コジさんエコロジスト対談/第4回:「ステップチェンジ株式会社」松村直輔さん編
今回は、地球と人とが共存する持続可能な「ライフスタイル」「価値観」「文化」を次世代の人々へつむいでいくことを理念として運営されている、ステップチェンジ株式会社の松村様をお迎えしました。
「ライフスタイル革命」とは?「エコチャレンジ」とは? 楽しんでできる生活に密着したエコライフの提案が、注目を集めています。
「ステップチェンジ」とは、地球環境危機に対して 大きな変革を引き起こすという熱い想いから付けられた社名なんです。
エネルギープラントのエンジニアリング会社に約2年在籍後、システムエンジニアとして活躍。エンジニアリング会社で出会った現代表とエネルギー問題や環境問題、ライフスタイルの改善について取り組むため、2007年5月に「ステップチェンジ(株)」を設立。
「都市型エコビレッジ」の提案活動を中心に省エネへの啓蒙の一環として、エコライフにみんなで挑戦するコミュニティサイト「エコチャレ」やエコ商材のECサイト「eco for you」を企画・運営している。- コジ
- はじめに、松村様のこれまでの活動や経歴を教えていただけますか?
- 松村
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大学は工学部出身で、卒業後はエネルギープラントのエンジニアリング会社に入社しました。エネルギープラントとは、主に中東などで採掘した石油や天然ガスなどのエネルギー資源を精製、液体化などをする工場のことです。我々が日常的に使っている石油やガスは、このエネルギープラントで加工されたものが運ばれてきたものです。この会社に在籍中に、当社代表の奥澤と出会いました。ここで2年ほど勤め、その後システムエンジニアに転向し6〜7年を過ごしました。このころから、奥澤とエネルギー問題や環境問題、ライフスタイルの改善などを話し合う勉強会を定期的に開催しており、その流れからステップチェンジ株式会社を創業したという経緯です。
- コジ
- エネルギー問題や環境問題に興味をもたれたきっかけは、前職からということでしょうか。
- 松村
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そうですね。エネルギープラントは、大量消費を支えるエネルギーを安定的かつ効率的に生み出すことに重点が置かれています。プラント自身にも電気や熱エネルギーが必要ですが、それはエネルギーを生み出す過程で出された熱などを再利用しています。無駄をそぎ落として設計され、資源を効率よく使うことを追求して作られています。主に砂漠の真ん中に工場を建てるので、水資源も貴重です。海水から水を作り出し、循環させエネルギー消費を極力少なくする仕組みを利用しています。日本に届くエネルギー資源は、考え抜かれ努力に努力を重ねて、届いたものなのです。
- コジ
- 毎日使うエネルギーは、大変な苦労の上に成り立っているのですね。
- 松村
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日本のエネルギー自給率は4%しかありません。国内での発電においては、発電効率はおよそ40%と言われており、60%は熱として放出され再利用されていません。電気が各家庭に行きわたってからも、大切に使われているとは言えませんでした。今でこそ皆が節電を意識するようになりましたが、電気のつけっぱなしや、エアコンの設定など、それほど気にせず使いたいだけ電気を使っていたと言ってもいいでしょう。
ガソリンに関しても同じことが言えます。60〜80s程度の人間一人を動かすのに1トン近い車を動かさなければならない。考えてみれば大きな無駄です。たった4%しかないエネルギー自給率の日本で、湯水のようにエネルギーが消費される、そして多くの人がそのことに無関心であることに私は危機感を感じるようになりました。しかし、当時は私も供給側で仕事をしている時には、エネルギーの大切さを感じながら仕事をしているのに、消費側に回った途端に関心が薄れてしまっていました。
- コジ
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放出熱を再利用するしくみは、家庭用の潜熱回収型ガス給湯器などにも利用されていますよね。エネルギープラントの廃熱利用の仕組みをもっと活用できる可能性がありそうですね。
- 松村
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そうなんです。エネルギープラントというのは、熱、資源、電気を効率よく使う全体最適を追求したプロセスを構築していました。それだけで自立できる循環システム、社会が存在しているようなものなのです。このシステムを日本で利用したら、とても効率のいい社会ができるのではないかと考えました。この仕組みを活かし住宅から、町、国、すべてのエネルギーの概念を改革していきたいと考えています。
- コジ
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壮大な計画ですね。まさに「ステップチェンジ」という社名にぴったりですね。
- 松村
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「ステップチェンジ」とはプラントなど化学系の用語で、状況が不連続な方法で変化する時、その一定のポイントで変化が起きる状況のことを言います。我々の生活は、戦後からある一定の成長を遂げて現在に至りますが、そろそろ社会の仕組みを大きく変えなければならない転換点がやってきていると思います。これまでのエネルギーが、石油や天然ガスやウランなどから、太陽やその他の自然エネルギーへ変わっていく可能性もあります。地球環境危機に対して大きな変革を引き起こすという熱い想いから付けられた社名なんです。
太陽光発電も認知が低いころは、理解してもらうために高い壁がいくつもありましたね。
- コジ
- 想いの詰まった社名なのですね。その「変革」のために具体的にどんなビジネス、どんなサービスを行っているのですか。
- 松村
