとんどの土地が民有地(私有地)であるため、保全を訴える側が「木を切らないでほしい」とか、「自然を残してほしい」とか主張してもなかなか難しいのが現状です。地主の方が土地を売却してしまうこともあり、そのたびに買い上げて保護するということは、現実的には不可能です。環境保全活動の難しさは、やりたいこととやれることのギャップが大きいことにあると言えます。

幸いなことに、このゲンジボタルの生息地にの周辺に関しては、一部が公園になることが決まり、自然もある程度は保護されることになりました。しかし、都市部の開発の圧力が強い場所での自然保全活動は難しいと言えます。
森や屋敷林と呼ばれるものは個人の持ちものであっても、公的な側面も持ち合わせていますから、積極的に活動し緑の保全に尽力したいと思っています。

コジ

人口が多ければそれだけ様々な価値観がありますから、活動も易しいものではないことでしょう。

ところで、伊藤さんは各地で取材もされているようですが、印象に残っていることはありますか?

伊藤

これまで仕事などでも様々な活動の方と交流がありますが、私の場合は、やはり地域の環境活動に共感することが多いです。対象がグローバル規模だと、自分の行動が結果に結びついた実感を得にくいものですが、地域の活動の場合、反響をリアルに感じることができます。その分大変さもありますが、やりがいも大きいと思います。

伊藤さん&コジさん

5年ほど前に、山口県周南市八代地区で「ナベヅル」の保全を行う方々を取材したことは、今でも心に残っています。「ナベヅル」は、越冬のため飛来しますが、日本では山口県周南市と鹿児島県出水市にのみ定期的に渡ってきます。

そもそもツルは、江戸時代は幕府により保護されていましたが、明治以降に乱獲された時期がありました。そのせいでずいぶんと数が減ってしまい、今では「ナベヅル」は国の特別天然記念物になっています。

この八代地区では、“ツルと共生する町”というスローガンのもと、ツルが飛来するための自然保護に力をいれています。
冬の間、ツルの餌となるドジョウなどが生息できるように田んぼに水を張ったり、ツルは警戒心が強いのでレンジャーの方が人が近づかないようにしたりしています。

地元の方々の活動のかいあって、本州では唯一の飛来地になっていましたが、それでも年々飛来数が減っています。実はツルなどの渡り鳥は、こちら側の環境を整えるだけではだめで、シベリアなどの飛んでいく先の環境も重要になってきます。

ツルの問題だけ見ても、環境問題を国際的な視野で見ることの大切さを思い知らされます。

コジさん
コジ:
幼いころの里山での思い出が、現在の環境保全の活動に結び付いているのですね。
コジ

ツルなどの渡り鳥では、ひとつの地域だけでは保護しきれない部分がありますからね。自然保護活動が地域住民によって行われているところは、実は日本全国にあるのですね。各地の環境活動経験が、地元での活動に役立つことも多いのではないでしょうか。

では、伊藤さんが今現在されている環境活動についてお聞かせください。

伊藤

現在は「横浜みどりアップ計画市民推進会議」に公募市民という形で参加しています。
横浜みどりアップ計画は、「樹林地を守る」「農地を守る」「緑をつくる」の3つの分野からなり、緑豊かな横浜を守っていこうという取り組みです。

横浜では平成21年から「みどり税」を実施し個人市民税に年間900円を上乗せ(法人市民税の場合は資本金や従業員数で金額が異なります。)する形で特別な税金を集めて緑の保全に取り組んでいます。
この税収をもとに、樹林地や農地の所有者による緑地の保有を支援したり、相続等やむを得ない場合は買取をしたり、市街地の緑地化を進めています。

コジ
横浜みどりアップ計画では、どのようなPR活動をしていますか?
伊藤
伊藤さん&コジさん

具体的には、広報誌でPRしたり、関連イベントの際はロゴを掲出したり、中には市民税通知の封筒にもPRというのもあります。税金という形で市民からお金を徴収しているので、説明責任を果たさなければなりません。
活動内容や今後の活動指針など、オープンに分かりやすく説明するように心がけています。

「みどり税」は5年間の限定期間実施される税金です。市民は、成果を期待していますから目に見える形にし、分かりやすく成果を伝えていくことが重要だと考えます。

コジ
伊藤さんが今後行っていきたい活動はどんなことですか?
伊藤

1つは、里山を守る活動です。里山と聞くと限界集落などを思い浮かべ、敷居が高いように感じてしまう方もいますが、横浜の場合は、実は宅地からそう遠くない場所に森や農地があります。

自転車でも移動可能な距離であっても、そういう場所に行ったことすらない人たちがほとんどです。 もっと気軽に自然に触れ、土に親しむような活動を提案し、仕組みを作っていきたいですね。

里山を守る活動に参加する皆さん
里山を守る活動の作業の合間に一休み
(撮影:伊藤さん)

もう1つは、農地を守る活動です。日本中の農家が抱える問題に高齢化と後継者不足があります。 悩みを抱える農家に、市民参加で補うことはできないかと提案しています。

横浜には370万人も人口がいます。ボランティアの活動も活発ではありますが、もっと多くの様々な人たちの参加を促していけば、まだまだ参加人口が増える可能性を秘めていると期待しています。

コジ
私も渋谷で花を植える活動(シブハナ)をやっていますが、わざわざ渋谷まで来て花を植えていってくれる人もいるわけですから、人口が370万人もいる横浜なら、参加のニーズも期待できますね。
伊藤
横浜の場合は、住んでいる場所と活動場所が近いという利点もあり、渋谷よりもさらに参加しやすいのではないかと思います。
多くの市民に活動を広めていくことが、私の使命ですね。
伊藤博隆さん&コジさん

次回は「横浜みどりアップ計画市民推進会議」の活動内容を具体的にお聞きしたいと思います。

<次回予告>
第3回:伊藤博隆さん編voL2
横浜みどりアップ計画市民推進会議の活動について」

次回をこうご期待!

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2011年01月28日(金)

エコロジスト対談/第2回:「荒川クリーンエイド」事務局長 糸岡栄博さん編voL2

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コジさんエコロジスト対談/第2回:「荒川クリーンエイド」事務局長 糸岡栄博さん編

今回は、荒川のゴミ拾い・ゴミ調査を中心とした様々な活動を行い、川の自然や川から見えてくる環境問題を考えて市民の環境保全への意識の向上を目指す「荒川クリーンエイド」事務局長・糸岡栄博さんをお招きしての対談第2弾です。今回は、活動のやりがいや楽しさ、活動の喜びなど、これから参加を考える方にも興味深いお話が聞けました。

「荒川クリーンエイド」事務局長 糸岡栄博さん
糸岡:
「ゴミ拾い」というまじめな活動に「自然観察教室」というイベントをプラスすることによって、「使命感」と「楽しさ」の天秤が釣り合うのではないかと思います。
コジ
数ある環境保護活動の中でも、「荒川のゴミを拾う活動」を選んだ訳はなぜですか?
糸岡

荒川クリーンエイドの活動は単なるゴミ拾いではなく、環境意識啓発活動であることを追求して行っています。知れば知るほどその質の深さに共鳴しました。それから、団体を引っ張る人間がいるからです。

