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コジさんのエコな日々

2012年04月02日(月)

第6回:NPO法人「共存の森ネットワーク」森山紗也子さん編vol.2

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コジさんエコロジスト対談/NPO法人「共存の森ネットワーク」森山紗也子さん編vol.1

森と人の暮らしをつなぐNPO法人「共存の森ネットワーク」より、森山様をお迎えしての対談第二弾です。

小島:

森山様は「共存の森ネットワーク(以下 共存の森)」の中で、具体的にどのようなお仕事をされているのですか?

森山:

私の仕事は、主に「聞き書き甲子園」の運営サポートです。「聞き書き甲子園」は年々規模が大きくなっていて、参加の高校生も毎回100名という大所帯です。関係各所をとりまとめての会議や、高校生たちを一同にあつめての研修会、そのための資料の準備などです。それから、高校生と名人の間に入ってやりとりのサポートをしたりもします。
名人の方言がわからないなどの理由で高校生たちが話を理解できないことがありますし、中には「アポイントを取るために電話をしているのですが、何かのセールスと勘違いされてすぐに電話を切られてしまうのですが、どうしたらいいでしょうか。」というような笑い話のようなケースもあるので、その都度ひとつひとつ対応しています。
小島:
たしかに関わる人が多ければ多いほど、さまざまな要望があるでしょうし、丁寧な対応が求められるのでしょうね。
小島:
森山様が「共存の森」に入られたきっかけを教えてください。
森山:

私の父が、職人兼デザイナーのような仕事をしていたこともあり、幼いころから物作りの環境がとても身近なものでした。ですから、そういう職人のような人たちに親近感を覚えていたのですが、そういう人たちが優れた技能や芸術性を持っていながら自ら発信したり声を上げたりすることを苦手としている場合が多いことを感じていました。世の中には、そういう職人たちの手仕事に興味を持っている人も多数いて、ニーズがあるのになかなか繋がらないとも感じていました。その懸け橋になることができたらいいなと、ずっと思っていました。
 大学生の頃、損保ジャパンが企画している「CSOラーニング制度」というインターン制度を利用して、いくつかのNPOと関わる機会を得ました。その中で、「共存の森」の「聞き書き甲子園」の事業を知り、興味を持ったのがきっかけです。それまでは仕事としてNPOに関わるという選択肢は私にはなかったのですが、一年間「共存の森」にインターンとして関わり、「聞き書き甲子園」を経て変わっていく学生たちに触れる機会を得て、純粋に感動したんです。名人譲りなのか、学生たちのゆったりと他者を受け入れる抱擁力、出会った感動を素直に受け入れていく素朴な人柄など、要はこの活動に関わる人々に惚れこんでしまったというわけです。

そして、「聞き書き甲子園」では、話を聞く相手は職人に限られてはいませんが、声を上げることもなく地道に頑張っている人たちにスポットをあてていくことができる事業だと感じて「共存の森」へ入ることに決めました。
職人や、名人たち、かつてお世話になったことのある農家の方など、自然を相手にしている人たちの、仕事や暮らしに対する考え方にも、感銘を受けました。学生時代に農家に一ヶ月間お世話になったことがあったのですが、自然環境や気象に左右されながら一年を通して作物を育てていく農業に従事されている方というのは、物事を長いスパンで考えていると感じました。例えば、台風が来ると分かればビニルハウスの強化などできうるかぎりの対策をするけれど、それでも作物がだめになったとしたら、それはもうしようがない、それでもまたその場所で作物を作ることができるし、来年再来年へ向けてやっていこうと気持ちを前向きに切り替えていく。自然を受け入れて、自分たちが生きる場所にしっかりと根を張っているからこそ生まれる心のゆとり、落ち着きに、その頃の私は驚きました。

小島:

今年だめでも、来年があるという風に考えて仕事をするというのは、結果をすぐにもとめられがちな企業での仕事とは全く異なる仕事観ですよね。

森山:

同じような感覚が、物作りをしている職人や名人たちにもあって、例えば100年かけて森を作る名人などは森の一部として自分の存在をとらえていたり、職人たちはその季節に合った材料、その材料にあった道具などを選び、その時季を待って何かを作っていたりします。短い時間の中で成果を求められるのではなく、どっしりと物事を考えていくその安心感に惹かれますね。その感覚に、たくさんの人に触れてもらい、感じてもらいたいと思って活動しています。

小島:

私たちも太陽光発電を販売している立場ですが、これからの太陽光発電の未来のために何をしなければならないか、次のビジョンを考えていかなければならない時期に入っています。現在は、太陽光発電は時代の追い風を受けて右肩上がりの成長をしていますが、そのために日々の仕事に追われているような気持ちになることがあります。農業のように、この畑では先にこれを植え、次はこれ、その次はこれというように考えながら畑を回していくように、ずっと先のことまで考えていかなければなりませんよね。

森山:

右肩上がりの成長曲線も大事だと思いますが、循環させていくサークルのような曲線を描いていくことも大切なことなのではないでしょうか。参加してくれている高校生や学生たちには、成長はすばらしいことだけれど、「足るを知る」という言葉があるように、自分の暮らしの満ち足りた部分に目を向けて、その中で豊かに暮らすということができるという意識も持ってもらいたいと考えています。半農半Xなどでも提唱されていますが、さまざまな働き方をしながら、無理のない範囲で農業や自然と関わり生きていくという選択肢があるということを多くの人に知ってもらい、自分の身の丈に合った生活で豊かに生きていくという方向に世の中の人の意識がシフトしていけばいいという希望を持っています。

