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コジさんのエコな日々

2013年03月27日(水)

第10回:造園家 古山隆志さん編vol.1

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コジさんエコロジスト対談/造園家 古山隆志さん編vol.1

今回は、自然とともに暮らしてきた日本の心を体現する造園家でもあり、ビオトープを育てることを通して子どもたちに自然のすばらしさを伝える活動家でもある古山隆志さんをお迎えしての対談第一弾です。

小島:

初めに「古山庭苑」での庭づくりの理念をお聞かせください。

造園家 古山隆志さん
古山:
日本には四季折々の自然を上手に取り入れて暮らすというすばらしい文化があります。その心を忘れない、自然を生かした庭づくりをモットーにしています。
【古山さんプロフィール】
古山隆志(ふるやま たかし)
造園家

CF制作会社勤務などを経て、造園家として「古山庭苑」を設立。以来、個人邸の庭づくりや学校などのビオトープの設計、施工を手掛け、手入れなどのアドバイスも行っている。 ボランティアで学校ビオトープの維持と管理について児童・生徒・先生方へのアドバイスや、東京都杉並区のビオトープや公園など、地域の自然環境に関するNPO団体に多数所属し、みどりを地域に広げる活動を幅広くおこなっている。
ホームページ:http://furuyama-teien.jp/
古山:

大きな庭でなくても、実現できる和の庭、坪庭に生き物たちが息づくような工夫をしたり、ちょっとした野菜作りができるキッチンガーデン、庭がなくてもみどりを感じられるベランダや屋上庭園なども作ったりしています。また、小学校や幼稚園の校庭に水辺や原っぱを作ったり、マンションの緑地をプロデュースしたりもしています。生き物たちが集える「ビオトープ」を、家庭の庭や学校、公園など様々な場所に提案しています。

小島:

「ビオトープ」と言うと公園などの大きな場所を想像していましたが、個人のお宅や学校などにも提案されているのですね。

古山:

「ビオトープ」とは「ビオ」=生き物、「トープ」=場所というドイツ語で「生き物が暮らす場所のこと」です。ビオトープガーデンでは多様な環境がありたくさんの生き物が集ってくる庭が理想ですが、お客様がどんな生き物を呼びたいのか、どんなことを楽しみに暮らしたいのかじっくり話し合い、生き物の気持ちになって庭づくりをしていきます。
野鳥を窓辺に呼びたい、バタフライガーデン、メダカやトンボの水辺などいろいろです。

そして、小さなビオトープにそれぞれ別々の役割があり、空から見たときに点と点の庭のみどりがつながり大きなビオトープになっていればいいと考えています。難しく考えることはないのです。ベランダのプランターに小さな水場を作るだけでも野鳥にとっては休息の場所になります。キッチンガーデンを作ると、チョウや虫に食べられてしまうということもありますが、少しだけ生き物たちに分けてあげるというように視点を変えると自然を身近に感じる暮らしをもっと楽しめると思いますね。

小島:

出張剪定講習を行っているということですが、どのようなサポートをされているのですか?

古山:

最近はご自身で庭の手入れを楽しみたいという方が増えています。自治体からの要請で「剪定講座」をしたこともあるのですが、その場合は公園や植木溜めのような場所で行います。すると参加者の方は緊張したり遠慮したりで、なかなか思うようにいかないことが多いんですよね。やっぱり自分の庭でやってみることで、大胆にもなれるしゆったりとした気持ちで楽しむことができると思い、お宅に出張しお手伝いを始めました。お客様と庭を通して触れ合う時間は私にとってかけがえのないものです。
メジロやシジュウカラもいつも羽を休める枝が切られるのが心配なのか見に来たり、虫が動き出しますのでエサ探しに集ってきます。、切り口から溢れる水滴も飲みにきたりもします。それを見ながらお客様と休憩を取るのは、本当にいい時間ですね。お客様に喜んでいただき、笑顔をお土産に帰るのがなによりの幸せです。

小島:

庭をつくるだけでなく、その後の手入れを教えるということが本当の庭づくりなのかもしれないですね。

古山:

そうですね。庭づくりはお客様といっしょに育てるというその過程も大切です。私はよく、手入れの最後に穴を掘って差し上げるんです。これから一年分の腐葉土などを溜める穴です。以前は焚き火をして枝を燃やし、その灰もいい肥料として土に帰っていったのですが、近頃は火を焚くことができませんので、、穴を掘り落ち葉を土に返し豊かな土をつくることも庭づくりの一つだと考えます。ミミズが暮らすふかふかの土を作ると植物がよく育ち、生き物が集まる。ビオトープの庭づくりには欠かせないことです。

小島:

古山さんが庭づくりの仕事に関わるようになったきっかけは何だったのですか?