今の代表理事の佐藤は、いい意味で人を巻きこんでどんどん夢中にさせてしまうカリスマ性を持っているんですね。僕もその「夢中にさせられた一人」というわけです。やりがいと楽しさを伝えてくれる人間がいて、年間参加者1万人を超えるほどの参加者の増加につながっているのではないでしょうか。

コジ
単に報酬だけでなく、やはり関わる人たちの魅力で引っ張っていく、ということも必要ですからね。
糸岡

こういった活動には「楽しさ」と「使命感」があります。天秤に例えると、この二つのバランスが非常に大切だと思います。「使命感」において言えば、私は幼いころから環境問題を意識していたこともあり、強い使命感がありました。

ゴミ拾いの様子
ゴミ拾いの様子

以前は一般企業で働いていましたが、その業務内容にNPO以上の使命感を持てなかったというのが正直なところです。当時は危機管理にかかわる仕事に携わっていましたが、その危機管理というのは、危機が発生して初めて備えが効力を発揮し、社会に貢献できるというものでした。大規模地震や新型インフルエンザなど、過剰反応してしまい不安を煽ってはいないだろうかと、疑問を抱くこともありました。

荒川クリーンエイドに参加してみて、今まさに失われていく自然を目の当たりにし、この自然を守らなければという現実を突きつけられ、この活動にさらに使命感をもつようになりましたね。

そして、もう1つの天秤「楽しさ」ですが、私の場合、たくさんの人たちとの出会いが大きな喜びにつながっていますね。この活動を通して、子ども、学生、年配の方々、大企業から中小企業の団体など、幅広い層の人たちと触れ合い、話し合うことができます。これは、前職では知り合うことができない方々です。この楽しさが充実感になっています。

糸岡さん&コジさん
コジ

同感ですね。仕事には大変なことが多々あるものですが、やはり人の役に立ちたいという思いがなければできないこともありますよね。

ところで、糸岡さんはサラリーマンからNPOに飛び込んでいかれましたが、その中で少なからず摩擦もあったのではないですか?

糸岡

様々な人がいるので、考え方が違うのは当然のことです。ビジネスライクな要素を持ち込むことを嫌がる人もいるかもしれませんが、私は団体そのものが経済的に自立することがとても大切なことだと思っています。長く持続させていくためには、安定した経済基盤の整備が必要で、継続的な活動を通じてはじめて存在意義が浸透していくからです。

ボランティアで支援する部分と、事業として成立させる部分、そのどちらも必要でメリハリが重要なんですね。

コジ
荒川クリーンエイド様では、地域の皆様との活動を大切にされていますが、参加メンバーの募集はどのように行っているのでしょうか?また、どんな方がいらっしゃるのでしょうか?
糸岡
駅置きラック
駅置きラック

当初は国からの広報予算があったんですが、現在は自分たちで予算確保しなければならなくなっているので、助成金を取ったり、企業や団体のサポート料などから得られた利益分などから広報物を作成する費用に充てています。

その内容としては、活動内容のわかる資料やポスター、リーフレットなどを荒川沿線の駅に掲示したり、参加者リーダーに配り、町内会やその他のネットワークに普及するように働き掛けたりしています。これは、駅のリーフレットを置いているラックの写真です。

コジ
メンバー、参加者ともにそれぞれ分担し、主体性を持って広報活動しているんですね。
糸岡

それから、ホームページをリニューアルしてからは、ネットを通じて問い合わせが増えています。初めて問い合わせてくださった方には、丁寧に分かりやすくPRして参加拡大を図っています。丁寧に説明しないと、ただのゴミ拾い活動としか思ってもらえない場合があるので、この活動にどんな意味があるのかをきちんと説明させていただいています。

一度きちんと趣旨を理解してもらうと、リピーターになってくれる人がとても多いのも私たちの活動の特徴ではないかと思います。参加者自らが、目的を持ち、活動を広めてくれるような内容の取り組みを実施することも大切だと考えます。

ペットボトルのゴミ
ペットボトルのゴミ

最近始めた活動の1つに、ペットボトルゴミの分類があります。水・お茶・ジュースなどに分類したところ、お茶とジュースが圧倒的に多い。そこで私たちは、水とお茶はマイボトルで持ち歩く意識を広める活動をすることにしました。

この活動の参加者は、自らの手で拾い、調査し、そして「自分たちで解決しなければならない問題だ、働きかければ解決できるかもしれない」と気が付き、目的意識を持つようになります。その目的意識こそが、活動の付加価値でやりがいになるのだと思います。

継続することの大切さを実感して、繰り返し参加してくださる方々が本当に多いですね。

コジ
活動の中で最近とても感動したことがあるそうですが、それはどんなことでしょうか?
糸岡

今年試験的に行った、生物多様性の保全(自然地を維持管理していくことで多様な生き物を戻していく活動)プロジェクトでのことです。2010年は計7回にわたるプロジェクトを行い最終回にはヨシ刈りを行いました。

いろいろな苦労もあったプロジェクトでしたが、最後の日にきれいに刈られたヨシ原に、静かに夕日がさして一面を黄金色に輝かせたんです。ヨシは刈ることによって新芽が芽吹き、来年新たな成長をします。そしてここにいる生物たちがいい形で戻ってきてくれるような気がして、大きな達成感を感じました。

自分が主体的に計画したプロジェクトであったということもありましたが、生物多様性の保全プロジェクトが、ゴミ拾いとともに荒川クリーンエイドの活動の大きな柱になっていくのだという、序章のように感じて、そのヨシ原の風景が一層感動的でした。

この仕事は、今後、国に頼らず自分たちでやっていかなくてはならないことなので、スタッフや参加者、賛同してくださる企業の方々、皆さんの意気込みも大きく、印象的な出来事になりました。

コジさん
コジ:
ゴミ拾い活動後に感動的な風景に出会えるなんて、自然がくれたご褒美のようで幸せですね。
コジ

すばらしい経験でしたね。この都心で自然の光景に感動するということはなかなかできないことだと思います。活動後に感動的な風景に出会えるなんて、自然がくれたご褒美のようで幸せですね。

ところで、クリーンエイド活動の後、「ふりかえり」や「お楽しみイベント」という活動を実施されているそうですが、具体的にはどんな内容なのですか?