小島:
永遠に何かを求めて続けて成長を続けるということではなく、ちょうどいいころ合いを知りその中で循環させながら豊かに暮らすこと、それは確かにすばらしいことだと思います。しかし、現実には我々サラリーマンの立場からはなかなか難しいですね。でも、成長することだけにとらわれずに、今の自分の暮らしを見つめなおし、支えてくれている人たち、自然に感謝しながら暮らすことはとても大切なことだと思います。企業に働いてれば日々成長と結果を求められますから、私はボランティアや社会活動でも、その感謝を還元していきたいですね。 成長を目指して進んでいくことと、「足るを知って」満足して暮らすこと。どちらも大切で必要なことだと思います。そのバランス感覚が、これからは求められていくのではないでしょうか。
コジさん
小島:
活動の中で、感動したこと、学んだ事があれば教えてください。
森山:

高校生や大学生などと関わっているので、その彼らの変化こそが一番の感動ですね。「聞き書き甲子園」という活動は、人と関わって話を聞くことから始まります。活動を通じて名人の話を聞いているうちに、自らの問題としてさらに深く掘り下げて活動していく学生もいました。ある学生は、もともと環境活動に興味があったこともあり、度々山に行って活動していました。その集落が彼にとても合っていたようで、就職した後もどんなに仕事が忙しくなっても年に一度は通っていましたが、しばらくしてその彼は、その集落で感じたこと学んだことを自分の地元へ持ち帰り、地域のおじさんたちから話を聞いたりする活動を始めました。彼の地元は彼が望むような自然あふれる山村ではなく、自然や環境に関わる仕事ができるわけではないのですが、「地域を作る」関係性を築くことが防災や防犯にも繋がると考えるようになったそうなのです。そんな風に、関わってくれた学生がどんどん変化することが、驚きであり感動でもあります。

小島:
参加前と後では、雰囲気なども変わってきたりするのですか?
共存の森 森山さん
森山:
環境問題は今や学習教科になっていて、学生たちはよく学習しています。しかし実際の森や自然に関わったことのない子どもたちが多いですね。
森山:

知識はたくさんあっても、そこに自分がどう関わっていくのか分からず、自分の問題として考えられないのです。それが、「聞き書き甲子園」に関わると、実際に問題に直面している人に話を聞き、現場に足を運ぶので、一年間の聞き書き体験を経て帰ってきた高校生は、以前はボーっと授業を聞いていたのに、一年後には自分が聞いた名人の話が問題になっているわけですから、まったくとらえ方が違ってくるのです。日本の森、林業の問題などは、それまでは聞いてもピンとこなかったのに名人と関わった後は、「あの名人のあの森をなんとかしたい。真剣に考えていきたいです。」なんて言うようになるのです。自分のこととして真剣に考え始める時、彼らの目がきらきらして見えるんです。「目がきらきら」なんていうと笑われるかもしれませんが、私はそれが見たくて仕事をしているようなものですね。

小島:
皆、何かやらなければならないのは分かっているけれど、どうしたらいいのか分からない。教科書的な表面しか見えていなかったのが、名人から直に話を聞いたり現場に行ったりすることによって、自分の問題としてとらえられるようになるというのは素晴らしいことですよね。そういう人を社会に増やしていく活動は大きな意義があることですね。「聞き書き甲子園」はもう10年もやられているそうですから、すでに1000人はそういう人を送り出したということですから、すごいことです。
小島:
読者の中には「聞き書き甲子園」および、「共存の森」のそのほかの活動に興味を持たれる方もいらっしゃると思います。参加するにはどうしたらいいのでしょうか。
森山:

高校生でしたら「聞き書き甲子園」、大学生や一般の方は「共存の森づくり」「なりわい創造塾」に参加していただけます。募集は、こちらのホームページ(http://www.kyouzon.org/index.html)で行っていますので、ご覧いただきたいと思います。なお、「なりわい創造塾」では、年に数回公開講座も設けておりますので、お気軽に参加していただけると思います。

小島:
最後に、環境貢献に興味を持っている省エネドットコムユーザーへ一言お願いします。
森山:

環境問題は入り口にすぎないと思います。人と関わり、そこからいろいろなものと繋がっていくことが大事なのではないでしょうか。例えば、今回の原発問題を入り口にエネルギー問題に興味を持ったとき、それを持続して考えていくには、その中で関わっている人たちと実際に話をしながら問題を共有していくことが大事だと思うのです。太陽光発電にしても同じです。太陽光発電を作っている人、売っている人、使っている人、関わる様々な人に話を聞き、自分の問題として受け止める。そうすることによって、熱心にもなっていけるだろうし、環境問題の克服にも地域社会の問題の解決にも繋がっていくかもしれません。ですから、今お持ちの興味の部分を大事にして、いろいろな人と話をしてみてもらいたいと思います。

小島:
話をして、問題を共有する。そこから、問題点を見出したり解決したりしていけますからね。人と話をして、共感してもらえることが喜びになり、喜びが活力になりますからね。その力が、問題解決や何かをよりよい方向へ進めていくのには必要ですからね。
森山さん&コジさん 「共存の森」森山様のお話、いかがでしたでしょうか。森を育て、自然に育てられている人間たち、その人間たちが関わり、会話をすることで、成長していく活動は、ライフスタイルの転換期に来ている今、注目すべき活動なのではないでしょうか。
投稿時刻 16:08 | 個別ページコメント(0)トラックバック(0)