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壮大なビジョンを具体的にどうモデル化していくか、ということですが、一言で言うと「新しい街づくり」ですね。「エコビレッジ」という言葉を耳にしたことがあるかと思いますが、巷で言われている「エコビレッジ」とは田舎で自給自足などをして暮らせる村のようなものですが、我々はそれを都市で実現する「都市型エコビレッジ」というものを提案しています。都市部と農村部では、エネルギー消費の量も違えば、人口も違う。やはり都市部を改革することが、全体の改革へつながると考えています。これまでの「便利さ」「快適さ」は維持しながら多くの人が憧れるような都市型ライフスタイルをエコにしようと提案しています。自然エネルギーを積極的に取り入れ、地産地消のエネルギーを使い、自給自足型の消費生活にし、出来る限りのリサイクルをしたり、必要なものを自分たちで作って自分たちで使う「プロシューマー」という考え方を取り入れたいと考えています。このような価値観を共有できる人たちがあつまり、「環境共生コミュニティ」を築いていき、それを広めていきたいのです。
この取り組みには、「ハード」「ソフト」の両方からの視点が必要です。「ハード」とは、実際にそのコミュニティでは、どのようなエネルギーを使用して、どのような建物を建てるかということなどの、街建設に関する具体的な事柄を指します。そして「ソフト」は、そこで暮らす人々の「心」、モチベーションや活動意欲のことを指します。どんなに環境に優れた建物や街に暮らしていても、そこで暮らす人々の意識が同じ方向を向いていなかったら、その街は「エコビレッジ」とは言えないのです。自然エネルギーだからといって、電気を無駄に使っていいのではありませんよね。限りある資源、限られたエネルギーを皆で分け合いながら効率よく使っていこうという気持ちが大切になります。そのメンタルの部分に訴えていくことを、私たちは「コミュニティデザイン」と呼んでいますが、実はこの「心に訴える」ということこそが一番難しく、そのハードルを越えるのはなかなか大変です。
都市型エコビレッジ
- コジ
- 太陽光発電も認知が低いころは、理解してもらうために高い壁がいくつもありましたね。省エネや節電に興味のない人に、実行していただくのは難しいですからね。松村さん自身はどうですか?エコライフを実行されていますか?
- 松村
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実は、私はこの取り組みが始まる前まではまったく興味がありませんでした。電気、ガス、水道の使用料は安いとは言えませんが、暮らしをひどく切迫させるほどではなく、毎月ほぼ決まった金額が引き落とされていくというような感覚しか感じていませんでした。ゴミに関してもそうです。玄関先の集積所から、いつの間にか最終地点まで運ばれて、どれほどのゴミが毎日捨てられているのかも知らずに、ゴミ問題を感じることさえなく日常を送っていました。このかつての私のような人が、日本にはまだたくさんいるのが現実でしょう。こんなことでは、人の心を動かすことなどできませんよね。私たちは、まずは自分自身の生活を見直すことから始めました。その取り組みとして毎月の電気代やガス代などの料金を社長と二人で付き合わせることをやってみました。他人と比べて初めて気がつくことが沢山ありました。自分がこんなに使っていたのか、どうしてこれしか使わずに過ごせるのかと、課題が見えるようになりました。
- コジ
- 料金だけではどれほどの電気を何に使ったか分かりませんが、どのような改善策を立てたのですか。
- 松村
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消費電力を調べられる「エコワット」「ワットチェッカー」などの機器を調達して、1つ1つ調べました。
電灯、テレビ、携帯の充電器、家中の電化製品すべてを計測して表にしました。そしてその1つ1つに対して、節電方法を考えていったのです。例えば、電灯なら電球型蛍光灯に変えるなどです。当時はLED電球はとても高価でしたが、今ならLEDですね。
エコワットで消費電力を調べる様子
- コジ
- 待機電力の問題はどう解決されましたか?
- 松村
- 自分でも使う気がないのに、少しずつ消費をし続けるのが待機電力です。この対策には節電タップが役立ちました。使わないときにはタップのスイッチを消す。うっかり消し忘れていても、タップのスイッチが点灯しているので、消し忘れに効果がありました。 こんな風に、地道な努力を重ねて毎月の付き合わせに臨むというわけです。毎月毎月の省エネ対決で、ついに私は開始時の約半分の使用量にまで抑えることに成功しました。
- コジ
- 半分ですか!? それはすごいですね。
- 松村
- 省エネについては、二酸化炭素を減らす国民プロジェクト、「チャレンジ25」や、今年の夏は電力消費を25%削減しようというような目標が掲げられていますが、私は実際に5割削減に成功していますから、できないことはないと思います。今、何の努力もしていない人たちには「気づく」ことによって大幅な削減ができる可能性が残されていると思います。大切なのは、「きっかけ」と「やり方」です。楽しくやるというのが最も大事で、楽しくないことは誰も続けられませんからね。
- コジ
- 「省エネを楽しむきっかけ」はどうやって広げていったらいいのでしょう。
- 松村
- 「きっかけ」というのは、人それぞれなんですね。私は「エネルギー」という観点から入りましたが、「太陽光発電」の人もいれば「ゴミ問題」の人もいる。環境という概念は広い。「節水」「自転車」「山登り」など、それぞれのポイントをとらえて、どうやって啓蒙プロセスに乗せていくかというのが、我々の課題です。ほんの少しの関心事から始まって、次第にエコ活動を実践し、最終的には「都市型エコビレッジ」で提唱するエコライフスタイルに移行していただきたいというのが私達の願いであり、目標です。
- コジ
- 壮大な「エコビレッジ」コミュニティ構築のお話から、具体的ですぐにでも実践できることまで、非常にお興味深いお話をありがとうございました。
次回は、ステップチェンジ様の省エネへの啓蒙活動について、詳しく伺っていきます。次回もお楽しみに。
<次回予告>
第4回:松村直輔さんvoL2「省エネへの啓蒙活動」について