糸岡
ふりかえりシート
ふりかえりシート

まず「ふりかえり」というのは、活動の最後に、ゴミを拾いながらチェックした調査カードを書記係が中心となって見直しながら「気づき」を与えるようなことをしています。

ゴミを拾いながら気がついた問題点を発表してもらうんです。ゴミを拾ったことによってどれくらい清掃場所がきれいになったかということも大切なことではあるんですが、私はふりかえり時に次の重要な講評を言っています。「皆さまが集計されたゴミデータは、最終的には全会場分をまとめ社会へ問題提起する材料にしていきます。

つまり皆様の活動が社会に発信する大きなインパクトにつながるのです。」この点について実感してもらい、さらなるやりがいを感じてもらいたいと考えています。そして参加者をどんどん増やし、可能な限り多くの参加者を巻き込んで荒川の自然を取り戻したいんです。

チェックカード
チェックカード

今日のお話の最初に、活動の天秤「使命感」と「楽しさ」の話をしましたが、この「ふりかえり」が「使命感」を感じてもらうきっかけになると思います。そして「楽しさ」の方ですが、活動の最後に「自然環境教室」というお楽しみイベントを開催しています。主に子どもたちを中心としていますが、大人もゲーム感覚で楽しめるような内容になっています。

魚や投網、昆虫、鳥、植物、干潟などそれぞれの自然に詳しいメンバーを講師に招きます。企業として参加される方々も、ゴミ拾いというまじめな活動にこの自然環境教室をプラスすることによって、家族ぐるみで参加でき、社員交流にも一役買っています。このイベントがあって、「使命感」と「楽しさ」の天秤が釣り合うのではないかと思いますね。

コジ

「ふりかえり」で一歩踏み込んで考え、そして「お楽しみイベント」でその活動自体を楽しめることが、活動の魅力になっているようですね。充実した活動内容に興味を持たれた方も多いのではないでしょうか。

では、これから活動に参加したいと思っている方に一言アドバイスをお願いします。

糸岡

記念撮影

記念撮影


「使命感」を持って社会貢献したいと考えている方へですが、社会貢献活動は、参加して初めて分かることがいっぱいあります。活動内容の話を聞いただけでは、リアリティがなく敷居が高く感じてしまうことすらあります。しかし、動かないと何も変わりません。



社会貢献活動をしたいと考えるならば、我々でなくてもかまわないので、様々なNPOなどから話を聞いて、まずアクションを起こすことが第一歩です。最初は簡単な活動から始めてみるのがいいでしょう。そういった意味では、我々の活動は比較的簡単ですから、初心者の方にもおすすめできると思いますよ。



都会のど真ん中に、これほどの自然がある場所はそうないですから、わざわざ自然を求めて遠出する必要もない、そんな手軽さも我々の活動の利点です。無理なく、しかし必ず行動する。そういうスタンスが大切です。



野外料理・昼食会の様子
野外料理・昼食会の様子



そして、気軽に楽しみたい方へですが、我々の活動にはレクリエーションとしての楽しさもいっぱいあります。イベント、親睦の一環として、この活動を利用される方もいらっしゃいます。参加者自ら、バーベキューなどの企画を加えて楽しいイベントにしてもらうこともあります。こんなふうに楽しさを追求しながらその過程でボランティアとしてゴミ拾いをするというのもいいと思います。



コジ
どんな活動でも楽しくないと続けられませんからね。楽しい企画を取り入れながら、環境貢献していくという形は、多くの層の方々に喜ばれるでしょうね。
糸岡
モチベーションを上げていくことも、活動の普及啓発のためには大切なことですよね。
コジ
荒川クリーンエイド事務局長 糸岡栄博さんでした。「使命感」と「楽しさ」の天秤。環境意識啓発への思いが伝わるお話だったと思います。どうもありがとうございました。
 

皆さんも荒川クリーンエイドに参加してみませんか?

荒川クリーンエイド

自然を楽しみながらのゴミ拾い活動。お友達や会社の仲間との親睦にも活用できそうですね。まずはアクション!参加ご希望の方はこちらをごらんください。
詳しくはこちらへ

「荒川クリーンエイド」事務局長 糸岡栄博さん&コジさん

<第2回対談・編集後記>
糸岡様には二回にわたり、荒川クリーンエイドの活動を通した、社会貢献活動についてのお話をお聞きしました。
身近なところからまずアクションを起こすこと。非常に意義のある対談となりました。

<次回予告>
第3回:伊藤博隆さん編voL1
「横浜みどりアップ計画 市民推進会議について」

次回をこうご期待!

投稿時刻 10:15 | 個別ページコメント(0)トラックバック(0)
2010年12月28日(火)

エコロジスト対談/第2回:「荒川クリーンエイド」事務局長 糸岡栄博さん編voL1

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コジさんエコロジスト対談/第2回:「荒川クリーンエイド」事務局長 糸岡栄博さん編

エコロジスト対談の第2回目は、荒川のゴミ拾い・ゴミ調査を中心とした様々な活動を行い、川の自然や川から見えてくる環境問題を考えて市民の環境保全への意識の向上を目指す「荒川クリーンエイド」事務局長・糸岡栄博さんをお招きしてお話を伺います。

「荒川クリーンエイド」事務局長 糸岡栄博さん
糸岡:
単なる清掃活動にとどまらず、どんなゴミが落ちているか、調査しながら拾うことで、ゴミの重みを一つ一つ感じてもらいます。
また、「ゴミを取り除き、自然を取り戻すことを体感してもらう環境啓発活動である」ということが我々の活動の特色です。
【糸岡栄博さんプロフィール】
NPO法人「荒川クリーンエイド・フォーラム」理事・事務局長
株式会社損保ジャパン・リスクマネジメントを経て現職。大学院時代には、環境教育を学ぶ傍ら、(財)日本自然保護協会、NPO法人川に学ぶ体験活動協議会、NPO法人日本水フォーラムのインターンシップを経験。企業・市民・学校・行政等のセクター間パートナーシップの質の向上を模索している。
荒川クリーンエイド・フォーラム 荒川クリーンエイド・フォーラム」のご紹介
市民団体を始め沿川自治体や小中学校・高校、多くの企業が社会貢献活動として参加。それぞれの団体が実施会場を持ち、参加者を募ってクリーンエイド(ゴミ拾いとゴミ調査)を実施しています。
コジ
荒川クリーンエイドはどのような活動をしているのですか?
糸岡

「荒川でちょっといいこと ゴミ拾い」というキャッチフレーズのもと、いろいろな方が気軽に参加できるボランティア活動を実施しています。環境保護活動というと敷居が高いようなイメージがありますが、誰でも気軽に参加できるような活動を目指しています。

荒川の流域では一千万人余りの人口を抱えています。その多くの人口が排出する数えきれないたくさんのゴミに川は悲鳴をあげています。そのゴミが生態系へ及ぼす影響は測り知れません。年間100会場、一万人が参加してゴミ拾いとゴミ調査の活動を続けていますが、それでもなかなかゴミは減りません。

ゴミ拾いの様子
ゴミ拾いの様子

我々のゴミ拾い活動の特徴は、「数えるゴミ拾い」といってゴミを48種類(散乱ゴミ)に分類しながら拾い、そのゴミの種類と数を確認しながら参加者に「気づき」をもたらすことを目的としていることです。単なる清掃活動にとどまらず、ゴミの重みを一つ一つ感じてもらい、自然を取り戻すための活動であることを確認してもらう環境啓発活動であることが、我々の活動の特色です。そして、分類したゴミとその数を集計し、データ化して社会に発信していくことで、多くの人がゴミ問題を考える材料になればと考えています。

コジ
荒川クリーンエイドが目指すことを教えてください。
糸岡

クリーンエイドという言葉は、Clean(きれいにする)とAid(助ける)が合わさった造語です。様々な人の手を借りて、ゴミを拾って自然を回復させようと活動しているんです。

活動の大きな目的は3つあります。1つ目は、荒川のクリーンアップ、清掃活動を通じて川と親しみ、参加者の環境保全の意識を向上していこうという意識啓発です。

環境学習支援
環境学習支援

2つ目は、「行政」「自治体」「企業」や、学校などの「子どもの団体」などとパートナーシップを実現しながら環境問題を考えること。市民が自発的に参画してくれることも重要です。

