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コジさんのエコな日々

コジさんのエココラム

2012年06月15日(金)

第7回:「環境ビジネス」編集長 村上朋史さん編vol.2

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コジさんエコロジスト対談/「環境ビジネス」編集長 村上朋史さん編

今回は企業や自治体、住宅まで幅広い分野で環境推進のための具体策を提供する専門ビジネス誌「環境ビジネス」編集部より、村上朋史編集長をお迎えしての対談、後篇です。

小島:

震災から一年、リオ+20の開催という節目にあたる2012年は、エネルギー業界にとって大きな転換期とも言えると思いますが、「テーマ」があるとしたら、何だとお考えですか?

村上:

国内のマーケットでは、被災地復興と日本全体のことと大きく二つに分けられるでしょう。被災地、とりわけ津波被災地では、街のエネルギー構造を、災害にも強い形で再構築する必要に迫られています。その中で、再生可能エネルギーという地域資源の活用はこれまで以上に重視されてきます。

日本全体のエネルギー関連では、やはり電力の全量固定価格買取制度がスタートすることですね。エネルギーの基本計画が見直しで、再生可能エネルギーの全電源における構成割合は大きく変化することは必至です。今はまさに、日本のエネルギーの転換点。中でも太陽光発電と風力発電は、固定価格買取制度で最も焦点があたるエネルギーです。ともに、最も適した場所に設置してこそ力を発揮できるものですが、初年度の買取価格の設定では、実質、風力よりも太陽光の方が利回りが高くなる可能性が高いですので、例えば単に2MWの発電をしたいという場合には、太陽光発電を選択する場合が多くなるかもしれませんね。風況の良い場所をより活用できるとよいのですが。いずれにせよ、導入に際しては、固定価格買取価格と、マーケットの価格とのバランス、効率、立地、すべてを見渡しての選択が求められるでしょう。

そして今年の夏も求められる「節電」ですが、昨年から企業も一般生活者もかなりまじめに節電に取り組んでいて、いわゆる「節電疲れ」が見えてきています。もうやれることはすべてやったという声も聞こえてきます。しかし本当に大切なのは、エネルギーを使わずに我慢することではなく、いかに効率よくエネルギーを使うかということなのです。それが本当の「省エネ」であり、今年は無理して節約する「節電」から、エネルギーの効率を良くする「省エネ」に変わっていく、気づきの夏になるのではないでしょうか。その流れを加速させるのが電気料金の値上げであることは皮肉ですよね。例えば照明をLEDをはじめとする省エネ製品の導入など、手軽にできる範囲でエネルギー効率のいい設備への切り替えによる、生活や仕事に支障をきたさない形での対応が企業でも一般家庭でも、さらに進んでいくと思います。節電・省エネ用途は、太陽光発電にも大きく影響します。例えば工場や倉庫などは固定価格買取制度を使って省エネを進めていくのには最適な環境ですから、さらなる対策として導入が進んでいくでしょう。

小島:

太陽光発電はつけて終わりではなく、たとえば住宅であれば、家庭内の電化製品をそれぞれ効率のいいものに変えることによってさらなる余剰電力が生まれ、より多くの電気を売ることができる、そういうサイクルが家庭ではできつつあると感じていますが、企業ではまだこれからという気がしますね。そんな中で、これから特に注目を集めると思われるキーワードは何でしょうか?

村上:

やはり蓄電池でしょうか。太陽光や風力と連動させたり、家庭に導入したりと、さまざまな提案がなされていますが、実際は蓄電池の使い方に関してはまだまだ見直されていかなければならない点が多くあります。大切なのは蓄電池を効率的に使うノウハウの構築であり、そしてできるだけ蓄電池に頼りすぎないシステムを作っていくことです。蓄電池は非常用電源としては有効ですが、そもそも作りだしたエネルギーを直流から交流に変換し一時的に貯めてそれをまた出して使うというのはすごく効率の悪いことです。効率を考えれば、例えば窓の少ない家に太陽光をつけて蓄電池をつけて日中も照明を使って暮らすことよりも、改装して太陽の光をたくさん入れた方が省エネであると言えます。これからは蓄電池の存在が社会システムの中では非常に重要視されてくるだけに、蓄電池をいかに最適に活用するかはまだまだ検討の余地があると思います。

最も注目されるべきは規制緩和です。社会が変化し、再生可能エネルギーというものが生まれ、エネルギーを取り巻く状況が変わっているにもかかわらず、法律は何十年も昔にできたものであるという矛盾を抱えています。これは、規制緩和によって今の社会の求めている情勢に法律が合わせていくという作業が必要なのです。とりわけ地熱発電の開発や、様々な個所、ビジネススキームでの太陽光発電の導入、小水力発電の普及には不可欠です。ほかにも風力発電の系統連系のキャパシティの問題をいかに解消するかは大きな問題です。規制が緩和されることで初めて、再生可能エネルギーの本格的な普及への道が開けてきます。

小島:

規制緩和と聞くと、厳しいものを緩めようというイメージですが、そうではなく社会に合わないものを変えていこうということなのですね。たしかに30?40年前には太陽光発電も実験用か、電卓に載っている程度でしたからね。それ以前にできた法律に従っていること自体が大きな問題ですよね。

取材などを通して多くの情報を得られていると思いますが、太陽光発電の今後の展望や期待することは何でしょうか。

村上:

今の太陽光市場の問題は、(とりわけ住宅分野で)マーケットが多重的な構造になっているということです。補助金や余剰電力買取制度などの優遇政策がとられてきたために普及が加速され、メーカーからユーザーに至るまでの間に3?4社入っているのが当たり前のような構造になっています。関わる業者すべてが質のいい業者とはかぎらないということも急速に育ったマーケットが抱える問題で、ユーザーが不利益をこうむらないよう、業界全体での対応が求められています。メーカーも販売会社もユーザーもメリットを得られる方向に、なんとかしてうまく進んでいかなければなりません。

小島:

今後さらに競争の激化、価格の下落が加速するのでしょうか?そうなってくると多重構造ではやっていけなくなりますから、マーケットの構造の見直しが必須になってくるでしょうね。太陽光の市場は規模を拡大していく前半戦から、体力勝負の持久戦の後半戦に突入したと言えますね。

村上:

マーケットで大切なことはサービスの質に対して適正な価格が選択されることかと思います。過当競争の下では、低コスト化の影響で施工などに問題が生じるというケースが多く報じられています。太陽光発電というのはある意味「投資」ですから、単に安さを売りにする業者には注意が必要であると、弊誌の特集などでも繰り返し訴えています。

小島:
産業用の太陽光発電のマーケットはどうなっていくでしょうか。
村上:

産業用に関しては、それほど心配することはないでしょう。ビジネスパーソンが十分に情報を収集し、判断して選択していけば、問題の発生は少ないのではないでしょうか。電力買取価格が決定するまでは、多くの見積もりを取って検討を重ねてきたユーザーも、ここへきて一気に導入へと動き出すと思いますが、しっかりとした投資計画を立てることが必要になります。計画の見込みが甘くて投資回収がうまくいかないとなると、自分たちだけでなく関わる多くの人に損害をあたえてしまうことになりますからね。

小島:

産業用の太陽光市場は、これまで無かったことをやろうとしていると言ってもいいでしょう。我々販売店にも分かることと分からないことの情報格差が存在して、思わぬ阻害要因が出てくる可能性もありますよね。

村上:

ここ最近、部材やモジュールの種類が増え、参入会社が増えたことでコスト競争が激化していますが、安ければそれだけリスクがあるということをユーザーには知っていただきたいですね。部材には保証期間というものがあってないような面もあり、現場で何が起こるか読めないというのが現実問題としてありますから、そのしわよせが導入事業者に行くことのないように整備していかないといけないと思いますね。また太陽光発電が一時のブームとして終わらないように、この先々も社会に根付いていくように、リサイクル・リユースのマーケットを整備して、国内だけでなく海外とも循環させていくようにしなければなりません。太陽光発電は、未来あるマーケットです。始まってまだ間もない業界ですから、まだまだ整備されるべきところはたくさんあります。しかし同時に、始まったばかりで、これほど整備されているのは素晴らしいことです。今後が楽しみです。

小島:

太陽光発電の未来は明るいですか!

村上さん
村上:
それはもう、間違いなく明るいですよ。無尽蔵と言っていい、ほとんどの場所に降り注ぐ太陽光エネルギーですから、日射量の差こそあれ、全国どこでも、「失われない地域資源」ですよね。化石燃料が有限であることを考えれば、先々太陽光発電の活用がいかに重要か、考えるまでもないことだと思います。個別のテクノロジーで見ても、技術開発はまだまだ天井知らずと言えますし、社会システムで見てもスマート社会の中で必須と言ってよい位置づけですので。
小島:

最後になりますが、「省エネドットコム」の読者にメッセージをお願いします。

村上:

太陽光発電を導入することで変わること、それは自分の家の電気の使い方を見直すことだと思います。例えば、テレビの音量を上げたらこれくらいエネルギーが違うのか、お湯を使うにも水道を出すにも電気は使われていることなど、小さなことですが見えなかったものに改めて気がつくことになるでしょう。そして、そのエネルギーを自給できていることに楽しみを見出すことができると思います。難しいことではないのです。太陽光発電は電気を自給自足することで、「生活を楽しむことができる設備」として考えてもいいと思うんですよね。そして、太陽光はおそらく家庭の中でもっとも長く付き合う設備になるでしょう。テレビや冷蔵庫を何度か買い替えても、まだまだ太陽光発電は健在でしょう。複数社に見積もりを取り、しっかりと信頼できる販売会社を選び情報を得て、楽しみながら設置を検討してはいかがでしょうか。

小島:

太陽光発電は「生活を楽しむことができる設備」。まったくその通りだと思いますね。エネルギー転換期の今だからこそ、自分の暮らしのエネルギーを作り出す喜びがあると思います。 村上様、貴重なお話どうもありがとうございました。

投稿時刻 10:51 | 個別ページコメント(0)トラックバック(0)
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