古山:

造園の仕事を始める前は、CF制作会社でプロダクションマネージャーとして働いていました。その時に、ムツゴロウさん(畑正憲さん)の監修で北海道で動植物の生態を2年にわたり撮り続けるという仕事に携わりました。子供の頃から生き物が好きだったのですが、その2年間の自然に囲まれた暮らしがとても感動的で東京に帰ってきてからも自然や生き物を追い求めるようになりました。そして、暮らしの中に自然を呼び込む手伝いをしたいと考えるようになり、都会の自然を育てる仕事として「庭師」を選択しました。といっても簡単に庭師になれるわけではないので、12年余り修行をしましたね。

その頃に、子どもたちが過ごす場所に、生き物が集る「ビオトープ」を作りたいと考えるようになり、学校ビオトープづくりの提案をしてもなかなか受け入れてもらえず、理解はされても実現しないというジレンマを抱えていましたが 学校にビオトープができないのなら 公園にビオトープをつくり子どもたちが身近な自然を発見や体験できる場所にできないだろうかと考え、「杉並区立柏の宮公園」の住民参加の公園づくりワークショップに参加しました。同じ思いで集った仲間たちとビオトープを育てるボランティア活動を始めました。
最近では学校側から依頼をされることもあります。時期が来て、循環型社会への理解が深まってきたのだと実感しますね。

小島:
環境問題といえば、90年代は温暖化、その前は公害。2000年代になり「生物多様性」という言葉が出てきてビオトープも知られるようになりましたよね。
小島:

かつては絶滅が危惧される動植物の保護という限られた問題に視点が向けられていましたが、多様な生物が自然に与える影響という大きな視点で考えられるようになりましたね。

古山:

絶滅していく生き物だけが大切なのではなく、身近にいる生き物すべてに意味があり大切な役割を担っているのだと、子どもたちへの教育も浸透してきたように思います。

小島:

古山さんはボランティア活動で、学校にビオトープを作る活動なども行っているそうですが、どのような活動なのか教えてください。

古山:

私が参加している「ビオトープネットワーク杉並」での活動は、都会から姿を消したトンボやチョウ、メダカやカエルなどの生態系の保護と再生を行い、子どもたちに「自然体験」ができる場を提供しています。子どもたちには、身近な自然を体験し小さな命の大切さを学ぶだけでなく、他人への思いやりの心を学ぶ場になってほしいと思っています。例えば、飼っていたコイやザリガニ、ミドリガメなどを水辺に放してしまうと、それらが増えて在来の植物や生き物が食べ尽くされてしまい、そこにあった生態系が崩壊します。それを子どもたちにも知ってもらい、投げ込まれてしまった外来種を捕獲するということも活動の一つです。人間の身勝手な行動が、生き物たちの命を奪うことになることを教えることも大切ですよね。

古山:

それから、「みどりの救出」と呼んでいる活動があるのですが、建物を建設したりするときに一旦その場所を更地にしますよね。その時にそこにあった「みどり」を学校や公園、ご近所の方に、里親になってもらい自然を再生する取り組みです。そこに息づいている下草や、木を土ごと掘り上げて子どもたちと学校などへ移植し育てるということにより、みどりをリユースして命をつないでいけることを知ってもらえると思います。植物は育った場所で残せるのが一番いいのですが、その「みどり」を再利用することにより別の場所で新しいビオトープが生まれます。一つとして消される「みどり」は存在しないのだと思いますね。

ひらがなの「みどり」という文字は植物だけでなく、生き物、土、水、空気 そして太陽の光など自然の要素の全てを表すものとして思いを込めて使っています。

小島:

子どもたちにとっても、とても貴重な経験になることでしょうね。

古山:

子どもたちといっしょに行う活動としてもう1つ、「ヤゴ救出作戦」というものがあります。これは夏のプール学習が始まる前、プール掃除をしますよね。プールに生息しているヤゴたちは流され死んでしまいます。その前にそこに生息しているヤゴなどの生き物を救出するというもので、3.4年生の授業で行なうことが多いですが、土曜学校などの企画で大人も参加してもらい親子で体験できる自然体験としても人気があります。シオカラトンボやアカネ系が大半ですが、ギンヤンマがいるプールもあります。ヤゴは教室で観察したり、持ち帰り親子でヤゴからトンボに羽化するところまで観察することができたりするので、都会の一角とは思えないほど十分に感動できる自然体験になっています。

小島:

それまではただ失われていた都会の「みどり」にもう一度命を吹き込む活動と言えますね。

それもビオトープのネットワークがあるからこそ実現することですよね。ビオトープが増えていくと管理出来る人間を育てていくことも課題になるのではないでしょうか。

古山:

やはりどんな活動でも言えることですが、最後は人と人とのつながり。コミュニケーションを大切にし、楽しく活動していくことが活動そのものの普及につながるように思いますね。

自然を身近に感じながら暮らすこと、生き物と共存する暮らしを提案する古山さんの庭づくりに共感するところがたくさんですね。
次回はビオトープ作りのボランティア活動について、もっと掘り下げてお聞きしたいと思います。お楽しみに!
投稿時刻 10:32 | 個別ページコメント(0)トラックバック(0)