3つ目は、荒川沿川住民による河川環境保全の活動を進め、ゴミ拾いを切り口に積極的な市民参画を推進し、河川管理への市民権を確立していくことです。

河川は、国が管理しているものなのですが、もっと市民が主体的に管理に参加して、「自分たちの手で自然を取り戻すのだ」という意識をもつということが重要だと考えています

コジ
荒川クリーンエイドの活動には6つの柱があるようですが、それについて教えていただけますか?
糸岡

1つ目に挙げられるのが「クリーンエイド活動」で、これは我々の活動の中心に置かれ、荒川のゴミ拾いとゴミ調査、そしてその調査結果を社会に発信するというものです。

他の5つはクリーンエイド活動の周辺活動になっていますが、どれも切り離せないものでそれぞれが重要な位置づけになっていますのでそれぞれを紹介しますね。

2つ目の「水質調査」は、試薬を使って汚れ具合を調べるテストで市民の手によって調査され、公表されます。精緻な数値を示すものではありませんが、実際に水がきれいなのか汚れているのかがわかります。市民の活動によって川の健全性が明らかになるということも一つの成果だと思っています。

3つ目の「流域連携」というものは、荒川流域に居住する方々の交流を図る試みです。例えば、荒川源流から中流域、下流の干潟などで自然観察をするエコツアーを実施しています。同じ荒川流域でも上・中流域と下流域ではなかなか交流する機会もありませんので、こういったイベントを通じて共に連携し河川流域の環境を考え、力を合わせて問題解決しようと進めています。

4つ目は「環境学習支援」です。小中学校の総合学習への支援や指導者育成講座の開催など荒川での水辺遊びと学びに協力しています。こちらは学習支援チームを結成して活動しています。

5つ目は「社会貢献や市民参画への支援」。こちらは市民向けの他に、企業向けに研修やアウトドア活動のプランとしてパッケージツアーを企画して提案しています。ワークショップなども企画していて、新入社員研修の一環に環境研修として取り入れる企業が最近増えています。

ただ座学を行って終わりという感じの従来の環境研修ではなく、ゴミ拾いを通じてその結果を社会に発信するアクションプランを立案するといったような事後研修も含めて提案しているので、社員のひとりひとりに環境意識の改革を訴えかける重要なツールになっているのではないでしょうか。

6つ目の「情報提供」では、毎年の活動報告だけでなく年に数回発行されるニュースレターには参加者の声などメッセージを掲載して、一方通行の情報発信ではなく顔の見える関係というのを目指して広報しています。どういう人が参加してどういう成果があったのか具体的に情報を公開していきたいと考えています。

糸岡さん&コジさん

そして、今後力を入れていきたい活動に「自然地の管理」というものがあります。これを7番目の活動に挙げたいと思います。「自然地」というのは「守るべき自然地」と「利用すべき自然地」に分けられます。「守るべき自然地」は自然環境の保全を目的とし、人の立ち入りを制限するもので、具体的な活動としては絶滅危惧種を保全する取り組みなども含まれます。

一方「利用すべき自然地」は里山のように人が立ち入ることを前提とし環境学習や自然環境教室に活用しながら、除草やゴミ拾いなどを行っていくものです。この荒川の自然地がどういう特性があるのかということや、草花や外来種、絶滅危惧種などを定期的に専門家や特殊なメンバーで構成して調査を実施していこうと考えています。管理、守るという活動に協力してくれる企業の参加も視野に入れています。今後は、環境学習とクリーンエイド活動と自然地の管理を関連させて、包括的に活動を進めていこうと考えています。

コジ
糸岡さんが荒川クリーンエイドに参加したきっかけを教えてください。
糸岡

学生時代に水質の研究をしていました。上京した際その延長で、水質調査で有名な某大学の教授を訪ね、彼から荒川クリーンエイド・フォーラムを紹介されたのがそもそもの出会いです。実際にクリーンエイドの現場に連れて行かれ、ゴミ拾いにも参加しました。

それまで水質研究という主に数字やデータによって示されるものと向かい合っていた自分には、とても衝撃的な体験でした。ゴミ拾いという活動がなぜか楽しく感じて、研究室にいるだけでは決して感じることのないであろう、すがすがしさや感銘を受けました。それ以来しだいに活動にかかわるようになっていったという経緯があります。

小冊子・リーフレット
小冊子・リーフレット

荒川クリーンエイドの歴史としては、1994年がスタートです。1990年代初頭と言えば三重県の長良川河口に堰が作られ、利水や治水のための建設とそれに伴う生態系への悪影響などから反対運動が起き、社会問題になった頃です。開発と環境、公共事業や河川管理の在り方の問題を提起するきっかけになった出来事でした。

それまでは治水は国の管理下にありましたが、そこに「環境」という問題を入れて市民と協働で進めていく、橋渡し役になりたいと思い始めたのが最初です。そのプロジェクトに荒川は実験的に選ばれたと思料します。荒川の河川敷のグランドを利用している企業や自治体などの団体に声をかけて、イベントとしてゴミ拾いを始めたんです。

その当時はまだ旧建設省「荒川下流工事事務所」が主導で行っていましたが、1995年からは市民団体に事務局を移行しました。市民が中心になることで中立公平な立場で多様な人を呼び込むことに成功し、今では参加者は年間一万人を超えるまでになりました。

コジさん
コジ:
捨てる行為だけでなく、ゴミの消費から生産までさかのぼって見直す努力をしないとだめなんですよね。
コジ
荒川クリーンエイドの今後のビジョンについて簡単に教えてください。
糸岡

わたくし個人としてはまずは団体の予算面で、もっと自立していくべきだと考えています。現在は国(国交省)からの予算にどうしても頼らざるを得ませんが、もっと企業や団体をまきこんで、さらに有志からの寄付などを募り、市民団体として金銭面でも自立していく必要があると考えています。そのために先ほどお話した「自然地の管理」という分野に力を入れていこうと考えているんです。企業や団体にも協賛してもらうようにと日々奔走しているんですよ。

それと同時にさらに力を入れていきたいのが、拾ったゴミのデータの分析とその情報発信です。例えば1994年と2009年を比べて、たばこの吸い殻が1/3程度に減っているのに対してペットボトルは5倍以上増えています。煙草のポイ捨てはここ数年でずいぶんと意識が啓発されたこともありますし、喫煙場所の減少など理由はさまざまでしょう。ペットボトルの増加には、ライフスタイルの変化、そもそも作られるペットボトルが増えたということがあります。大量生産、大量消費、大量廃棄の社会を反映して、データは示されているんです。

荒川のゴミは、河川流域で捨てられたゴミだけではありません。街中の側溝や用水路に捨てられた煙草の吸殻やペットボトル、レジ袋など様々なゴミが流されて河に辿り着くのです。それがどんどん溜まっていき、2か月もすればあっというまに川はゴミでいっぱいになります。その現状を多くの人にもっと知ってもらいたいですね。

コジ

捨てるという行為だけでなく、ゴミになるものをなるべく買わないようにするとか、そもそも作らないようにするとか、消費から生産までさかのぼって見直す努力をしないとだめなんですよね。

環境教育や啓発活動、情報発信などがいかに大きな役割を担っていくかということですね。

 

皆さんも荒川クリーンエイドに参加してみませんか?

荒川クリーンエイド

ゴミを拾うという活動が、あなたの心に何かを届けてくれるかもしれません。一人でも、一回だけでもOKです。参加ご希望の方はこちらをご覧ください。
詳しくはこちらへ

「荒川クリーンエイド」事務局長 糸岡栄博さん&コジさん

次回は荒川クリーンエイドのより具体的な活動内容についてお聞きしたいと思います。

<次回予告>
第2回:糸岡栄博さん編voL2
「荒川クリーンエイドの活動について」

次回をこうご期待!

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2010年12月13日(月)

エコロジスト対談/第1回:「太陽生活ドットコム」編集長小川誉久さん編voL3

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コジさんエコロジスト対談/第1回:「太陽生活ドットコム」編集長小川誉久さん編

太陽生活ドットコム」を運営する小川様をお迎えしての対談シリーズも最終回になりました。さて今回は、太陽光発電発電設置にあたって、より具体的な施工や販売、業者選びについて詳しくお話を伺っていきたいと思います。

「太陽生活ドットコム」編集長 小川誉久さん
小川:
施工の良し悪しは、業者の誠意にも左右されると言えますね。
ちょっとした気配りも業者によって違いますから、やはりきちんと調べて良い業者に施工していただきたいと思います。
コジ
弊社は太陽電池の販売だけでなく施工も行っております。品質にも気をくばり、なんとか10年間やってこれたと思っております。施工にもいろいろな業者があると思うのですが、実際にユーザーの声を聞いていらっしゃる立場から、どのような情報がありますか?

※2010年7月より、弊社の施工は子会社である太陽光発電システム施工専門会社「日本ソーラーサービス」が行っています。

小川

現在は補助金の影響で月に15000~18000件と設置工事が増えています。また、業者も新規参入が広がっており、業者の数は増えていますが、きちんとした業者ばかりとは言えませんね。

例えば、新築物件への施工はまだ良いのですが、築数10年以上などの既築物件で経年劣化している屋根に重いパネルをのせるような場合、通常の施工以外にどういう工事が必要なのかを判断するにはかなりの経験が必要だと思います。ところが、そういうことを知らずに、売れるからといって参入して、エアコン工事感覚で安易に設置してしまう業者もいます。

しかし、太陽光発電は重量物を家の屋根につけるわけですから、しっかり施工しないと、後々重大なトラブルになる可能性があります。代表的なトラブルは雨漏りですが、屋根裏に雨水がしみ込むという程度ではなかなかユーザーはわかりません。

その後何年かたってユーザーが雨漏りに気づくころには、屋根裏はたいへんなことになっているのですが、ずいぶん時間もたっているので、それが太陽光の工事が原因なのかは簡単には判断できません。そして業者に相談しようと連絡したら、すでに業者は倒産していた、などということもあります。

ですから、太陽光発電パネルの設置は、エアコン工事とはちがうのだということを、消費者によく理解してほしいですね。エアコンの場合は量販店で購入し、工事も誰が来るかわからない場合でもあまり問題がないと思いますが、太陽光発電は10年、20年と使っていくものですからね。屋根の上にあれほど大きく重いものを載せ、通常は屋根に固定用の穴をあけますし、やはりしっかりした施工が必要ですね。

購入時にはもちろん値段も大事ですが、本当に20年つきあっていける業者なのかどうかをよく考えていただきたいと思います。誰が工事に来るのかもわからないような買い方ではなく、なるべくなら地元にいて、何かあったら電話一本で飛んできてくれるような、そういう業者を見つけるべきです。

コジ

太陽電池の性能というは、「作られるもの」なんですよね。カタログ上のスペックだけでなく、パーツがあって、組み立てる人がいて、組み立てて初めて「性能」も出来上がる。

つまり、組み立てる人によって性能が良くも悪くもなるのですよね。見える所ならまだいいですが、見えないところに何かあると後々まで残ってしまうものですから。

小川
御社は施工技術向上のために何かしていることはありますか?
コジ

小川さん&コジさん弊社では、社内の監査部門が施工の現場を抜き打ちで見に行ったり、お客様相談室を設置してお客様とコミュニケーションをとって情報を得たりしています。また、設置してから一年後に無料点検という制度を設けています。

とにかく、長い期間安心して使っていただくということが、自分たちの会社のためにもなりますし、今やっと伸びてきた太陽光発電のマーケットのためにもそういった検査体制は必要だと思いますね。

小川

太陽光発電というものは、ちょっとした故障で発電が数パーセント落ちてしまいます。しかしその程度の故障だと気がつかない場合もあるんです。購入時にはつい、安くて、カタログ上の発電効率にとらわれてしまいます。

しかし20年以上使うわけですから、どんなに安くて発電効率のいいものを買ったとしても、数年でトラブルが起きて、気がつかないままにずっと過ごしまったら、その方が損失が大きくなってしまいます。

長く使うのだからこそ、その業者が信頼・安心できるかをよく考えて、パネルもカタログ的に効率がいいものばかりを無条件に選ぶというのではなくて、信頼できる業者とよく相談して、メーカーなどを決めたほうがいいと思います。カタログ上のスペックというのは最も理想的な条件を設定しているわけで、いつもそのとおりにいくとは限らないですから。

コジ

カタログスペックについては、理想的な条件で計測していることが大前提ですからね。カタログ表示の方法も、本当はもっと改善されていくべきですね。カタログ表示に関しては実際分かりにくい部分も多く、お客様からも質問されることがよくあります。我々としては、シミュレーションをなるべく細かく出すなどの対策をとっていますが、メーカーとしても、業界としてもなるべく改善していくべきだと思いますね。

販売に関しても、余剰電力の売電を実際よりも誇張してお客様に説明している業者もいます。例えば月々の電気代が15000円だった場合、10000円が昼に使われているものなのか、夜に使われているものなのかで売電価格に大きな差が出ます。そのシミュレーションの誤差が1年分、10年分となってくると大きな金額の違いになってきますよね。

施工もそうですが、販売もきちんとした情報を伝えていかないと、大きな問題になってしまいます。太陽の照り具合によるものだといういい訳では済まされないほどの差になりますからね。

小川

サイト上でも触れていますが、面倒でも相見積もりをとることがとても大事です。そしてその中の、ネガティブな情報に注目してください。売る側は良いことだけを言いがちですが、その中でどれだけネガティブな話を正直に話してくれているのかということに注目してもらいたいですね。

シミュレーションも同様で二つ以上を比べて、大きな差がある場合はネガティブな情報を出しているものが、慎重にデータを出しているわけですから、より信じられると思いますね。

コジさん
コジ:
やはり施工も販売も両輪でうまく回っていかないと、太陽光発電パネルは普及していかないということを感じますね。
小川

施工に関しては、消費者の皆様は業者にそれほど差がないと思っている場合が多いのですがそんなことはありません。例えば黒い屋根に真白い配管を使われると、毎回屋根を見るたびに白い配線が目立つなあと思うのも嫌ですよね。

家の中の配線にしても、なるべくなら壁の内側や床下を通したほうがきれいですよね。そういうちょっとした気配りも業者によって違いますから、やはりきちんと調べて良い業者に施工していただきたいと思います。

コジ

我々も、これだけ長く太陽光発電を販売していると過去にはいろいろ反省すべきこともありました。過去の問題から改善点が見つかることもありますから、真摯に受け止めていくべきですよね。私がお客様相談室にいたころの話ですが、配管材の種類や使用条件によってプラスチックが劣化して割れてしまうということがありました。それを、丈夫で形状も太いものに変えました。

価格も高く、曲げにくく作業もしにくくなるんですが、耐久性が20年、30年と伸びるということもあり、長い目で見た場合必要なことと判断しましたね。施工は、各業者の裁量で決められる部材がありますから、やはり業者選びは重要だと思います。

小川

コジさん施工の良し悪しは、業者の誠意に左右されると言えますね。なるべく安い部品を使い、人手を減らしたいのが工事する側です。利益のためにそれをやってしまう業者なのか、20年お客様が安心して使えるためには多少コストが高くても良い部材使おうという業者なのか、大きく二つに分かれるような気がします。

僕が付き合いがある業者は、後者のような業者が多いのですが、残念ながら皆がそうではないので実績などをよく見て判断してもらいたいですね。

コジ

太陽光発電の市場が拡大してきて、他の産業からも新しい業者が参入してきていますが、ただの電気工事感覚で安易な施工をしてしまうと、後々その業者にとっても決して得にはなりませんからね。

今はいろいろな消費者保護の法律もあるので、営業を続けられないという最悪の事態にもなりかねません。他にも、例えば屋根のプロという業界の方が参入した場合、今度は電気のことが専門ではないばかりに、電気のプロでは考えられないような配線をしてしまったり、雨が入ってしまったり、という場合があったという話もありました。

小川
電気工事の場合はきちんとやらないと火事になってしまいますから、さらに注意が必要ですよね。今日の話が、消費者の方々の業者選びの参考になればいいですね。
「太陽生活ドットコム」編集長 小川誉久さん&コジさん

<第1回対談・編集後記>
小川様には三回にわたり、太陽光発電の情報提供について、太陽光発電の将来への展望、そして具体的な設置や施工、業者選びなど幅広いお話を伺うことができました。独特の目線で語られた太陽光発電業界について、とても興味深い対談となりました。

<次回予告>
第2回:荒川クリーンエイド 糸岡栄博さん編voL1
「荒川クリーンエイド&糸岡様のご紹介」

次回は荒川クリーンエイドの糸岡様をお迎えします。どんな内容になるか、私も今から楽しみです。
乞うご期待!

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2010年11月26日(金)

エコロジスト対談/第1回:「太陽生活ドットコム」編集長小川誉久さん編voL2

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コジさんエコロジスト対談/第1回:「太陽生活ドットコム」編集長小川誉久さん編

太陽生活ドットコム」を運営する小川様をお迎えしての対談第2弾です。
今回は、太陽光発電のこれから、エネルギー問題の観点からも「日本の太陽光発電の未来」を語っていただきました。スケールの大きい展望に、太陽光発電業界への期待が膨らむお話が聞けました。

「太陽生活ドットコム」編集長 小川誉久さん
小川:
エネルギー安全保障の観点からも、エネルギーを自分で作り出すことは非常に重要だと考えます。ぜひ、多くの方に太陽光発電を導入していただきたいですね。
コジ
太陽光発電がこれから普及していく中、御社のサイトではどのような情報提供をしていこうとお考えですか?
小川

消費者が、太陽光発電の技術などのわからないことを、ある程度理解してから製品を選んだり設置を考えたりするための材料を提供したいと考えています。

残念なことですが、「急がないと補助金がなくなる」とか「設置したら電気代がタダになる」などを売り文句に、売るだけ売ってあとは知らん顔。そんな悪質業者もいます。そういう業者に限ってとんでもない工事をしている場合があります。それはこの業界全体にとっても非常にマイナスなことです。悪い評判は広がりやすいものですしね。

一時期、太陽熱温水器が日本で爆発的に普及した時期がありました。しかし急速にしぼんでしまいました。その原因の1つが、業者の強引な販売方法にあったといわれています。今、太陽光発電で同じようなことが起こったら、とても悲しいことですし、日本のためにならない。
それを防ぐために、自分のできることは何かと考えたときに、消費者一人ひとりに太陽光発電というものを知ってもらい、悪質な業者にだまされないように、そういうきっかけを情報サイトを通じて提供できればと考えています。

難しい話ではなく、どんなもので何ができているのか、自分の環境は太陽光発電の設置に向いているのか、自分が選ぶとしたらどういうものが良いのか、そういう身近な疑問にわかりやすい答えを発信していきたいと思っています。

コジ
太陽光発電は今後、さまざまな場所で導入されていくと思いますがメーカーや国、それぞれの立場でやるべきことが違うと思いますが今後どんなことが大切だとお考えですか?
小川

まず、何より価格を安くすることです。太陽光発電は今はまだ、高級な車を一台買うくらいの値段ですからね。国の補助金や、余剰電力の高額な買取などを前提として普及を促せば将来的には安くなるとは思いますが、安くなっても効率が悪くなったり、品質が低下しては意味がありません。
効率を上げながら、品質も保ちつつ、価格も下げる。そして、日本の多くの屋根に普及してほしいと思っています。太陽光は国産のエネルギーですからね。

現在私たちが使っている電気は、遠くにある電力会社の大型の発電機で作られ、送電線を伝って私たちの家にやってきています。しかし経済産業省の資料などによれば、例えば原油から火力発電で電気を作って送電する場合、発電時や送電時のロスで、元のエネルギーの6割くらいが失われるといわれます。
その点、太陽光発電は自分の家で発電して、自分の家で使う地産地消なので、ロスがほとんどありません。

日本は、エネルギー資源の9割以上を海外に頼って生活していますので、エネルギー安全保障の観点からも、自分で電気を作るという国産エネルギー源を増やすことは非常に重要だと考えます。ぜひ、多くの方に太陽光発電を導入していただきたいですね。

コジ

太陽光発電は「環境」という切り口で語られることが多いですが、日本の国全体を見た場合、重要なエネルギー源であるという面を持っているということですね。
環境問題を押し出すだけでなく太陽光発電のメリットを違う角度からPRしていくということも非常に大事ですね。

さて、太陽光発電の世界はこれからどうなっていくとお考えですか?

小川

最近また太陽熱温水器が脚光を浴びつつあります。太陽光発電は約2割弱くらいのエネルギー効率なのに対し太陽熱だと50~60%を熱エネルギーに変換できる非常に効率のいい製品なんです。
僕は熱利用もいいと思いますね。太陽光温水器にはオール電化対応、エコキュート対応の物もあるのですが、太陽熱温水器にはガスの湯沸かし器の方がが相性が良いでしょうね。

太陽光と太陽熱を利用して電気や熱を作り出し、太陽のエネルギーを生活に活かして外部のエネルギーに依存しないようになるのが理想ですね。風力というのもありますが、日本ではコスト的にもちょっと合わないかなと思いますね。まずは、自然に降ってくる太陽のエネルギーをどうやって電気や熱に活かしていくかということが大切です。

今は電気代が安くなるとか、余剰電力を売電できるとかということで、生活の余裕のなかで太陽光発電を検討されている方がほとんどだと思います。しかし今後は、新興国の資源争奪などで電気代もガス代も高くなっていくと思います。そうなれば自然エネルギーの活用は、余裕としてではなく、豊かな生活を続けるために不可欠な存在になっていくでしょう。

太陽光発電は直流の電気を作るのですが、現在はパワーコンディショナでそれをいったん交流に変換して、それをさらにACアダプタなどで直流に戻して使っています。この変換のたびにロスが生じるので、将来は直流をそのまま使う「直流家電」が増えるといわれています。自然エネルギー利用の普及とともに、私たちの生活も大きく変わっていくでしょう。

コジ
最近注目のスマートグリッドについてもお聞かせください。
小川

スマートグリッドは、既存の電力の供給網と情報ネットワークを組み合わせて、自然エネルギーなどをより効率的に使えるようにする方法として注目されている未来の電力網です。アメリカのエネルギー省のパンフレットには、消費者の視点で見ると安くエネルギーを使える仕組みだと書かれています。

例えば電気自動車を充電する場合、必要なエネルギーは一軒の家で一日にかかるエネルギー量と同等だという報告もあります。朝、電気自動車に乗って出勤し、夜帰宅してから充電をするとします。そうすると、充電する夜に大きな負荷がかかるわけです。
今の電力供給網は、基本的に蓄電ができませんから、その負荷に耐えられないでしょう。ピークに合わせて設備を拡大すればそれにはコストもかかるし、そのコストは電気料金に反映されるでしょうから電気代も高くなります。

これに対しスマートグリッド時代には、例えば電力供給と電力需要を比べて、需要の少ない深夜時間帯、電気料金の安い時間帯を自動的に見計らって電気自動車を充電するなどが可能になるはずです。
こうすれば、電力供給網の負荷は上がりにくくなりますから、設備への投資は抑制できます。またユーザー側も、安い電気をうまく使って電気自動車を充電できるというわけです。

太陽光発電のような自然エネルギー活用はどんどん進めるべきですが、いかんせん、自然エネルギーはどれも、自然まかせでエネルギーを作るので、電力供給のコントロールが非常に難しい面があります。
こうした気まぐれなエネルギー資源をうまく効率的に活用するためにも、スマートグリッドは必要なのです。将来は、個人の住宅や電気自動車など、多くのものがスマートグリッドに対応することになるでしょう。

コジさん
コジ:
お客様の気持ちに支えられて、太陽光発電は今では1つの産業と呼べるようになってきたのだと思いますね。
コジ
電気が時価になってくるようなイメージですね。
小川
そうですね。でもそれは、決して電力会社を儲けさせるためではなく、消費者にとってもメリットがあることです。
コジ
スマートグリッドはここ2,3年で急に言われるようになりましたよね。蓄電したり、電力消費量や発電量を管理したりしてエネルギーをより効率良くするというような漠然としたイメージとしてとらえがちですが、正確にどんな概念でどんな目的で進められているのか今一つ浸透していない感じがするのですが。
小川

現時点では日本の太陽光発電は住宅向けが圧倒的ですよね。日本と言うのは、ソーラーメーカーもあれば太陽熱のメーカーもあれば家電メーカーも自動車もある。全部揃っているわけです。そして一番大切なことですが、日本人のメンタリティは社会に対して貢献していこうという意識がすごく強いと思うんです。

例えば中小企業も消費者も協力して、国をあげてエネルギーの安全保障を推進すれば、巡りめぐってメーカーも強くなる、消費者にも売れるようになれば、日本の産業が強くなり、結果としてそれが消費者に還元されていく。そんな良い循環が生み出せると思っています。日本にはそれを可能にする素材がメンタリティも含めて全部揃っています。ぜひそういう方向に持っていって、それを日本の付加価値として世界に広げていきたいですね。

これからの住宅はこうだ、これからの自動車はこうだ、と自信を持って言えるようなそういう先進国になってほしいですね。そして、僕は最終的には世界中がそうなっていくと思いますね。

コジ

たしかに、日本人特有のメンタリティかもしれませんね。

外国の方からみると個人が自分の屋根にせっせと太陽光発電をつけるという話に驚くという話を聞いたことがあります。ドイツや他の外国に比べると売電価格もぐっと低く、経済的に見合わないとしても、自分でできることはないかという理由で設置していることが奇異にさえ映るそうです。やはり日本人のもっている気質があって、住宅から太陽光発電が広まっていったのだと思うんですよね。

私が一営業マンだったころから、補助金がなくなったりいろいろなことがありましたが、そういうお客様の気持ちに支えられて、太陽光発電は今ではやっと1つの産業と呼べるようになってきたのだと思いますね。

「太陽生活ドットコム」編集長 小川誉久さん&コジさん

次回は、太陽光発電の施工や設置業者の選び方など具体的なお話を伺う予定です。

<次回予告>
第1回:小川誉久さん編voL3
「太陽光発電の施工と設置」

次回をこうご期待!

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2010年11月01日(月)

エコロジスト対談/第1回:「太陽生活ドットコム」編集長小川誉久さん編voL1

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コジさんエコロジスト対談/第1回:「太陽生活ドットコム」編集長小川誉久さん編

今回から「太陽光発電」と「花」を愛するエコロジースペシャリストのコジさんが、世の中の「自然エネルギー活用の普及」や「エコロジー活動を推進する方々」を紹介します。

第1回目は、太陽光発電システムを上手に活用して、地球にやさしい生活を実践しようとする人のためのインターネット情報サイト「太陽生活ドットコム」を運営する小川様をお迎えしての対談です。日本から世界への展開も視野に入れた、環境ビジネスの未来を語っていただきました。

「太陽生活ドットコム」編集長 小川誉久さん
小川:
「消費者と産業が全体で発展し、環境ビジネスを世界に浸透させていく、その震源地になれたら」という思いで「太陽生活ドットコム」を運営しています。
【小川誉久さんプロフィール】
「太陽生活ドットコム」編集長
コンピュータープログラマーを3年経験後、出版社へ転職。約10年間、技術者向けの雑誌「スーパーアスキー」の編集を手がけ独立。10年前に「デジタルアドバンテージ」を設立。コンピューターの技術者向けの情報をWEBを中心に発信している。
太陽生活ドットコム 太陽生活ドットコム」のご紹介
太陽生活ドットコムは、太陽光発電システムを上手に購入し、これを活用して、地球にやさしい生活を実践しようとする人のためのインターネット情報サイトです。
コジ
小川様の経歴を簡単におしえていただけますか?
小川

現在は、2009年の7月に公開した、太陽光発電の「太陽生活ドットコム」という消費者向けのポータルサイトを運営しています。

もともと僕は、コンピューターのプログラミングを3年間経験し、その後、出版社に転職、「スーパーアスキー」というコンピューター雑誌を約10年間、とくに技術者向けの雑誌を作っていました。その後、 10年前に独立し、今の「デジタルアドバンテージ」という会社を設立しました。それ以後は、コンピューターの技術者向けの情報をWEBを中心に発信しています。

いわゆるITをずっとやってきたんですが、ITというのはある意味一巡し成熟したというか、「ITが急成長した時代」というのは過去のものになってきており、われわれとしても、次の成長の糧を見つけようと始めたのが、この「太陽生活ドットコム」です。

コジ
ITという分野と環境という分野では、ずいぶんと違うような気がするのですが、太陽光発電のサイトを始められたきっかけを教えて下さい。
小川

34年前にドイツ、スペインあたりで、大規模な太陽光発電の発電所が多く建設された時がありましたよね。その時に太陽光発電向けのウエハーを製造する会社をやっている、大学時代の親友から声をかけられまして。

その時期に需要が急増することで太陽光発電ビジネスが急拡大し、仕事を手伝うことになったんです。金額も規模も大きいんですが、とにかく作るそばから売れる、作る前から売れる、できたらできただけもってこいという感じでしたね。「これはすごい市場だな!」と感じました。

自分はずっとメディアの仕事に就いていたので、メディアと太陽光発電との接点を、それ以来ずっと考えていました。
ですが4年前というと、日本では住宅の太陽光発電市場が冷え込んでた時期でもありました。

コジ
そうですね、補助金がいったん廃止になった時期に重なりますね。
小川

そういう時でしたので、メディアの発信先は業界向けにしようかと思っていましたね。マスメディアというのは多くの人に読んでもらってこそのものですので、本当は消費者向けにやりたい、と思っていたんですが、足元の市場はなかなか厳しい状態でした。

なので「今始めても難しいかな…」と思っていたところに、補助金が復活し急激に注目が高まり、実際に物も動くようになってきました。そこでいよいよ消費者向けに太陽光発電という内容で、WEBサイトで何かできることはないかとスタートしたわけです。

コジ
4年前というと、補助金が始まるちょっと前あたりですね。
小川
この頃は、太陽光発電パネルがドイツ、スペインで飛ぶように売れ、それによってシリコンが不足し、シリコンの価格がものすごい勢いで高騰しました。
その時の勢いはすさまじいものがありましたね。
コジさん
コジ:
太陽光発電があれば売れるというよりは、売り方をどうするか、お客さまにどうやって情報を伝えていくかということが大事かなと。
コジ

どんどん売れるのを目の当たりにして、太陽光発電のポテンシャルというものをというものを実感されたのですね。日本の太陽光発電も、今でこそやっと盛り上がってきましたが、作れば作っただけ売れるというところまではきていません。

電池があれば売れるというよりは、売り方をどうするか、お客さまにどうやって情報を伝えていくか、ということが大事だと考えています。

さて、今実際に運営されている「太陽生活ドットコム」ですが、コンセプトや今後の展望など教えていただけますか?

小川

ノーベル化学賞の受賞という、大変うれしいニュースがありましたね。日本にはこんなに偉大な科学者がいて、偉大な技術があるのに、それをノーベル賞受賞で初めて日本人が知る。これはある意味悲しい状況です。
そんな人がいること、そんな技術が日本にあること、「社会に役に立ってるんだ」ということを、もっと多くの人が知るべきですよね。

資源のない日本は、技術立国としてやっていくしかないと思います。私も理科系でエンジニアだったこともあり実感していますが、日本には、せっかく技術も知恵もあるのに、それらがうまくかみあっていないんですよ。

コジ
その技術やアイディアを、多くの人に知ってもらう場をつくりたいとお考えなのでしょうか?
小川

日本はこれからエネルギー問題に直面します。もちろん、食糧問題、エネルギー問題というのは人類が抱えている根本的な問題だと思います。

日本で40年ほど前から言われ続けている「太陽光発電30年計画」というのがあります。当時は価格が高くて実用は難しいとみられていましたが、やっと今ここ10年くらいで普及し売れてきたな、という実感がでてきました。
しかし、その矢先にドイツや中国に市場を持っていかれている、という残念な状況であるのも事実です。太陽光発電、ソーラーパネルにおいては日本のシェアはどんどん下がっています。

ただ、これからはパネルだけが売れればいいのかというとそうではありません。これからエネルギー問題というのは、もっと深刻に複雑になっていくでしょう。例えば、自動車はハイブリッドから次はプラグインで充電をする、その先には電気自動車というように変化していきます。

コジ
エネルギーは形を変えていく、ということでしょうか?
小川

現在は、電気が比較的安く提供されているので、使いたいときに使えます。
しかし中国のレアアース問題で表面化したように、資源獲得競争というものが世界中でし烈になってくるでしょう。地球上の約60億人、すべてが豊かになればいいのですが、全員が現在の日本人のような生活をするのはまず不可能でしょう。

なぜ不可能かというと、食料問題とエネルギー問題で、残念ながら彼らが十分に使うだけの食糧もエネルギーもないからです。しかしその一方で、中国やインドなどではどんどん生活力が上がり、エネルギー需要が増え続けています。

日本に資源がたくさんあればいいのですがそうではない。取り合いになったときに、当然価格が上がります。電気を気にせずに使える時代が、これからも続く保証はありません。そこで注目されるのが、自然エネルギー、太陽光発電です。
太陽光発電に関して言えば、今はまだ生活に余裕のある世帯に、主に普及しているような状況です。今後予想される資源不足とその争奪によって、電気代が2倍3倍になったとしたらどうでしょう?生活すら困難になるのではないでしょうか?

今は、太陽光発電は条件が良ければ、一年を通してゼロエネルギーを実現できるほどのレベルになってきています。将来高騰するかもしれないその電気代にかわるだけの能力が今の太陽光発電にはあると僕は思っています。

これからの5年、10年はおそらく世の中がガラリとかわることでしょう。その変化の中で日本がどう対応していくかが重要でしょうね。日本には太陽光発電の技術や家電製品、自動車、インフラ、全部ひととおり揃っていると思うんですよね。それにも関わらず、残念ながら車は車、家は家、ソーラーはソーラーで、というように連携されていないのです。これからはそうではなく、それを一体化して、産業として発展させていくことが必要です。
そして、その中心にいるのは消費者で、その必要性をある程度きちんと理解して、自分の生活の中で選択していくことができる。そういう市場が日本にあるというのが僕は非常に大事だと思うんですよね。

消費者も賢くなる、産業も賢くなる。
消費者と産業が、全体で発展していって、「環境ビジネス」を世界に浸透させていくという、そういう震源地になれたらいいな、という思いで「太陽生活ドットコム」を運営しています。

コジ

日本の太陽光発電マーケットの一番の特徴は、ほとんどが個人の住宅向けという点です。個人の方が、自分たちのエネルギーを自分で選ぶ、という時代になってきました。しかしまだまだ、太陽光発電を提供する側と買う側には、情報も含めギャップがあるのかもしれませんね。

例えば、車なら皆さんある程度、知識や共通認識がありますが、太陽光発電はまだ新しい製品です。そのあたりのギャップをうめていきたいということでしょうか。今後の御社さまの活躍に期待したいですね。

「太陽生活ドットコム」編集長 小川誉久さん&コジさん

次回は太陽光発電そのものについて、もうすこし詳しくお話をお聞きする予定です。

<次回予告>
第1回:小川誉久さん編voL2
「太陽光発電について」

次回をこうご期待!

投稿時刻 9:09 | 個別ページコメント(0)トラックバック(0)
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